城田優、瀬戸康史、和田正人などを輩出しているD-BOYSの弟分で、「演劇で関西を元気にしたい」という大きな志のもと、大阪で定期的に自主公演を行っている演劇集団、劇団Patch。
その劇団Patchが4月20日から25日まで、「Patch stage vol.8 浮世戯言歌劇『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』高尾山地獄修業編」を上演する。
原作は、少年ジャンプ連載中の人気時代劇ギャグ漫画『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』。そして劇団Patchのクリエィティブリーダーの中山義紘が、なんと母上役で出演すると聞いて訪ねた。
中山義紘は、2013年下半期のNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で、主人公・め以子(杏)の娘・西門ふ久(松浦雅)と結婚する野球少年・諸岡弘士を演じたさわやかな青年。 現在放送中のNHK連続テレビ小説「あさが来た」にも出演中の注目俳優だ。
【Patch stage vol.7『幽悲伝』】劇団Patch 松井勇歩、竹下健人、三好大貴 インタビューはこちらから!!
ー2012年4月、3000名以上の中から厳しいオーディションを通過したメンバーで結成された劇団Patch。結成当時は中山さんがメンバーで唯一の演劇経験者だと伺いました。
はい、そうですね。声の出し方から何なにもかも、皆が僕に聞きにくるという感じでした。ただ僕も芝居の経験者とはいっても学生時代にやっていただけなので、お客さんも身内がほとんど。ですから、本物の現場は初めてで、分からないことだらけでした。
―「ずっとお芝居をやっていきたい」「この仕事をやりたい」と考えて劇団Patchに参加されたのですか?
大学で就職活動でバタバタしている時に「就職というのも、何か違うな…」という思いがありました。芝居を高校から始めて大学と、どんどん好きになっていたので「芝居をやめたくないな」という思いがありました。今でもそうですが、舞台をやると達成感よりも口惜しい気持ちの方が大きいので、「次こそ、次こそは」とどんどん壁を乗り越えていきたいと思うので、芝居はやめられないですね。
―劇団Patch結成から4年経ちました。思い出に残っている出演作品は?
全部好きですが、一番苦労したのはPatch stage vol.6『SPECTER』という 末満健一さん作・演出の作品です。吸血鬼のお話の「TRUMP」シリーズの3作目なのですが、「TRUMP」シリーズがとても人気で、作品のファンがたくさんいらっしゃる。その「TRUMP」シリーズの「新作、書き下ろしをやるぞ」ということで、「TRUMP」ファンの皆さんがツイッタ―などでわっと盛り上がって、劇団Patchを知らない方も、すごくたくさん見に来て下さいました。とても嬉しかったのですが、やらせて頂いたのが主役で、ひねくれているけれど正義感が強い、素直じゃない臥萬里(ガバンリ)という役。稽古では末満さんには「ダメ、ダメ!」とずっと言われていました。座長というのも初めてで、周りをひっぱっていかないといけないなぁという苦労もあり、プレッシャーもきつかったですし、「もっと」と思う部分も多かったのです。
―末満さんはとても厳しいのですね?
厳しいです。やはりご自分の作品なので「こうやりたい」というのが見えていますからね。それを上回るのが役者の仕事だとは思うのですが…。最近の『幽悲伝』でも「できない!」と泣いてしまうメンバーもいました。生みの親、育ての親の末満さんに4年前からずっとお世話になっていますが「末満さんの想像を超えたい」というのが、僕らのモジベーションであり目標です。
―そして2014年は末満さん以外の作品にもトライされたとか。
8か月連続で8人の演出家とやらせて頂きました。千本ノック状態でしごかれました。末満さんは内面の演技も大切にされますが、見せ方…体の振り方、立ち位置などを「美しく」と演出されます。8か月やらせて頂いた時には「お客さんのことは、まったく意識しなくてもいい」と演出される方がいらしたのです。「日常話しているように。声もはりあげなくていい」「覗き見されているように」と言われたのですが、それまでやったことがなくて、僕はすぐにはできなかった。苦労しました。
―劇団Patchさんは、揉まれてきたのですね。
とても恵まれた環境にあると思います。
―昨年はDステの『夕陽伝』の連鎖上演として、劇団Patchは『幽悲伝』を上演されました。中山さんはDステ『夕陽伝』にも出演されましたが、如何でしたか?
この作品も末満さんの脚本です。これまでに末満さんの作品を何作もやらせて頂いてきたので、台本を読むと「こういう世界観なのか」とだいたい分かるようになってきたのです。「こういう見せ方をしたいんだろう」「ここを盛り上げていきたいのだろう」とだいたいイメージして稽古に行くのですが、Dステ『夕陽伝』では演出家は岡村俊一さんで、僕がイメージしていたのと全然違った演出でした。分かり易く言うと末満さんの「陰」に対して岡村さんの「陽」という感じでしょうか。台詞も随分変わりましたし、テンポも違う。岡村さんはショーアップされた演出をされました。末満さんは会話で見せる。笑いはそぎ落とす。殺陣は極限まで役者を追い込む。どちらも良さがあって、本当に勉強になりました。
―同じ作品をそうした違った演出で同時期に見られるというのは、演じている役者にとっても芝居好きの観客にとってもたまらない楽しさですね。
そうですね。先輩方が自分と同じ役を目の前で演じる。「何か盗んでやろう」とDステの現場に行っていました。
―何か盗めたでしょうか?
う~ん、盗むというか「違うアプローチをしよう」となりましたね。両方観て下さるお客さまも多いですが、先に上演されるDステ版とは違う方へ違う方へと向かおうとしていたかなと思います。
―Dステの大阪公演の仕込みやばらしは、劇団Patchのメンバーが行ったそうですね?
そうです。自分たちの舞台の仕込みやばらしもやるのが劇団Patchは当たりまえなので、東京ではスタッフさんに「そんなことしなくていいよ」「休んで」とずっと言われていましたね。小道具も自分たちで作ります。
―その『幽悲伝』では劇団結成当時から念願だった森ノ宮ピロティホールで公演。立ち見も出る大盛況だったと伺いました。
嬉しかったですね。本当に…。結成時から森ノ宮ピロティホールで公演するのは夢だったので、そこでやれて、スタンディングオベーションも頂いたんです。本当に嬉しかったです。
―劇団Patchの三好大貴さんに昨年末にインタビューさせて頂いた時「来年は脚本・演出をやります」と伺いましたが、なんと2月13日~14日に実現。中山さんも…
そうなんです!三好大貴プロデュース、演出・脚本『オンタマジャクシ』です。僕も演出助手と振付をやります。
―振付も?ダンスがお得意なのですか?
ダンスシーンがあって、僕がちょっと振付をやります。もともと劇団Patchにはダンスが得意なダンサーのメンバーもいたのですが、辞めてしまったのです。そこで「ダンスできるヤツ、誰だ?」ということになった時に、僕も高校からクラシックバレエやジャズダンスをやっていたので、僕ということになりました。一昨年の劇団Patchのイベントでやった芝居の中で振付をしたのが人生初の振り付けでした。それ以来、振付をやっています。
―中山さんは多才なのですね。三好さんもこんなに早く実現させるとは、驚きました。
挑戦ですね。自分たちで書いて、演出しては初めてなので、気合入っています。多くの方に観に来て頂きたいですね。今、稽古の真っ最中ですが、三好が初めてとは思えないしっかりした演出家です。自分のやりたい世界観を持っているので「ついて行こう」と思えます。
初めてのことなので、もしかしたら下手したら、めちゃくちゃ失敗するかもしれません。でも三好がやりたいことプラス自分たちで作っていく作品にして、お客様に見て頂いて、厳しい意見も欲しい。面白かったら、面白かったと言ってもらえたら嬉しいです。
―そして劇団Patchの2016年4月20日から『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』高尾山地獄修業編を上演されるとのこと。アニメ化でも注目を集めている話題作ですね。なんと中山さんが母上の役を?!
僕も「まさか!」ですよ。(笑) 第一希望は、やはり磯兵衛をやりたかったですよ。でもオーデションがあって…
―オーディションがあるのですね。
はい。台本を渡されて、みんなで読んでみようと。磯兵衛や母上…全員が順繰りにまわしていくのですが、僕が母上の台詞を読んだ時に、末満さんが「じゃ、中山。決定!」とすぐ決まりました。末満さんは褒めることはされないのですが、この時は「おもしろいなぁ」「はまり役だなぁ」と言われました。4年間で初めて褒められました。
―末満さんに初めて褒められたのが、母上役でしたか?!
そうなんです。「はまり役はここにあったんか!」と思いましたよ。(笑)
―ビジュアル撮影も終わられたとか。如何でしたか?
はい、つい最近やりました。原作があるものなので、それに忠実にして頂いて。着物も、そしてカツラも歌舞伎の役者さんが使うようなものを用意して頂いて…着ると気合が入りました!自分だけでなく、他のキャストの姿を見ても完成度がとにかく高いです。「これ、再現率高いなぁ!」「絶対おもしろいやん」と思いました。僕は、まぁ、出落ちの部分もあるのですが(笑)、衣装を着て、メイクをしていっそう楽しみになりました。
―お稽古はまだですよね?
はい。稽古はまだ先ですが、歌舞伎は見に行くようにしています。
―それは所作とかの勉強ですか?
そうです。男性がやる女形の所作ですね。猿之助さん、坂東玉三郎さん、そして梅沢富雄さん…歌舞伎も観に行き、動画も見て研究しています。原作はギャグ漫画ですけれど、そこはちゃんとやりたい。そこをきっちりとつくってから稽古に入りたいと思っています。
―そして歌劇ですか?
歌います!歌って踊って、殺陣もあって、盛りだくさんです。原作には歌はないので、舞台ならではの演出がいっぱいあります。笑って「なんかすっきりしたなぁ」「元気をもらった!」と帰ることができる作品で、原作のファンの方も、原作を読んだことがない方も確実に楽しんで頂けると思います!
―楽しみがいっぱい詰まっていますね。最後に、中山さんご自身の今年の抱負は?
僕も全国区の作品に出たいです。そして劇団Patchの看板になりたいと思います。「劇団Patchといえば中山」と真っ先に思い浮かべて頂ける存在になっていきたいです。そうなれば「これは誰だ?」「劇団Patchの人?」ということで、劇団Patchにも関心を持ってもらえる、お客さんも増えるかもしれない。
劇団Patchは関西で、やっと少しずつ知って頂けるようになってきました。もっと知って頂けるように、もっと広げていきたい。新しいお客さんにも、もっと会えるようになりたいですね。
―大阪でも、大阪以外でも中山さんに、劇団Patchにたくさんお会いできるように祈っています。ありがとうございました。
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劇団Patch
城田優、瀬戸康史、和田正人などを輩出しているワタナベエンターテインメント所属の俳優集団D-BOYSの弟分にあたる、関西発の演劇集団。「演劇で関西から日本を元気にしたい!」という大きな志のもと2012年4月、3000名以上の中から厳しいオーディションを通過したメンバーで結成された。
劇団名のPatchは関西弁で一生懸命を意味する 『必死のパッチ』 に由来する。
毎年定期的に自主公演を上演。また舞台以外にも関西を中心に様々なエンターテインメントを発信している。
劇団Patchの6作品目の公演Patch stage vol.6 『SPECTER』では関西小劇場としては異例のAmazonのDVDステージランキング1位を獲得! この公演でのべ1万人の動員を達成。
現在放送中のNHK連続テレビ小説 「あさが来た」 に、メンバーの竹下健人は加野屋の弥七役で、中山義紘は、炭鉱夫の伊作役で出演中。
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中山義紘
1990年2月23日生 兵庫県出身(25歳)
主な出演:NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(主人公め以子の娘婿、野球少年の諸岡弘士役)、NHK連続テレビ小説「あさが来た」、KTV「大阪環状線~ひと駅ごとの愛物語~」
映画「ラブラブROUTE21」(監督:末満健一)など
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Patch stage vol.8
浮世戯言歌劇『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』高尾山地獄修業編
原作:「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」仲間りょう(集英社「週刊少年ジャンプ連載)
脚本・演出=末満健一
音楽:和田俊輔
会場:ABCホール(大阪市・福島区)
公演日:2016/4/20(水)~4/25(月)全10ステ
料金:6,500円(税込/全席指定)当日7,000円
キャスト
磯部磯兵衛…井上拓哉
母上…中山義紘
中島襄…星璃
高杉秀才…村川勁剛
花岡華男…吉本考志
志賀大八…岩﨑真吾
平賀源内…三好大貴
服部半端…松井勇歩
宮本武蔵…竹下健人
剛林森男…近藤頌利
吉岡剣…有馬純
楠木勝…田中亨
サヤーテ…藤戸佑飛
小吉…尾形大悟
脇坂…山田知弘
七代目服部半蔵…竹村晋太朗
弁士…坂本頼光(声の出演)
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