「香港映画祭 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」。東京での最終日、11月4日(月・祝)に日本初公開となる「臨時強盗」(原題:臨時劫案・ROB N ROLL)が上演され、出演するラム・カートン(林家棟)とプロデュ-サーのアンガス・チャン(陳羅超)が舞台挨拶とトーク・イベントに登壇した。
この日で東京での上映は終了したが、多くのゲストは、トーク・イベント終了後にファンと交流。サインをしたり、一緒に写真を撮る姿も見られ、大盛況だった。
この後、「香港映画祭 Making Waves」開催地は11月9日(土)~11月11日(月)大阪・テアトル梅田、2024年11月15日(金)~11月17日(日)福岡・ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13へ。
大阪でのチケットは完売だが、福岡での上映作品はまだ席の余裕あり。ゲスト登壇の作品もあるので、名作揃いの香港映画祭へ、ぜひ足を運んでほしい。
「臨時強盗」は香港電影發展基金から840万HKドルの資金援助を得て、2021年11月に製作開始された犯罪ものコメディ。プロデュ-サーにはイートンシン。出演者には、アーロン・クォック(郭富城)、ラム・カートン(林家棟)、リッチー・レン(任賢齊)というトップスターに加え、ラム・シュ(林雪)、マイケル・ウォン(王敏德)など、お馴染みの香港俳優たちが顔を揃える。2024年1月に北京で公開された後、旧正月映画として香港を始め、カナダ・アメリカ・マレーシアなど、12地区で同時公開された人気作。
【あらすじ】
身重の妻と母親の嫁姑問題や住宅事情に悩まされるタクシー運転手ラップソイ(ラム・カートン)。親友で老人ホームを営むシングルファーザーのファイ(リッチー・レン)に母と不仲の父を預けている。だがファイも長期にわたり施設利用料未払いの老人たちを抱え、青色吐息。ファイはラップソイに人生を変えるべく強盗を持ちかける。だが、強盗用の拳銃の入手に失敗。さらに凶悪強盗犯(アーロン・クォック)の事件に巻き込まれてしまう……。
香港庶民の暮らしの風景かと思いきや、極悪銀行強盗が勃発する。香港映画らしい笑いとハイテンポなストーリー展開にハラハラ・ドキドキ。一気に見せてくれるノリの良さにワクワクしつつ、香港庶民の暮らしの大変さが身に染みる傑作。
【舞台挨拶&トーク・イベント】
上映前のひとこと挨拶では、カートンは「楽しい映画ですが、その中からメッセージを受け取ってもらえると嬉しいです。特に男性にはいろいろと思うところがあると思います」とメッセージを残した。
トーク・イベントに再登壇したカートンとアンガス。
カートン:私の方が皆さんに感謝してますと。こうやってお時間作って僕らの作った映画を見に来ていただいて、そして3年連続でここで皆さんにお会いするチャンスをいただけたことに非常に感謝しています。
アンガス:今回私は3本の映画を持ってきましたが、たくさんの皆さんに来ていただいてとても嬉しいです。ぜひ今後も香港映画を応援していただければと思います。
―カートンさんが作品を選ぶ基準は?
カートン:いろんなキャラクターを演じられるのはすごく嬉しいことですが、キャラクターを選ぶときに考えるのは、まず社会的にどういう意味合いを持つキャラクターかという点です。それから観客と離れているキャラクターもありますが、観客の皆さんにどれだけ共感してもらえるキャラクターかという点をちょっと大事にして選んでいます。
―キャラクターの造型はどのようにされるのですか?ご自分でもアイデアを出しますか?
カートン:キャラクターを作るときには、監督やキャラクターデザインを考える方がいるので、その方たちの意見に沿って、その上で自分でも考えます。自分としては、キャラクターがどういう意味を持っているか、それが伝わりやすい造型を考えます。
―アーロンさんリッチーさんとのエピソードを教えてください。
カートン:撮影の合間にも色々話をしました。我々全員が中年男の役で、プライベートでもリッチーさんもアーロンさんもお父さんなんです。僕は普段から「父親じゃないお前には語る資格はない」と言われることがあるんですが、この撮影中にもそんなことがあって、「ちょっと俺だって考えはあるんだから」みたいに言い合ったりしました。そんなことが面白かったです。
―アンガスさんに質問です。この見ごたえのあるキャスティングは、どう決ったのでしょうか?アーロンさんは、なぜ出っ歯にしたのですか?
アンガス:この3人が上手いので安心できるので監督が安心できます。カートンさんも言ってますがこの映画のテーマとして、男が生きる苦しさ、男ならではのプレッシャーがあるという点を描きたかった。それをありきたりではない形でやろう、ちょっと突き抜けてみようと考えて、あのようなキャラクターデザインにしました。
カートン:補足すると、今回のメイクとかの費用の中で1番高かったのがアーロンさんの歯とリッチーさんのカツラです。(笑)
―前々回に登場された際の「黄昏をぶっ殺せ」ではプロデュースもされたカートンさん。今後はどんな映画をつくりたいですか?
カートン:自分もいろんな作品をもっとプロデュースしていきたいと思います。一般庶民の普段の生活をちゃんと描いた映画を見たいので、そういう作品をつくりたいと思います。そして、過去に撮った作品、例えばこの映画もですが、例えばこれを日本に置き換えたらどうなるか。それでもいけるんじゃないかなという感じがします。この同じストーリーが日本でやったらどうなるか、リサーチしたいですし、日本に住む中国人がどういう暮らしをしてるのか、もっと逆に言えば、香港にいる日本人がどういう暮らしをしてるのか、そういう部分を描いたような、普段の日常をきちんと描く作品をやっていきたいと思います。
アンガス:カートンさんは長い間、俳優として出ることが無かった時期もあるので、今回出演してくれたのが、現場で見ていてもすごく嬉しかったです。もっといろんな映画にたくさん出てくれるようになってほしいと思っています。
カートン:はい。ただ、アンガスさんからは「ギャラが高い。もうちょっと安くして」と言われます。
アンガス:だから、今度安くしてくれたら、それでいいからね。(笑)
「カートンさん演じるラップソイのタクシーのナンバーには、何か意味がありますか?」という質問には、アンガスもカートンも「よくわかりましたね」というように「わ~!」と声を上げた。カートンによると「それは広東語の男性に対する粗口(悪態、下品な言い回し)です。男性能力がない、男としてクズという意味がある」番号とのこと。(ちなみに、カートン演じるラップソイ(笠水)は「びびり」と言われていましたが、笠水がまさに怖がり、びびりという意味)
3年連続で香港映画祭に来日登壇したラム・カートン。最後にアンガスが客席に確認したところ、満席の客席は日本人ばかり。こんなに日本のファンに愛されているんだと、笑顔がこぼれたゲストのふたりだった。
「香港映画祭 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」
東京 2024年11月1日(金)~11月4日(月) YEBISU GARDEN CINEMA
大阪 2024年11月9日(土)~11月11日(月) テアトル梅田
福岡 2024年11月15日(金)~11月17日(日) ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
公式サイト https://makingwaves.oaff.jp/
公式X @MakingWaves_HKC 公式Instagram @makingwaveshkc
主催:香港国際映画祭協会 協力:大阪アジアン映画祭
後援:香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部 助成:香港特別行政区政府 文創産業發展處