映画『愛にイナズマ』の完成披露上映イベントが、10月11日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、W主演の松岡茉優と窪田正孝をはじめ、共演の池松壮亮、若葉竜也、佐藤浩市と、石井裕也監督が舞台挨拶に登壇した。
石井裕也監督最新作となる本作は、アフターコロナ”の現代が舞台に、社会の理不尽さに打ちのめされた恋人たちが、反撃の狼煙を上げるべく、音信不通だったどうしようもない家族を頼ったことで、一度は歪み切ってしまったイビツな家族がやがて“絆”を取り戻していく姿を愛と希望とユーモアに描き出す。
卑怯な大人に騙され大切な夢も何もかも全て奪われた末っ子の花子を松岡茉優、空気の読めない彼氏の正夫を窪田正孝が演じ、花子の父を佐藤浩市、花子の兄・長男の誠一を池松壮亮、次男の雄二を若葉竜也という豪華実力派俳優が顔を揃えた。
劇中で、“集まるときはなぜか全員赤い服になる”花子の一家。この日も華々しい赤を取り入れた衣装に身を包んで登場した。
本作で初共演となった松岡と窪田。窪田が「こんなに軸の強い女性はいないんじゃないかなと思うくらい、現場でお大黒柱になって(作品を)突き詰めていってくれて、彼女のストイックさ、役の向き合い方を近くで見ていて凄く刺激的でした」と、松岡の印象を語る。
その言葉を受けて、松岡が「隣に本物の大黒柱を隣にして、私が大黒柱でしたとは申し上げづらい・・・」と恐縮すると、佐藤が「大黒柱でしたよ。ほとんど花子だよね」と称え、窪田も「普段からそうですよね」と顔を見合わせる。佐藤は「前半と後半の花子さんを楽しめますよ」とアピールも。
一方で、窪田との初共演について、松岡は「初めてご一緒して、やはりドラマや映画でずっと拝見していたんですが、個人的にはスクリーンで会いたい俳優さんでした」と語り、その謎が今回解けたそうで、「もっと知りたくなるんです。何を考えているのか、何をいま思っているのかが見えづらい方だなという印象がありました。ミステリアスでもっと知りたいという気持ちが彼を映画館で会いたいと思わせる魅力なのかなと思いました」と分析した。
窪田は「嬉しいですね」としながらも、「そんな意識はないですけどね。みんなと同じようにいるつもりですけど」と照れる。
同じく窪田のミステリアスなところを問われた若葉は「宇宙人みたいです」と即答。「役なのか、プライベートがそうなのか分からなくて興味を持ちました」と続け、池松は「自分を譲る術を知っているというか、優しいですよね。心の良さを感じていました。とてもフラットな方です」と窪田の魅力を伝えた。
撮影現場では、終始監督がニコニコだったというが、池松は「僕は後半の家族パートで出てきますが、1つ1つが家族行事で、どんどん家族になっていく感じ。逆境だらけの花子の人生のどん詰まりの中で、最後の頼みの綱がもっとどうしようもない家族だったという。後半はさらにスパークしていきましたね」と振り返る。
若葉も「最初のシーンが家族のケンカのシーンだったんです。初めましてで「あなたたちは家族です。ケンカしてください」って。どうしようかなと思ったんですが、始まってみると本当にスパークしてしまいましたね」と、すぐに現場の雰囲気に馴染んだ様子。
監督は「本当に特別な才能を持った方々が集まっていて、そういう場合ふつうは上手くいかないことが多いんです。得てして自我がでてきてしまうというか。でも、今回はそういうことが全くなかった。本当に特別なアンサンブルだったんだなと。本当に不思議で幸せな時間でした。僕はずっと笑ってましたね(笑)」と満足気な笑顔を見せる。
佐藤も「僕も40年以上やっていて、家族とかこういうシチュエーションもありましたが、これくらい気持ちよくアンサンブルが決まることはない!もう楽しくてしょうがなかったですね」としみじみ。
隣に立つ松岡は「光栄! 我が身に余る喜び!」と満面の笑みを浮かべ、「現場でも浩市さんがニコニコしながら“楽しいね~”とおっしゃって。それが嬉しくて嬉しくて、日記をつけました。その日記がパンフレットに載せていただくことになったんです。秘話もたっぷりと載せております」と、公開に向けての楽しみの一つを披露する場面も。
松岡と窪田は石井組も初参加。「監督が一番楽しんでいる現場」と声を揃える二人。窪田は「それが嬉しくて、やる気をあげてくれる。いつも演じる者の近くにいてカメラのアングルとかはカメラ監督に委ねるんです。いつも近くにいてくれて毎日ワクワクしていました」とと語り、松岡は「監督が笑うから、録音部さんから『声が入るから我慢して』って言われていました(笑)。監督が近くにいてくれて凄く心地よかった。“さぁ、見てくれ!”と」と、窪田に同調していた。
イベントでは、映画のタイトルにちなみ「最近イナズマが走った瞬間は?」という質問も。松岡が「初号試写で、浩市さんの隣で観ていたんですが、エンドロールが始まると、浩市だんがこちらを見て“グー!”を出してくれたんです。その浩市さんの顔を見て、“やったー!”とイナズマが走りました」と話すと、佐藤も「初号を観て、うちの花子がこんなに苦労していたんだと思ってイナズマが走った」と返す。
池松は「この家族と出会えたこと。この作品はアンパンマンのような映画です。愛と勇気と」と力をこめ、若葉は「最近、15万円の観葉植物を買いました。値段にびっくりしてイナズマが走りました」と。窪田は「ここに立つ5分前まで靴がなくて(置き忘れで)イナズマが走りました」と笑い、終始和やかな雰囲気に包まれていた。
【ストーリー】
どうしようもない家族は、最高の家族でした。
長年の夢だった映画監督デビュー目前で、すべてを奪われた花子(松岡茉優)。イナズマが轟く中、反撃を誓った花子は、運命的に出会った恋人の正夫(窪田正孝)とともに、10年以上音信不通だった家族のもとを訪ねる。妻に愛想を尽かされた父・治(佐藤浩市)、口だけがうまい長男・誠一(池松壮亮)、真面目ゆえにストレスを溜め込む次男・雄二(若葉竜也)。そんなダメダメな家族が抱える“ある秘密”が明らかになった時、花子の反撃の物語は思いもよらない方向に進んでいく…。
松岡茉優 窪田正孝
池松壮亮 若葉竜也 / 仲野太賀 趣里 / 高良健吾
MEGUMI 三浦貴大 芹澤興人 笠原秀幸 / 鶴見辰吾
北村有起哉 / 中野英雄 / 益岡 徹
佐藤浩市
監督・脚本:石井裕也
主題歌:「ココロのままに」エレファントカシマシ (ポニーキャニオン)
プロデューサー:北島直明 永井拓郎 中島裕作
音楽:渡邊 崇
製作:澤 桂一 長澤一史 太田和宏 竹内 力
エグゼクティブプロデューサー:飯沼伸之
製作委員会:日本テレビ放送網 HJホールディングス 東京テアトル RIKIプロジェクト
製作幹事:日本テレビ放送網
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
配給:東京テアトル
©2023「愛にイナズマ」製作委員会
公式サイト:ainiinazuma.jp
10月27日(金)全国ロードショー!