宮野真守、「痛くて苦しかったけど、この作品に会えてよかった！」映画『亜人－衝動－』ワールドプレミア舞台挨拶

in CINEMA, Report(CINEMA) · 2015/11/01

Tags: 亜人－衝動－, 安藤裕章監督, 宮野真守, 小松未可子, 平川大輔, 櫻井孝宏, 洲崎綾, 瀬下寛之総監督, 細谷佳正

左から、平川大輔、小松未可子、櫻井孝宏、宮野真守、細谷佳正、
洲崎綾、瀬下寛之総監督、安藤裕章監督

第28回東京国際映画祭にて、10月28日、劇場アニメ3部作の第1部『亜人－衝動－』のワールドプレミアが行われ、声優の宮野真守、細谷佳正、櫻井孝宏、平川大輔、小松未可子、洲崎綾と、総監督の瀬下寛之、安藤裕章監督が舞台挨拶に登壇した。

本作は、「good!アフタヌーン」（講談社）で連載中の大ヒットコミックをアニメ化。決して死なない新人類・亜人と、それを追う日本国政府の両者の戦いを、斬新なアクションと緻密な心理描写で描く緊迫のバトルサスペンス。

主人公・永井圭役の宮野は、「今日は、僕らがこだわって魂を注いで作った作品をみなさんに観て頂けたとても特別な日です」と挨拶し感激もひとしお。
映画を観た感想を聞かれ、「面白かった。非常に面白かったです！原作で感じた“こんな感じの世界観になるんだ”とういう斬新な世界観に引き込まれていきました」と興奮気味にコメント。
さらに、「亜人になってしまったことで、何度も何度も実験を繰り返されていくシーンは、精神的な痛みもかなりのものがあり、演じていても苦しくて、痛くて、本当にやめたいと思えるほどでした」と収録現場を振り返り、「そのくらい全神経を注いで携われる作品に出会えて幸せでした」と目を輝かせて参加の喜びを伝えた。

今作は、収録した音声に合わせて映像を作成する、プレスコという手法で制作。「映像化する上でギリギリの作品で、本当にできるのか？と思ったが、監督たちがその不安に逃げずに立ち向かっていった映像。これはまだ第1部。こんな序詞を見せられたら期待せざるを得ない」と監督はじめスタッフたちの情熱を称えた。

圭の幼なじみ・海斗役の細野も「監督が『ドキュメント風にこの映画を撮りたい』とおっしゃって、世にあるたくさんのアニメとはちょっと違います！実写映画のような雰囲気もあってまるでハリウッド映画みたいでした」と力強くアピール。

戸崎優役の櫻井は、「人間の本能に訴えかける、“生きる”ということを考えさせられる作品でした。“人間ってなんだろう？”と考える良いきっかけになりました」としみじみ。

戸崎の秘書兼ボディーガード・下村泉役の小松は、「収録のとき、目の前にカメラがあって自分の演じている表情も撮られていました」と明かし、「細かい動きや表情などリアルなお芝居になっていると思います。そういうところもぜひ観てほしいです」と見どころを伝える。

田中功次を演じる平川は「昨日まで隣にいた人間が亜人だとわかった途端に、人ってこんなに変わっちゃうのかと。人間のリアルな反応と感情の“薄ら怖さ”が映像からもにじみ出ています」と作品の魅力を語り、「IBM同士の戦いも見どころです」とニッコリ。隣に立つ全身真っ黒な布に包まれたIBMと仲良く手をつなぎ会場を沸かせた。

圭の妹・永井慧理子役の洲崎が、「お兄ちゃんをクズだと思っていて…」と説明すると、すかさず宮野が「宮野真守に『クズ』って言うのはどう？(笑)」と洲崎に迫る。「僕はショックでした」とつぶやき、会場の笑いを誘う場面も。

続けて「収録では“お兄ちゃん”だとしか思っていないので、宮野さんだとは思っていなかった。いつも以上に役に入り込んでしまって、最初のころは現場で宮野さんに話し掛けられなかったです」と振り返った洲崎。「私たちの演技がそのまま生かされていたりするので、タイミングなど全部任せていただき、スタッフのみなさんに信頼していただいて一緒に作ることができて、緊張もしましたがとても光栄でした」と心境を吐露した。

瀬下総監督は、「非常にユニークな原作ですが、収録の音声を整音した段階で、すでにラジオドラマとしても通用するクオリティーの高さになっていた。想像以上に広がった素晴らしい演技に刺激を受けたアニメーターの作る映像や劇伴、音響スタッフの凄まじい効果音など様々な要因が相乗効果となって、演出家の期待以上の作品となったと思います」と大満足の様子。

安藤監督も、「今回のテーマは“生きる”ということ。“生きた”キャラクターを描くにあたって出演者のみなさんの演技力に助けられました。それに負けない絵を作ってくれたスタッフにもお礼を言いたい。また、作品は観ていただく方に届けるために作っているので、この場に集まっていただいたみなさんにもお礼を言いたいです」と深々と頭を下げた。

最後に、「まずは原作が素晴らしい。こんなに斬新な世界観で物語を作るって相当なチャレンジだったと思う」と語あった宮野。「僕は、永井圭のクズなところが大好きなんですよね。嘘がない人間らしさに共感してしまって。とても生々しくて僕は好きだなって思いました。そんな圭を演じたのも楽しかったです。映画は原作よりも圭にスポットの当たった作品になっていると思うので、圭の気持ちを感じながら見ていただけると思います。すごく生々しくて、ドキュメントタッチで、真ん中にある部分はファンタジー。そのリアルとファンタジーの融合が非常に気持ちいい作品だと思いますので、ぜひ楽しんで観ていただきたいです」と、最高の笑顔を見せて舞台挨拶を締めくくった。