映画『惡の華』の完成披露舞台挨拶が、8月8日、東京・TOHOシネマズ日比谷にて行われ、主演の伊藤健太郎とヒロインの玉城ティナをはじめ、共演の飯豊まりえ、秋田汐梨、監督を務めた井口昇が登壇した。
本作は、鬱屈とした青春と行き場のない衝動を描き、思春期の暗黒をえぐり出す、押見修造の自伝的コミックを原作に実写映画化。山々に囲まれた地方都市を舞台に、悶々とした毎日を過ごす主人公・春日高男役を伊藤、春日に執拗につきまとう仲村役を玉城が演じ、春日が片思いするクラスのマドンナ・佐伯奈々子役を秋田、春日と文学好きという共通を持つ常盤文役を飯豊が務める。
井口監督は、「原作を読んで映画化したいと思ったのが8年前で。紆余曲折あってやっと皆さまに観ていただけて幸せです」と、作品の完成を喜んだ。
思春期に苛まれた少年という難しい役どころを演じた伊藤は、「今までやったことのない役で難しかったですね」としながらも、「15~16歳の少年の心になることから始め、当時の自分に戻って気持ちを思い出してみました。お酒もやめて」と役作りと吐露。「激しい撮影の1か月間でしたが、監督が8年間温めてきた作品の主人公をやらせていただいて光栄。全力でやろうと思いました」と振り返った。
強烈過ぎると言われるほど、普段の印象とは180度違う役を演じた玉城は、「原作で確立されていてファンの方も多いので、それを崩さず超えていかなければいけないというプレッシャーがありました」と話すも、演技のスイッチが入るとすぐに役に没頭することが出来たそう。
飯豊は、玉城と伊藤で撮影した海のシーンに話が及ぶと、「撮影は12月で寒かったんですが、服が濡れたら撮り直しできないので、一発本番で撮りました」と述べた。
また、オーディションで満場一致の票を得て役を勝ち取った秋田について、井口監督は「ふり幅がずば抜けていた。可愛い演技はできても、ダークなお芝居ができたのは彼女だけ。ピカイチでした!」と大絶賛。伊藤も「佐伯さんに『がっかりした』と言われて、リアルに傷つきましたもん」と、その演技力に舌を巻いていた。
さらに、特に印象に残っているシーンを聞かれると、玉城は「人生で(他人に)ブルマを履かせることは二度とないと思います。履かせられてよかった」と春日にブルマを履かせるシーンをあげ、いたずらな笑顔を見せた。
一方の伊藤は「ブルマの匂いを嗅いだこと。あれはなかなかない」と苦笑い。すると、すかさず玉城が「すごい、慣れてたじゃん!」と茶々をいれ、会場の笑いを誘う。伊藤は「監督から『繊維、分子の全てを吸い取ってくれ』と言われました」と明かし、監督も「あのシーンがファーストシーンでファーストカットだったんだよね。神様がいた」と笑う。変態度が増していかなかったか?と聞かれた伊藤も「増していってないとは言えない・・・。M的な要素が」と認めつつ「今はないですよ!」と言い、あくまでも役としての心境の変化だと伝えていた。
●予告編
【ストーリ―】
あの夏、僕は仲村さんと出会い、リビドーに目覚めた。
山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった・・・。
仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。
そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう・・・
伊藤健太郎 玉城ティナ 秋田汐梨 / 飯豊まりえ
北川美穂 佐久本宝 田中偉登 松本若菜 黒沢あすか
高橋和也 佐々木すみ江 坂井真紀 鶴見辰吾
原作:押見修造「惡の華」(講談社『別冊少年マガジン』所載)
監督:井口昇
脚本:岡田麿里
主題歌:リーガルリリー「ハナヒカリ」
製作:『惡の華』製作委員会(ハピネット ひかりTV ファントム・フィルム 角川大映スタジオ 日活)
配給・宣伝:ファントム・フィルム
©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会
公式サイト:http://akunohana-movie.jp
twitter:@akunohana_movie
9月27日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー