アカデミー賞監督がどうしても描きたかった衝撃の感動作!!
ミシェル・アザナヴィシウス(『アーティスト』)最新作
『あの日の声を探して』
★室井佑月「テレビのニュースでは見られない、今観るべき映画!」
★ミシェル・アザナヴィシウス監督「無関心こそが悪」
2011年、現代の白黒無声映画『アーティスト』でアカデミー賞作品賞、監督賞ほか全5部門を受賞し、その比類なき才能を全世界に知られることになったミシェル・アザナヴィシウス監督が、1946年にアカデミー賞4部門ノミネートされたフレッド・ジンネマン監督『山河遥かなり』から着想を得て製作された映画『あの日の声を探して』(4月24日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他全国順次公開)。
3月19日(木)都内にて、本作の公開を記念して、フランス・パリより来日した、ミシェル監督と室井佑月さんとのトークショーイベントを実施。映画の内容に沿って戦争に対する現代の人々の意識の持ち方や子供の未来について二人白熱のトークが繰り広げられました。
ミシェル監督のトークショーのお相手に、小説・エッセイなど多数発表され、テレビでの活躍もめざましい室井佑月さんをお迎えして行われた本イベント。
ミシェル監督は、アカデミー賞受賞作「アーティスト」での来日以来、3年ぶりの日本となりますが、久しぶりの来日の感想を問われると、「3年経つとみなさん歳を取った印象ですね(笑)。毎回日本の方にはおもてなしいただいていますし、またこのように来ることができて嬉しいです。」とジョーク交じりにコメント。
来日中の2日間で多くのメディア取材をこなした監督は、本イベント翌日は1日オフとのことで、行きたいところを問われると
「中野ブロードウェイに行きます!」と外見から想像できないオタクな一面を披露。室井さんは「悪口じゃないけど、知的なオタクって感じ。」と指摘し、会場を笑わせました。
室井さんは本作について、「こういう映画を観たかった。戦争映画でよくあるヒーローをたてて、戦争がかっこいいことのように描かれる作品に対して疑問を感じます。それに対しこの作品は、ただ悲惨な現状が映し出されるだけでなく、人間の強さというものが描かれていて、とても胸を打たれました。」と大絶賛!
続けて、「たとえ、非日常的なことが起こっても、人間には生きていく力があるのだというメッセージも感じられました。」と熱い想いを語ると、ミシェル監督は「室井さんの仰る通り、私はこの作品で戦争を描きたかったのではなく、人間を描きたかったのです。」と同意。続けて「人間には順応する力がある。特に子供はその力が強い。本作では、心に傷を負った9歳のハジが悲しみを乗り越え成長していく様子と強制的に兵士にならされた19歳の少年コーリャが、虐殺マシーンと化していく様子も描かれている。
2人の順応するプロセスというものは表裏一体だが、立場が逆であれば同じ道を辿ることもある。」と語りました。
アカデミー賞受賞した前作『アーティスト』とは全く違ったシリアスなテーマを扱った本作。
ミシェル監督は「この映画は扱いづらいテーマだったので、通常は企画を通すのは困難を伴うが、『アーティスト』の成功が僕に勇気を与えてくれたんだ。」と本作を撮るに至った経緯を披露。
最近のイスラム国の日本人人質事件やチュニジアで起こった襲撃事件など、日本でももはやテロとの戦いが対岸の火事とはいえない問題となっている昨今。
室井さんは「チュニジアのテロも30秒しか映像は流れない。テレビのニュースの中では、戦争や様々な事件などをきちんと伝わっていないと思し、そういったことに対して、真に想像力を働かせるのは難しいと思う。」といい、
続けて「だから、このような映画を若い人は特に観ることが大事なのではないかと思うんです。うちの中2になる息子にもみせます!」と自身の考えを明かし、ミシェル監督もそれに呼応するように、「ニュース番組で映る悲惨な状況に陥っている人たちの姿は虚像のようで無力感を感じる。だから映画でそれに実像を与えたかった。無関心でいることはいくらでもできる。しかし、戦争を引き起こす引き金は無関心でもあると思う。だからまずは関心をもつことが世の中と意識を変える第一歩なのではないか。」と語りました。
主人公の9歳の少年・ハジを演じたのは、実際にチェチェンに暮らす素人の男の子で、彼について話しが及ぶとミシェル監督は「彼は素人だったけど、とても行儀が良く、優しい心の持ち主で、僕としては楽に仕事することができた。」と当時を振り返り、また、「彼自身も父親を亡くし、ハジと同じ悲しい経験し、同様に心に暗闇を抱えている。しかし一方で、ハジと同様に成長していっているんだ。」と明かしました。
室井さんは、「自分の子供には、少しでも豊かで安全な世の中であることを望みますね。私は自分の息子に対して厳しいことを結構言うけど、きちんと想像力のある人間に育ってほしいんです。」と自身の息子に対する思いを吐露。また、「何も考えないで日々過ごしていくというのが許せないんです。今は一人の世界を楽しむ人が増えてきていますが、みんなで意見を交換し、考えることが想像力を身につけられる方法なんだと思います。」と自身の意見を述べると、ミシェル監督もまた「僕ももちろん自分の子供には、平和な世界で生きて欲しい。」といい、続けて「他者に対するリスペクトと、寛容な精神をもつことだ大事。そうすれば人は共存できるのんじゃないかな。人は一人では生きることはできない。間違ったとしても、それを受け入れることでまた一歩踏み出すことができるはず。」と語りました。
最後に、本作のお薦めポイントを問われると、室井さんは「リアルな戦争の悲惨さと同時に、人間の強さが描かれていること」と述べ、「すごく考えさせられるし、一人でも多くの方に観ていただきたいです。」とコメント。
一方のミシェル監督は「映画を見て、まずは世界のこのような現状を知ってほしい。でも悲惨な話ではなく、希望の見えるヒューマンドラマですので、是非多くの方に観ていただきたいです。」と作品をアピールしました。
<STORY>
1999年、ロシアに侵攻されるチェチェン。両親を殺され、声を失った9歳の少年ハジ。
一人放浪する彼はEU職員キャロルに拾われる。彼が伝えたかったこととは?
生き別れた姉弟と再び会うことはできるのかー?
監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス『アーティスト』
出演:ベレニス・ベジョ『アーティスト』、アネット、ベニング『キッズ・オールライト』、
アブドゥル・カリム・ママツイエフ、マキシム・エメリヤノフ
原題:THE SEARCH/2014年/フランス・グルジア合作/135分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/字幕翻訳訳:寺尾次郎
原案:フレッド・ジンネマン『山河遥かなり』 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
配給:ギャガ
コピーライト表記:(C) La Petite Reine / La Classe Américaine / Roger Arpajou
4月24日(金) TOHOシネマズ シャンテ他 全国順次公開