「愛したはずの夫は、全くの別人でした――」
芥川賞作家・平野啓一郎 原作 「愛」と「過去」をめぐる、感動ヒューマンミステリー
世界が沸いた!感動ヒューマンミステリーがついに公開!
妻夫木聡「我が子が巣立っていくように感慨深い」
公開初日の喜びを噛みしめる
安藤サクラ・窪田正孝・清野菜名・小籔千豊・坂元愛登・石川慶監督ら
豪華キャストが集結!
平野啓一郎のベストセラー小説を主演・妻夫木聡で映画化、ヴェネチア国際映画祭・釜山国際映画祭と世界の映画祭で絶賛されている感動ヒューマンミステリー作「ある男」が、11月18日(金)についに全国公開した。この度、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、小籔千豊、坂元愛登(子役)、石川慶監督ら豪華キャストとスタッフが登壇した公開初日舞台挨拶を実施した。公開を迎えた喜びや撮影時のエピソード、タイトルにちなみ“ある○○”と題して、最近気になることをプレゼンするトークコーナーも展開。また、タイトルロゴと<ある男>を指し示すキーワード=“X”が書かれたパネルを持った客席をバッグにしたフォトセッションで、公開初日を華やかに祝った。
<イベントレポート>
11月18日(金)に全国337館で待ちに待った公開初日を迎え、丸の内ピカデリーにて映画の鑑賞を終えた満員の観客に大きな拍手で迎えられた妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、小籔千豊、坂元愛登、そして石川慶監督。
“ある男”の正体を追う主人公の弁護士・城戸章良(きど・あきら)を演じた妻夫木聡は「初日にお越しくださって本当にありがとうございます。ヴェネチアや釜山など海外の映画祭に行かせていただいて、やっと日本のみなさんに観てもらえる、ようやくこの日が来たかと、感慨深い。我が子が巣立っていくような感じです。」とホッとした笑顔で語ると、城戸に亡くなった夫の身元調査を依頼する谷口里枝(たにぐち・りえ)を演じた安藤サクラはリラックスした表情で、「今日はすごく良いお天気だったので、(ここに来る前に)散歩をしながらコーヒーを飲んでたら、ふとスマホに“一粒万倍日”という文字が見えたんです。これはいい初日になるな!と思って。おめでたい気持ちでおります。」と返答。
里枝の夫で「谷口大祐(たにぐち・だいすけ)」として生きた“ある男”を演じた窪田正孝は「ありがとうございます。みなさん映画を観てどんな感想をお持ちになったのか、とても興味があります。どこかに感想など書き込んでもらえたら嬉しいです!」と話した。
城戸の同僚の弁護士・中北(なかきた)役を演じた、小籔千豊は、「見ての通り、えげつない俳優の方々と共演させていただき、恐縮しております。台本を見たら、出ている人のえげつなさ、ストーリーの面白さ、僕が関わっていいのかなと震えが止まらない気持ちでした。今日はなにかエッジの効いた炎上寸前のネタで、WEBニュースのトピックスを狙って映画の宣伝に貢献できればと思います。そして、たくさんの方に映画を見てほしいですね。」と軽快なトークで会場を沸かせた。
本物の谷口大祐の元恋人・後藤美涼(ごとう・みすず)役を演じた清野菜名は「本日はありがとうございます。たくさんの方々にお会いできて嬉しいです。」と満席の客席に感謝の意を述べた。
次に、里枝の息子・悠人(ゆうと)役を演じた坂元愛登(まなと)は「この映画を撮影したのが2年くらい前で、撮影の時から声も(変声期で)変わってしまったのですが、僕が悠人です。よろしくお願いします。」と、劇中から一回りも二回りも大きくなった姿でご挨拶。最後に石川慶監督は「企画が始まったのが3年、4年前で、悠人も本当に大きくなったよね。よくここまで漕ぎ着けたなと感慨深く思っています。みなさん、大事な日に来てくださってありがとうございます。」と初日の喜びを噛み締め挨拶をした。
司会より、鑑賞後の皆さんに改めて「映画はどうでしたか?」と聞くと、大きく温かな拍手が沸き起こるところから始まった本舞台挨拶。まず、初日を迎えた気持ちについて訊かれた妻夫木は、「我が子が育ち巣立っていくような、嬉しくもあり寂しい気持ちもある。だけど映画は観てもらってこそ完成すると思うので、やっぱり嬉しいです。」と作品を背負って立つ主演ならではの複雑な気持ちを吐露。ヴェネチアや釜山の映画祭を経験し、その国ならではの観客の反応を目の当たりにし、良い経験になったと語った。
安藤は、「映画の撮影は久しぶりだったので、すごい不安だった。」と心のうちを語る。宣伝活動を通じて「やっと自分の中の不安が、海外映画祭で監督や妻夫木さんと一緒の時間を過ごすことで、安心感に変わった。」と心境の変化があったと言い、「今日公開して、わーっと放たれていくような気持ちです!」とすっきりとした笑顔で話し、また、改めて妻夫木、窪田それぞれの魅力を聞かれると、「みなさんご存知の通り魅力の塊!」と話すと、窪田は「ありがとうございます。嬉しいです。」と照れながらも、共演者については「撮影では(妻夫木や安藤に)そんなに長く会えなかったんですけど、映画祭に行かせてもらったりして、一緒に飛行機に乗る機会ってあまりないじゃないですか。飛行機の時間の過ごし方とか、何気ないところも見れて、めちゃくちゃ貴重だった。」と振り返る。飛行機での様子を聞かれると「サクラさんとは釜山からの帰りは、ずーっとしゃべってましたね。妻夫木さんは、英語の勉強をされていたりとか、映画をみていたり、席が近かったので、実はちらちら見ていました。」と様子を明かされると妻夫木は「僕だけ知らない人の隣だったんですよ!監督の隣とかだったら良かったのに…」と話し和やかなトークが続いた。
清野に撮影時の印象的なエピソードなどを聞くと、「妻夫木さんと小籔さんさんが現場で美味しいレストランの情報交換をしていて、私は話に入れなかったので、終わったらいろいろ聞こうかなと思っています。」というと、「なんぼでも教えますよ!」と返す小籔。清野は作品について、「台本を読んだ時から没頭していく感じがあって、感じたことがない感覚に陥りました。参加できたことを光栄に思います。」と出演の喜びを語った。
小籔に共演の思い出エピソードを聞くと、妻夫木から食事に誘われた話を披露。「僕は妻夫木さんの同僚役ということで、撮影に入る前にご飯に行きましょう!と誘われたんです。そんな役者魂にビビりまくりでしたけど、撮影中も妻夫木さんはすごいしゃべってくる。私はセリフで頭がパンパンですから、話しかけないでほしかったんですが(笑)。(妻夫木は)余裕のある男、僕は余裕がない男。手応えのない男でした。滑りましたね。」と会場を沸かせると、「あと、今回撮影で初めて逆らったことがあるんです。551の豚まんを食べて、「チルドもイケるな」と言うシーンがあるんですけど、台本上は「チルドはあかんな」というセリフだったんですね。そんなこと言ったら大阪に帰れへんと思って、監督に「チルドもイケるな」というセリフに変えてくれと、直談判したんですよ。そしたら、結構あっさり「いいですよ」と言われたので変えました。ほんと、無事大阪に帰れました。」と、大阪人の誇りをかけて監督に”逆らった“意外なエピソードを明かし、会場を笑いの渦に巻き込んだ。妻夫木は「割と普通に写真を撮ったりしてたんで、そんな感じだと思いませんでした。」と言うと、小籔は「撮影が終わったら、ごっつよそよそしい。役作りで騙された感じ!」と拗ねる小芝居で、妻夫木が慌てて否定する和気藹々とした場面も。
坂元は「僕は映画もドラマにも出たことがなくて、本当に初めての撮影だったんです。そうしたら、一番初めの撮影の時に自転車で坂道を上るシーンがあって。監督に「殻を破りなさい」と言われたので、ずっと木に向かって叫んでいました(笑)。」と驚きのエピソードを披露すると、キャスト一同びっくり。母親役を演じた安藤は、「こんなかっこよくなったか!ということに驚いたし、そのことに対して私はこんなに嬉しいんだと思いました。作品の中で愛登と一緒にいられた時間というのはめちゃくちゃ貴重な時間だったんだな、とうるうるしてしまいました。」と正しく母のような気持ちで思いを打ち明けると、窪田も「彼がいろんな出来事を超えて大人になっていく様というか、時間って貴重なんだなと思いますよね。」と、温かな目線で、坂元の成長を喜んだ。
本作のタイトル「ある男」にちなんで最近気になっている、“ある○○”を聞かれると、窪田は悩んだ挙句「思い付かない…パス!」と思わぬラフな回答で笑わせると、安藤が「最近気になっていることは、現場で妻夫木さんが私の変顔を撮ったんですけど、それをどうしちゃったのかなと思ってます。」と明かすと妻夫木は、自身のインスタグラムに上げられない理由として「(現場で)深刻な顔で、私やっぱりこの仕事向いていないと思うの。この作品で辞めようかな」と言っていたから、そんな時の写真をあげるわけにはいかないなって!」と気を遣ったという。安藤は「初日からぼろぼろになっていて、ちょうど自信消失していた時だったんです。でも自信なくても現場に行こうと思えた作品です!」とすっかり元気を取り戻した様子。最後妻夫木が気になっている「ある〇〇」に挙げたのは、「あるシーン」。清野と新幹線に乗る長いシーンをまるまるカットされたことが気になっていると監督の方を振り向くと、石川監督は「すごくいいシーンだったんです。でもカットして本編は良い形になりました。」とにっこり笑った。
最後に、妻夫木は「僕はこの作品で、ダメな自分も認めることも大事だなと気付かされました。そうすることで、幸せってそこらへんに転がっているんだなと気づくことができました。映画を観た後に外に出ると、なんでもない景色が綺麗に見える瞬間があるんですけど、みなさんにとっても『ある男』がそんな作品になっているといいなと思いました。本日はありがとうございました!」と締めくくり、客席から大きな拍手が湧き、公開初日に相応しい華やかで楽しい舞台挨拶が終了した。
【ストーリー】
弁護士の城戸(妻夫木)は、かつての依頼者である里枝(安藤)から、里枝の亡くなった夫「大祐」(窪田)の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経て、子供を連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と再婚。そして新たに生まれた子供と4人で幸せな家庭を築いていたが、ある日「大祐」が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が法要に訪れ、遺影を見ると「これ、大祐じゃないです」と衝撃の事実を告げる。愛したはずの夫「大祐」は、名前もわからないまったくの別人だったのだ・…。
「ある男」の正体を追い“真実”に近づくにつれて、いつしか城戸の中に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていく―――。
出演:妻夫木聡 安藤サクラ 窪田正孝
清野菜名 眞島秀和 小籔千豊 坂元愛登 山口美也子
きたろう カトウシンスケ 河合優実 でんでん
仲野太賀 真木よう子 柄本 明
原作:平野啓一郎「ある男」
監督・編集:石川慶
脚本:向井康介 音楽:Cicada(Taiwan)
企画・配給:松竹
©2022「ある男」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/a-man/
大ヒット公開中!