映画『ベイビー・ブローカー』の来日記念舞台挨拶が、6月26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演のソン・ガンホをはじめ、共演のカン・ドンウォン、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨンと、是枝裕和監督が登壇した。
是枝裕和監督の最新作『ベイビー・ブローカー』は、<赤ちゃんポスト>をきっかけに出会った赤ん坊の母親とベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮しよう追いかける刑事たちが繰り広げる旅路を描く、衝撃と感動のヒューマンドラマ。
主演のソン・ガンホが第75回カンヌ国際映画祭で、韓国人俳優初となる「最優秀男優賞」を受賞し、キリスト教関連の国際映画組織がコンペティション部門の中から「人間の内面を豊かに描いた作品」に与える「エキュメニカル審査員賞」も受賞の2冠に輝き、大注目を集めている本作。
ソン・ガンホは、『パラサイト 半地下の家族』でのプロモーション以来約2年ぶり、カン・ドンウォンは『ゴールデンスランバー』のプロモーション以来約3年ぶりの来日でイ・ジウンとイ・ジュヨンは、映画のプロモーションとしては初の来日となる。
借金に追われるサンヒョンをソン・ガンホ、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンスをカン・ドンウ ォン、〈赤ちゃんポスト〉に赤ちゃんを預けた若い女ソヨンをイ・ジウン、彼らを検挙するため尾行を続ける刑事スジンをぺ・ドゥナ、後輩のイ刑事をイ・ジュヨンが演じる。
約2年ぶりに日本のファンに会うことになった、ソン・ガンホは「こうして日本に来て、皆さまにご挨拶させていただけてとても嬉しいです」と。この物語は韓国や日本に限った特別な話ということではなく、私たちが生きている中で感じる様々なことを伝えている物語ですので、今日はとても意味のある1日になっていると思います」と、来日を喜んだ。
続けて、カンヌ国際映画祭で「最優秀男優賞」に選ばれて瞬間について「カンヌ映画祭では、名前が呼ばれる前まで全く結果が分からないので、とても緊張しました。『是枝監督とキャストの皆さんに感謝します』とスピーチしました」と振り返り、ベイビー・ブローカーという役のオファーを受け「約6年前に釜山映画祭で、初めてこのお話を伺いまして。 是枝監督の作品は全部拝見していて、とてもファンでしたし、尊敬している監督でしたので、とても嬉しくワクワクしてトキメキました。なので、どんな役であってもやらせていただきたいとお返事しました」と話した。
以前より是枝監督と一緒に仕事をしたいと思っていたというカン・ドンウォンは「僕も是枝監督の作品が大好きでしたので、実際に監督とご一緒できて嬉しかった。監督は本当に優しくて、皆さんがご存じのように最高の監督です。今回とても楽しくいい経験になりました」と言い、「撮影が終わることがとても寂しかったです」と名残惜しそうに話した。
監督の誕生日にはカン・ドンウォンが食事に誘い時間と共に過ごしたことも明かされると、監督は「2年連続で、ソウルでカン・ドンウォンさんと誕生日を祝うことになって・・・嬉しかったです(笑)」と照れ笑い。
もとから、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ぺ・ドゥナを頭に入れて脚本を書いていたという是枝監督だが、「6年前のプロットにはこの3人の名前を書いていて、本当に夢が叶って形になりました。冒頭のシーンにぜひ注目していただきたい」と笑顔を見せた。
難しい役どころを演じたイ・ジウンは「これまでドラマ出演はありましたが、長編映画に出演することも挑戦の1つでした。様々な設定がされている難しい役どころでしたが、その設定が立体的に表現できるように意識して、監督とも話をしながら臨みました」と回顧。「是枝監督は監督の作品そのもののような方。その印象はずっと変わらないです」とも。
同じく是枝監督のファンだったというイ・ジュヨンは「ぺ・ドゥナ先輩ら、是枝監督と一緒にお仕事をすることができ、現場でたくさんのことを学んで、感じる姿勢で臨みたいと思っていました。とてもいい経験が積まれて、私にとって忘れらない思い出となる作品になりました」と充実感を滲ませる。
イ・ジウンとイ・ジュヨンのキャスティングについて、是枝監督は「コロナ禍で家でずっと韓国ドラマを観ていまして・・・。特に印象に残ったお二人にオファーしました。もとからファンの方にも申し訳ありませんが、僕の夢が叶いました(笑)。すみません、ありがとうございました」と、嬉しそうに語った。
すると、イ・ジウンが「私は前から監督のことは知っていて、韓国の食堂でお見掛けしまたときに、挨拶したいなと思ったんですけれども、することもできず、そのまま通り過ぎました。それから、監督の作品に出ることになって、監督も私の音楽や作品を知ってくださるということがとても不思議な感じがしますがとても嬉しいです」と過去のエピソードと合わせ不思議な縁を伝えた。
昨日来日したときには、到着した成田空港では多くのファンが出迎えた。ソン・ガンホは「僕はかなり頻繁に日本に来ている方だと思います。2年前の『パラサイト』の時にも挨拶させていただきまして、日本の文化も食事も大好き。今回、成田空港だったんですが、IU(イ・ジウン)はスーパースターなので100人くらいのファンが出迎えていました」と、イ・ジウンの人気の高さを吐露。
続けて「ところが、カン・ドンウォンのファンの出迎えは3人でビックリしました。私は5人でした。とても気分が良かったです(笑)」と言って会場の笑いを誘うと、カン・ドンウォンも大爆笑し、カン・ドンウォンは「ファンの方、頑張ってください・・・」と懇願する始末。「カン・ドンウォンはパリから来たので違う便でしたが、それでも私は気分が良かったです(笑)」と話すと、是枝監督は「現場でもいつもこんな感じで。ソン・ガンホさんがカン・ドンウォンさんをいじってるんですよ(笑)」と微笑ましい様子を明かしていた。
『ベイビー・ブローカー』
<ストーリー>
赤ちゃんを高く売る、ただそれだけのはずだった…
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。
一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていくが・・・。
こうして、<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、予期せぬ特別な旅が始まる――。
■監督・脚本・編集:是枝裕和
■出演:ソン・ガンホ カン・ドンウォン ペ・ドゥナ イ・ジウン イ・ジュヨン
■製作:CJ ENM
■制作:ZIP CINEMA
■制作協力:分福
■提供:ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.
■配給:ギャガ
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