第87回アカデミー賞の作品賞ほか最多4部門を受賞した話題作、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のサウンドトラックを担当した、ジャズドラマーのアントニオ・サンチェスが来日し、4月13日、東京・コットンクラブにて会見を行った。この日はジャズミュージシャンの菊地成孔と、同作の監督アレハンドロ・G・イニャリトゥの作品『バベル』(2006年)に出演した菊地凛子もゲストとして登壇。サンチェスとのトークセッションを楽しんだ。
まずは、菊地成孔が本作について、「多角的な価値を持ち、移民が少ない我が国に紹介するにふさわしい作品。ラストの結末はいったい?と思わせるが、リアルとアンリアルはどうでもいいと思わせる内容」と持論を述べ、「この作品にサンチェス氏のドラム音楽は不可欠。画面と音楽の融合に皆、心を奪われるだろう」と絶賛した。
ここで、アントニオ・サンチェスが登場。スクリーンに投影された劇中映像にあわせて、ドラム演奏を披露。生演奏の迫力に息をのむ観客。ドラムの音がいかに映像に魂を入れていたかを実感した瞬間だった。
その後のトークコーナーでは、「イニャリトゥ監督から『(映画で)ドラムソロ音楽をするが、やるか?やるよな?』と電話があったんだ」と作品に参加するきっかけを明かしたサンチェス。「最初に作られたデモの音はキレイ過ぎて、監督は気に入らなかったんだ。監督は『汚れてくすんでいる音、壊れていると思わせるような音質を』と要求してきたのさ」と、音作りの拘りと苦労をうかがわせた。
作曲家でもあるサンチェスは、「僕には即興がイコール作曲。今回は、映像に反応したストーリーを綴っていると思う」とし、「リーガンの内なる世界、心の葛藤や苦しみなどの感情表現することが出来たのがドラム演奏だったんだ」と力説。
共にメキシコ出身であるイニャリトゥ監督の印象を聞かれると、「いい意味でクレージー(笑)。クリエイティブなスピリットを持っているし、どんな俳優からも最高のパフォーマンスを引き出す事ができる人。僕は自由にやらせてもらったけど、主演のマイケル・キートンは『大変だった』と言っていたね」と笑った。
さらに、本作がアカデミー賞を受賞したことについて、「僕は、最高にラッキーなドラマーだね。自分の音楽・キャラクターを変えることなく参加できで、この機会を本当に嬉しく思うよ」と喜びを隠せない様子。
続いて、菊地凛子が登場し花束を送られたサンチェスは、「実は、彼女の大ファンなんだ。『バベル』は生涯でベストに入る作品。ニューヨークのプレミアの時も見ていたんだよ」と感激しきり。恥ずかしそうに微笑む菊地凛子は、イリャリトゥ監督について「インターナショナルな仕事の場所を与えてくれた最初の人。女優としての強い意思を与えてくれたのもイニャリトゥでした。“決して女優を辞めるな”と言っていただいたことは、今でも心に残っています」と感謝の気持ちを伝えた。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
<STORY>
シリーズ終了から20 年、今も世界中で大人気のスーパーヒーロー“バードマン”。だが、その役でスターになったリーガンは、今は失意のどん底にいる。再起をかけたレイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」の脚色・演出・主演でブロードウェイに立とうとするが、実力派俳優に脅かされ、娘との溝も深まるばかり。果たして彼は再び成功を手にし、家族の絆を取り戻すことができるのか?誰もが共感する“愛されたい”という願い。欠点だらけの男が見出した愛が、観る者の心を撃ち抜く感動の物語。
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ (『バベル』『21 グラム』『アモーレス・ペロス』)
撮影:エマニュエル・ルベツキ(オスカー撮影賞受賞『ゼロ・グラビティ』『ツリー・オブ・ライフ』『トゥモロー・ワールド』)
ドラム・スコア:アントニオ・サンチェス(オリジナル・スコア / 「New Life」で第55回グラミー賞受賞)
キャスト:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライア、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ
配給:20世紀フォックス映画
© 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
PG12
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/birdman/
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■アントニオ・サンチェス来日公演情報
4月14日(火) BLUE NOTE TOKYO
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/antonio-sanchez/
4月15日(水)~4月17日(金) COTTON CLUB
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/antonio-sanchez/