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映画『Bittersand』井上祐貴&萩原利久インタビュー! 井上「暁人に僕自身が刺激を受けた」 萩原は井葉にそっくり!?

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人には大小問わず、何かしら喉のつかえのように残っている過去の出来事というものがある・・・。高校生活は、青春の輝かしき一頁だが、全員が美しい記憶ばかりを持っているわけではない。
杉岡知哉監督がオリジナル脚本を手掛け長編映画監督デビューを飾った『Bittersand』。本作は、何者かが黒板に書いた相関図をきっかけに人生を狂わされた暁人と絵莉子(木下彩音)が7年後に運命的な再会を果たし、事件の真実が明かされていく青春ミステリー。

Astageでは、主人公の暁人役の井上祐貴さんと、その悪友・井葉役の萩原利久さんにインタビューを遂行。本作の魅力、役への向き合い方など、ざっくばらんに語ってもらった。

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― 最初に本作の脚本を読まれたときの感想をお聞かせいただけますか?

井上祐貴(以下、井上):面白い物語と思ったと同時にとても難しい内容だと思いました。18歳から25歳までの7年越しの話ですが、読んでいくうちに点と点が繋がっていき、理解すればするほど深い物語だと感じました。

萩原利久(以下、萩原):高校生の時だからこそ起きる出来事ってあるんじゃないかと思います。若さから起こってしまう人間関係のほつれやトラブルなど。この物語は、高校生の時に関わった人たちが大人になってからその事件を自ら解決していきますが、そういうことって、あまりないことだと思うので、とても新鮮でした。7年間の月日を越えるので、キャラクターはずっと変わらずにいたいと思いました。そして、井葉がいかに重い空気をぶち壊して、中に切り入っていけるかを考えました。井葉のキャラクターに魅力を感じていたので、撮影までの準備時間もとても楽しかったです。

『Bittersand』-(31)

― 二人はとても仲がいいけれど、まったく違うタイプのキャラクターですね。役とどのように向き合っていきましたか?

井上:高校生の時の暁人は、いつも何かを考えているようなイメージでした。相関図事件が起きたときも真っ先に「俺のせいだという噂を流してくれ」と井葉に頼みます。頭の回転も速く、とても意思の強い男。でも、それを表には出さない・・・出せないのかもしれないと考えました。その塩梅を上手く表現できたらいいなと思いました。

― 暁人を演じて、ご自身も刺激を受けたとお聞きしましたが。

井上:辛い過去に向き合ったり、そのことに触れることは誰しも楽しくないと思うし、無理にしなくてもいいと思うのですが、暁人はそこに真正面から向かっていくんです。その意思の強さや、一歩踏み出す勇気にとても刺激を受けました。

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― 萩原さんはご自身では井葉とは似てないと思っていたそうですが、周りの方々から「井葉っぽい!」と言われていたとか?

萩原:はい、似てないと思っていました。
井上:いや、十分似ていますから(笑)。

萩原:僕はいまだに納得はしてないんですけどね・・・(笑)。井葉は作品の中でもポイントとなる人物で、周りと違う色のキャラクター。凄く考えているようで、何も考えていない、何かをやっているようで、実は何もしていない・・・。常に見せかけみたいな部分が多いんです。重いシーンでも、どれだけそれっぽく振る舞えるか、どれだけ緊張感を拾って言うことができるかという部分を考えていました。現場に入るとみんなのお芝居から感じ取って、その空気感を作れるのですが、演じる前にどうしたらいいか想像することが難しかったですね。本読みのときはとてもドキドキしながら参加していました。よく考えると井葉ってこういうことなのかなと。井葉自体が日常的に“井葉”を演じているような気がするんです。そのキャラクターを作っていくうちに、僕自身でも気づかなかった共通点があって、役へ寄り添うことができたのかもしれません。脚本を読んだ段階では「絶対に自分は井葉とは違うタイプ」と思っていました。

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― 井上さんは萩原さんのどこが井葉に似ていると感じられたのですか?

井上:現場で、メイク中やメイクを終わったときとか。ちょっとテンションを上げる曲を流すと、一人ノリノリで(笑)。しかも、同窓会の大事なシーンの撮影日。連日2~3時間しか睡眠時間が取れないほどの撮影量で、みんな疲労も重なっていました。その日はセリフも多いし、緊張感もあって・・・。でも、彼は一人でハイになっていましたね(笑)。どういうスイッチの入れ方をするのかは人それぞれだと思いますが、とりあえずエナジードリンク飲んで、ガンガンに音楽流してテンションを上げていました (笑)。

萩原:(笑)。テンションは大事だと思っています。特にそのシーンは、井葉が入ることでガラっと空気を換えなければいけなかったので、その場の空気に呑まれてはいけないと。その場所が自分とは違う色に染まっていても、バシャっと自分の色を塗り付けなくてはいけないと感じていたので、どんなに重い空気でも、どんなにギスギスしていても井葉のキャラクターはブレてはいけないなと考えていました。そういうところから(井葉っぽいと)言われていたのかもしれませんね(笑)。

井上:テンションを上げるためだけの行為だったら、役作りのためにやっているのかな?と思いますが、それを見ても誰もビックリしないんです。カメラが回っていないときもそういう要素があるから違和感がなかったです、全然(笑)。

萩原:自覚ないですね(笑)。

井上:自覚がないから確信犯なんですよ(笑)。

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― 役と同様に親友のようなお二人ですが、今回が初共演とのこと。お互いの印象はいかがでしたか?

井上:僕は全てにおいて萩原くんに助けていただきました。

萩原:僕も助けていただきましたよ。暁人という役柄もあるかもしれませんが、井上くんがいると現場が締まるんです。井葉はどこまで突っ走っていいのかわからなくなるところがあって、特に暁人と二人でいると突っ走りがち。現場でどこまで行っていいんだろうと思うなかで、暁人というずっとブレない存在が、井葉をちゃんと元に戻してくれるんです。けっこうアドリブも入れていたので、脱線しがちだったのですが、暁人(井上)がいてくれるおかげで僕がどこに飛んでいっても、シーンの到着点にちゃんと立つことができました。全シーンそうだったと思います。

井上:それは逆も言えると思います。僕も台本以外のところでも萩原くんが井葉としていてくれたから、暁人として返すことができた。本当に助けて頂いた気持ちが強いです。

― お二人の会話のテンポがとても良いいですね。あのシーンもアドリブがあったのですか?

萩原:家で会話しているシーンは、撮影の終盤の頃だったので、もうかなり近しくなっていたよね。

井上:距離がかなり縮まっていたので、より自然に感じたのかもしれません。

萩原:ちゃんとコミュニケーションが取れていたので、自然に井葉と暁人として会話が出来ていたと思います。初日の撮影だったら全然違うシーンになっていたかもしれないよね。

井上:そうだね。全然違っていたかも。

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― では、お二人から見た本作の魅力は? 注目ポイントを教えてください。

井上:誰かを守るためだったり、何かを手に入れるためにした行動が悪く見えるところもありますが、この物語には本当に悪い人が誰もいないんです。全員のキャラクターがしっかりしていて、誰もが欠かせない人物だったと思います。そういうことが相まっての7年間という長い期間の話なので、より感情移入しやすいと思います。一歩踏み出す勇気だったり、僕は暁人に背中を押してもらった部分があったので、そういうところに共感して頂けたら嬉しいです。

萩原:高校生のときの事件を大人になってから解決するという、なかなかない要素が面白いと思います。人と人との関係はちょっとしたズレが原因で次々と歯車が狂っていくことがある。昨日まで正解だった人間関係が次の日には変わってしまう、人の感情が崩れていく様は、現実だったら笑えないけれど、フィクションだから面白いのかなと。それぞれのキャラクターが個性的で、様々な方向に崩れていき、また立ち直っていったり・・・・そんな人間らしい部分をたくさん見ることができます。重いシーンもありますが、そこはあえて笑ってしまってもいいと思います。個人的には井葉と暁人との会話が、とてもフラットにできているので楽しんでいただけたら嬉しいです。

― ところで、劇中で「幸せの尺度はその人によって違うんだ」という話をしていますが、日々の中で幸せだなと思ったことがあったら教えてください。

井上:夜、お風呂に入っていつでも寝られる状態で、布団に入った瞬間です。その上次の日が休みだったら最高に幸せですね(笑)。共感してくださる方はたくさんいると思いますが、そんな単純なことです(笑)。

萩原:僕はトマトを食べているときです。

井上:本当!? 初めて聞いたんだけど(笑)

萩原:トマトが一番好き。「好きな料理は何ですか?」と訊かれたら「トマトです」って答えます。生でそのまま食べるのが好きです。プチトマトが大好きで、ヘタを取っている瞬間にこの上ない幸せを感じます!

井上:じゃあ、差し入れで一番嬉しいのはトマト? テンションあがる?

萩原:一番嬉しいのはトマトですね。お弁当にピョンってトマトが1個入っているだけでニンマリしちゃう(笑)。

井上:幸せだね~。

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【井上祐貴 Yuki Inoue】
1996年6月6日生まれ。広島県出身。2017年第 42 回ホリプロタレントスカウトキャラバン審査員特別賞受賞。2018年ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」でデビュー。主な出演作に、2019年「ウルトラマンタイガ」主演。連続ドラマ「ひまわりっ宮崎レジェンド」、オトナの土ドラ「13(サーティーン)」、映画「劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20)、「ホリミヤ」(21)『NO CALL NO LIFE』(21)などがある。

【萩原利久 Riku Hagiwara】
1999年、埼玉県生まれ。2008年デビュー。主な出演作にドラマ「3年A組一今から皆さんは、人質ですー」(19)、「大江戸スチームパンク」(20)、「息をひそめて」(21)、舞台「お気に召すまま -As You Like It-」(19)、映画『帝一の園』(17)、『アイネクライネナハトムジーク』(19)、『十二人の死にたい子どもたち』(19)、『恐怖人形』(19)、「花束みたいな恋をした」(21)など多数にわたり出演。

【21日(水)夕方6時解禁】『Bittersand』ポスター

映画『Bittersand』
<STORY>
吉原暁人25才、さえない日々を送るサラリーマン。ある日、高校時代に想いを寄せていた石川絵莉子と、思いがけない再会を果たす。しかし彼女にとって、暁人を含めたその頃の思い出はすべて、忌まわしい“黒板事件”によって、拒絶すべき過去となっていた。そして暁人も、その頃から自分が一歩も前に進めていないことに気付く。悪友・井葉の力を借り、暁人は自分のため、そして絵莉子のために、「記憶を塗り替える」企てを進めるが…。

監督:杉岡知哉
出演:井上祐貴 萩原利久 木下彩音 小野花梨 溝⼝奈菜 遠藤史也 搗宮姫奈 ほか
配給:ラビットハウス
公式サイト:https://bittersand.net/
公式twitter:@bittersand_eiga
©Bittersand 制作委員会

6月25日(金)シネ・リーブル池袋、UPLINK 吉祥寺他、全国順次公開

<スタッフ・クレジット>
◆井上祐貴さん
スタイリスト NISHIWAKI TOMOKO
メイク MATSUYAMA MAYUMI

シャツ:SHAREEF ¥19,800(税込)
ジャケット:ato   ¥85,800(税込)
パンツ:WYM LIDNM ¥5,500(税込)

◆萩原利久さん
スタイリスト Shinya Tokita
メイク MATSUYAMA MAYUMI

撮影:ナカムラヨシノーブ

井上祐貴&萩原利久さん
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『Bittersand』-(79)