映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』2月23日に東京・TOHOシネマズ 日比谷にて開催され、主演の安田顕をはじめ、共演の倍賞美津子、松下奈緒と、大森立嗣監督、原作者の宮川サトシが登壇した。
漫画家・宮川サトシ氏の同名エッセイ漫画を実写映画化した本作は、宮川サトシが実際に体験した母との最期の日々から葬儀、その後の生活の日々を母親への深い愛情たっぷりに描いた物語。主人公のサトシ役を安田、ガンを告知された母・明子役を倍賞、サトシの恋人・真里役を松下が演じる。
会場に入るやいなや、安田は「いや~、こんなに立派な映画館だとは思わなかった。スクリーンも大きいなぁ~」と、驚くことしきり。「結構こじんまりやってたので、こんなに大きなところに立たせてもらえるとは・・・」と恐縮すると、倍賞、松下、大森監督も「こんなに大きな劇場で・・・」と声を揃える。
公開に向けて精力的にPR活動を務めてきた安田だったが、妻から作品への賞賛を受けつつも「あなたのPRコメントはちょっと弱い」とダメ出しを出されたそう。「『この映画を見ると温かい気持ちになって、前向きになれる』って言っていたじゃない。でも、それだけだとちょっと弱いのよ。もう一つ何かあると、お客さんが来てくれるんじゃない? って言われて」と苦笑い。安田は「そこで、考えました。歩いていて立ち止まったとき、そっと背中を押してくれて、自然にすっと前に進める、そんな映画・・・と付け加えるとか」と大森監督を見やるも、監督は「なるほど・・・」と答え、今ひとつピンと来てない様子。
また、本作の内容にちなんで、「母の存在とは?」という質問が。安田は「子どもの頃、日本舞踊を習うようなお嬢さんだったんですが、その後両親がやっていた商店が潰れ苦労してきたそうなんです」と述べ、「そんな母が、僕の目の前でカレーをこぼした瞬間、『私じゃない』と言ったんです(笑)。そんな母に『一番嬉しかったことは何?』って聞いたら『あなたとお兄ちゃんを産んだことよ』と言ってくれて。この人から生まれて良かった。育ててくれてありがとうと思いました」と、愛情を込め感謝の気持ちを示した。
同じ質問に、賠償は「1つのことを一生懸命やっていく人でした」としみじみ。松下は「私と母が良く似ているようで、後ろ姿を父親が間違えるほどです。この映画を観て、母親が元気でいてくれる、家族の健康が一番のプレゼントだなと思いました」とコメント。大森監督にいたっては「それ、僕に聞きます?(笑)。なんたって、麿赤児の奥さんだった人ですからね。俺と南朋(俳優の大森南朋)を育ててくれた人ですが、父より凶暴でした(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。
さらに、イベントの終盤には原作者の宮川が登場し、直筆イラストをプレゼント。代表して受け取った安田から石橋蓮司のイラストを指摘されると、宮川は「直前に石橋さんのヤクザ映画を観てしまったので・・・。今日は来られないということでしたので、ちょっと安心しています(笑)」と答え、会場を沸かす。
最後に安田が「シンプルにこういう作品に携われたことが嬉しいです。キャストを含め監督ほか皆さんと出会えたこと、倍賞美津子さんを母親として時間を過ごせたこと、大森組でこの撮影をできた時間に、心から感謝を申し上げます」と感慨深げに語り舞台挨拶を締めくくった。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
【STORY】
頼りないが優しい息子・サトシと明るくてパワフルな母・明子。平凡でユーモラスな宮川一家の日常は、母が突然ガンを宣告されたことによって変化していく。サトシは恋人の真里に励まされながら母のために奔走し、家族は戸惑いながらも支えていく。そして…母と別れて1年後、やっと家族それぞれが新たな人生へのスタートをきった頃、サトシの元に突然、母からプレゼントが届く。それは、想像をはるかに超えた特別な贈り物だった――。
安田 顕 松下奈緒 村上 淳 石橋蓮司 倍賞美津子
監督・脚本:大森立嗣
原作:宮川サトシ「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」 (新潮社刊)
音楽:大友良英 主題歌:BEGIN「君の歌はワルツ」(テイチクエンタテインメント/インペリアルレコード)
配給:アスミック・エース
製作:「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金
2019年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/108分
©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会
公式HP: http://bokuiko-movie.asmik-ace.co.jp/
公式Twitter:@bokuiko_movie #ぼくいこ
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