Open Close

映画『キャッツ』 トム・フーパー監督&フレンチェスカ・ヘイワード来日インタビュー!! フーパー監督、フレンチェスカの才能にぞっこん!「彼女がいなければこの映画は出来ていなかった」

_AAA1065

Photo:Kazuhiko Okuno

1981年のロンドン初公演以来、今なお世界中で愛され続けるミュージカル「キャッツ」がついに映画化。『レ・ミゼラブル』『英国王のスピーチ』『リリーのすべて』で知られるトム・フーパー監督をはじめ、製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグ、アンドリュー・ロイド=ウェバーらが集結。主人公ヴィクトリア役には英国ロイヤルバレエ団でプリンシバルを務めるフランチェスカ・ヘイワードをはじめ、ジェニファー・ハドソン、世界的人気シンガーのテイラー・スウィフトなど豪華キャストが出演し、個性豊かな猫たちが新しい人生を歩むため奮闘する姿を描く。

また、吹替版が許されたのは世界で2つの国だけ。その1つが日本。日本語吹替版キャストには葵わかな、山崎育三郎、高橋あず美、秋山竜次(ロバート)、森崎ウィン、大貫勇輔、藤原聡(Official髭男dism)、大竹しのぶという豪華な顔ぶれが揃っている。

Astageでは、来日中のトム・フーパー監督と主演のフランチェスカ・ヘイワードにインタビューを遂行。本作に対する思いを語ってもらった。

_AAA1152

Photo:Kazuhiko Okuno

― 今回の来日中では、天皇陛下ご一家、ヴィクトリアの日本語吹替版を務めた葵わかなさんと一緒に本作を鑑賞されましたが、お会いになられていかがでしたか?

フランチェスカ・ヘイワード(以下、フランチェスカ)私は土曜の夜にロンドンでロイヤルバレエ団の公演に出ていたんです。そしてすぐに飛行機に乗って、2日後にはなぜか日本の天皇陛下にお会いしているというとても不思議な体験をしました。もちろん両陛下と内親王愛子様とご一緒にこの映画を観ることができたのは本当に光栄なことだし、両陛下と愛子様も映画をとても気に入っていただけて嬉しかったです。そして、葵わかなさんも本当に可愛らしくて! 歌も凄く素晴らしいですし、日本語吹替版のヴィクトリアを演じるには、まさにピッタリな方だと思いました。

トム・フーパー監督(以下、フーパー監督)何が素晴らしいって、上映をしている間、天皇陛下ご一家がいらっしゃったのですから。劇中のジョークで笑われたり、音楽に合わせてリズムを取られたりとか、前のめりになってご覧になっている様子でしたね。
上映が終わると、天皇陛下が「素晴らしかった! とても楽しかったです」と満面の笑みを浮かべて仰ってくださって、大変光栄でした。
またご家族で見ていただいたというのも、僕にとって大きな意味がありました。この作品はどんな年齢の方にも、家族みんなで観られるように作ったので。ご一家で観ていただいて嬉しかったです。

そのあと歓談する時間があったのですが、T・S・エリオットも天皇陛下とご一緒のオックスフォード大学のマートンカレッジで学ばれたというお話などをしました。『レ・ミゼラブル』の時に来日した際には、まだ皇太子でいらした天皇陛下がご自身の留学記「テムズとともに」という著書を私にプレゼントしてくださったんです。その感想をまだお伝えしてなかったので、いかに素晴らしく実態を捉えられているかということをお話しました。皇后陛下も同大学のベリオールカレッジで学ばれていたそうで、そのことでもお話が盛り上りました。また、天皇陛下は留学中の84年に「キャッツ」の舞台をご覧になっていたこともお聞きしました。

サブ1

― フランチェスカさんは今作でスクリーンデビューを果たされました。初めて歌も披露されましたが、演じられていかがでしたでしょうか?

フランチェスカ:すべてが新鮮でした。ロイヤルバレエ団では、演出家や監督から「次はこの作品で演じてください」と言われるので、オーディションというもの自体をしたことがなかったんです。ですから、オーディションの段階から全てが自分にとって新しい体験でしたし緊張もしました。人前で歌を披露したこともなかったですしね。現場に入ってからは、右も左も全くわからない状態で、知らない専門用語が毎日スタッフの間で飛び交っていました。フーパー監督からも手取り足取り色々教えていただきました。あと、カメラの位置をチェックしながら、目線や動きにも常にカメラを意識して演じました。普段(バレエダンス)はカメラ無しでパフォーマンスしているわけですから、そういった部分でも毎日が勉強でした。

また、イアン・マッケランやジュディ・デンチなど、ベテランの名優の方と共演していろいろ教わることも多かったのですが、自分の通常のゾーンから飛び出してチャレンジするという意味では、みんな同じ位置に立っていたのかもしれません。例えば、彼らが歌やダンスを披露したり、バレエダンサーがタップに挑戦したりね。新しいことに挑戦するという意気込みがあって、とても団結した現場でした。

フーパー監督:(フランチェスカを見て)答えるがの上手になってきているね。
フランチェスカ:(照れながら)ありがとう。

_AAA1145

Photo:Kazuhiko Okuno

― 監督はフランチェスカさんをキャスティングした理由をお聞かせください。

フーパー監督:見ればわかるでしょ?(フランチェスカを見てニッコリ)
今作の配役はとても大きなチャレンジでした。なぜなら、トップクラスのダンサー、そして歌も歌えて演技もできるという人が必須だったから。第2候補の人は彼女との実力が離れすぎていて、正直フランチェスカが存在していなければ、この映画は作れていなかったと思っています。

彼女は、いま世界で最も偉大なバレエダンサーの1人であり、本当に素晴らしい才能の持ち主です。撮影後にも彼女の公演を2回観ましたが、ダンサーとしての直感が非常に傑出していて、あらためて本当に素晴らしいと思いました。さらに歌も歌うことができるんだから。
特に驚いたのは、カメラに対しての直感の鋭さ。カメラを引き付ける力を持っている。アップになったときに自分がどういうふうに振舞ったらいいか・・・を本能的に分かっている。撮影が進むごとにまた新たな才能を発見して、本当にワクワクしました。
彼女の才能は、ジュディやイアン級です。そういうキャスティングというのは一生に一回あるかないかだから、本当に僕はラッキーな監督でしたね。

メイン2

サブ5

― フーパー監督は、1981年のロンドンで初演された舞台を8歳の時にご覧になって、そのあと音楽は何度も聞かれていたとのこと、フランチェスカさんも劇中歌は何度も聞かれていたそうですね。今作には「ビューティフル・ゴースト」という書き下ろしされた曲もありますが、数々ある素晴らしい楽曲の中で、特にお勧めしたい曲があったら教えてください。

フーパー監督:僕は子供のころ「マキャヴィティ」が大好きだったので、テイラー・スウィフトが快く承諾して歌ってくれて嬉しかった。スキンブルシャンクスの鉄道猫の曲は、子どもの頃はそこまで好きではなかったんだけど、本作ではスティーヴン・マックレーが昔のミュージカルにオマージュを捧げたような素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたのでお勧めしたい1つです。それからやはり「メモリー」は今でも涙を誘うので、挙げないわけにはいかないですね。「ビューティフル・ゴースト」も、本作のために書き下ろされた楽曲ですし、フランチェクスカがとても美しく、感情ゆたかに情緒的に歌ってくれています。

_AAA1069

Photo:Kazuhiko Okuno

― 日本にはミュージカル版「キャッツ」のファンの方がたくさんいます。そんな方々を含め、これから映画をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。

フーパー監督:まず、この作品は5歳から85歳まで、家族の方と一緒に観ていただきたいという思いで作りました。僕が幼い頃「キャッツ」の舞台を観た時のように、童心に返って楽しんでもらえたら嬉しいです。本作はアンドリュー・ロイド=ウェバーとコラボレーションして作っているので、舞台版のファンの方には、舞台版に忠実である作品であることを理解して観てもらえると思います。そして、初めて『キャッツ』に触れる方には、映画的な壮大な体験としてロンドンの街やダンスを美しく見せているので、楽曲とともに楽しんでいただきたい。

僕が一番ワクワクしているのは、本作の吹替え版は世界で2つしか作っていないんですが、その1つが日本語吹替版だということ。豪華な日本のキャストが集結しています。日本の方々は歌詞を重要視されていると聞いているので、一番良いのは字幕版と、日本語吹替え版を両方観てもらうことかな。あと、この作品はぜひ劇場の大きなスクリーンで観ていただきたい。タブレットやスマホじゃなくて映画館でね。

サブ5

サブ6

トム・フーパー監督、フランチェスカ・ヘイワード
Photo:Kazuhiko Okuno

catsポスター

【ストーリー】
扉の向こうには、 なにが待っているの―?
満月が輝く夜。若く臆病な白猫ヴィクトリアが迷い込んだのはロンドンの片隅のゴミ捨て場。
そこで出会ったのは個性豊かな 〝ジェリクルキャッツ〞 たち。ぐうたらな猫、 ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、 勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫・・・様々な出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。
一生に一度、 一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く。

<極上の日本語吹替え版>
日本語吹替え版音楽プロデューサー…蔦谷好位置
日本語吹替え版キャスト…葵わかな/山崎育三郎/高橋あず美/秋山竜次(ロバート)/森崎ウィン/大貫勇輔/藤原聡(Official髭男dism)/山寺宏一/宝田明/浦嶋りんこ/RIRI/宮野真守/沢城みゆき/山路和弘/朴璐美 and 大竹しのぶ

◆監督:トム・フーパー(『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』『リリーのすべて』)
◆脚本:リー・ホール(『戦火の馬』『リトル・ダンサー』)、トム・フーパー
◆製作総指揮:アンドリュー・ロイド=ウェバー、アンジェラ・モリソン、ライザ・チェイシン、ジョー・バーン
◆原作・原案:T・S・エリオット、アンドリュー・ロイド=ウェバー
◆キャスト:ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、
イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン ANDフランチェスカ・ヘイワード
◆コピーライト:© 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
◆全米公開:2019年12月20日
◆公式HP:https://cats-movie.jp/
◆公式 Twitter:@catsmovie_jp

全国絶賛公開中!