映画『ちひろさん』の完成披露舞台挨拶が、2月5日、東京・スペースFS汐留にて行われ、主演の有村架純をはじめ、共演の豊嶋花、嶋田鉄太、vanと、今泉力哉監督が登壇した。
安田弘之の人気漫画『ちひろさん』を原作に実写映画化。本作は、元風俗嬢で海辺の町の小さなお弁当屋さんで働くちひろが、心に傷や悩みを抱えて上手く生きることができない人々と交流し、彼女の言葉や行動がそれぞれの生き方に影響を与えていく人間ドラマ。主人公・ちひろをNetflix作品には初出演となる有村架純が演じ、ちひろに心惹かれる高校二年生・瀬尾久仁子（通称：オカジ）を豊嶋花、シングルマザーの母親と暮らす小学三年生の男児・佐竹マコトを嶋田鉄太、ちひろの友人でショーパブで働く・バジルをvanが扮し、他にもリリー・フランキー、風吹ジュン、平田満、根岸季衣、若葉竜也、佐久間由衣など豪華キャストが集結。監督は『愛がなんだ』、『his』『窓辺にて』などで知られる今泉力哉が務めた。
原作を読んで、「この話を作った人に会いたいと思ったくらいだった」という今泉監督は、「ちひろさんが出会った人を一生懸命に応援するというよりも、寄り添うというか伴走するような感じ。寂しさというものがマイナスなことじゃなく見えて、そこに惹かれた」と映画制作に至る経緯を明かす。
有村は「私もちひろさんの世界観が大好きになって、原作を読みながら自分が演じるかもしれないということを忘れて没頭してしまいました。ちひろさんという女性の沼にハマっていく感覚がありました」と、作品に魅了されたことを明かし、「これを自分が演じるとなると凄くハードルが高いなと思いながらも、今泉さんや制作側の人たちがどうしてこの作品を届けたいかというところに私も凄く共鳴して。孤独をテーマにしている作品ですが、いまこの年齢で社会に対して生きづらいと思っている方や同じ女性として生きづらいと思っている方にぜひ届けたい作品だと思い、私がその役目になれるのであれば光栄だなと思いました」と、オファーを受けた時の気持ちを吐露。
また、ちひろを演じたことに、「正直100％ちひろさんに近づくことができたかというと、その手応えみたいなものがなくて、今でも正解がわからない。ちひろさんは本当に掴みどころがなくて、最後まで“ちひろ”と呼ぶことができなかった。きっとどれだけ一緒に過ごしても“ちひろさん”のままなんだろうなって。そういう距離感なんだろうなと思いました」と役がらと向き合っていた様子。
豊嶋と嶋田のキャスティングについて、監督は「豊嶋さんは人柄をみて決めさせていただきました」とし、嶋田については「オーディションのときに“泣き”の芝居ができなかったんです。そうしたら、会場の部屋を出る前に『泣けないところが出ちゃったかぁ･･･』って言ってるんです。不安要素もありましたが、あの落ち着きのなさ、凄く自由さもあって(笑)、次に豊嶋さんと一緒にやってもらって、嶋田くんに賭けようと思いました。実際、セリフもめちゃくちゃ入るし、演出を変えてもすぐに対応できる。嶋田くんでよかったです」と、嶋田の演技に太鼓判を押した。
劇中でも有村と豊嶋、嶋田の3人の掛け合いは見どころの1つ。有村は豊嶋との共演に、「ビジュアルから“オカジ”でした。花ちゃんということを忘れるくらい“オカジ”にしか見えなかった。マコトとの掛け合いも凄く自然で、私はオカジとマコトの二人を微笑ましく見ていました。とにかく礼儀正しくてしっかりしている印象です」とべた褒め。
その言葉に豊嶋は「本当に今の言葉が嬉しすぎて！」と大興奮。「 私も有村さんがちひろさんにしか見えませんでした！」と満面の笑みを浮かべた。嶋田も有村との共演に「楽しかったです！有村さんも花ちゃんもずっとそのままでした」と話す。有村が「それは喜んでいいことかな？」と声を掛けると、「うん」とニッコリ。「ありがとね」と有村が返し、会場はほのぼのとした空気が流れた。
一方で、vanとのシーンは大人の時間が流れる。有村が「初めての演技とは思えないくらい凛とされていた」とvanを称えると、vanは「緊張していたんですが、有村さんが気さくに話しかけてくださって。そんな中でちひろさんとバジルの距離感が生まれたんだと思います」と有村に感謝の気持ちを伝えていた。
イベントの終盤には2月13日に30歳の誕生日を迎える有村にお祝いのサプライズも。嶋田から花束を贈られた有村は「振り返ってみると、20歳からあっという間の10年でした。とてもありがたい10年間でしたので、このもう戻ってこない20代に思いを馳せながら30代を迎えられたらなと思います」と喜び、「30代になったら、柔軟な心を持って、皆さんとディスカッションをしながら、よりよい作品を届けられたらいいなと思っています」と決意も新たにしていた。
最後に有村が「多様性が認められつつある今の社会。その方向性はとても風通しがよく素晴らしい方向に向いているなと思っています。この作品を観て、あらためて人との距離感や、今の自分はこのままでいいのだろうかと悩まれている方が“ちひろさん”という女性に出会ったことで、救いとなってくれるような作品だと思います。私もちひろさんのように孤独を愛せる女性になれるように30代は進んでいけたらいいなと思います」と笑顔でメッセ―を送っていた。
Netflix映画『ちひろさん』
＜ストーリー＞
きっと彼女に、会いたくなるー。
ちひろは、海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢。
ちょっと口が悪くて、マイペース。そして自由。そんな彼女は街では浮いている。へんな”おとな”だ。
でもなんでだろう、彼女に会いたい。
ひとり母の帰りを待つ小学生、本音が言えない女子高生、そして無口なホームレスのおじさん・・・・ちひろの優しくない言葉と素っ気ない態度が、さびしくて不思議とあったかい。
この不思議を体験しに、さあ、ちひろさんに会いに行こう。
有村架純
豊嶋花 嶋田鉄太 van
若葉竜也 佐久間由衣 長澤樹 市川実和子
鈴木慶一 根岸季衣 平田満
リリー・フランキー 風吹ジュン
原作：安田弘之『ちひろさん』（秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊）
監督：今泉力哉
脚本：澤井香織 今泉力哉
音楽：岸田繁
主題歌：くるり「愛の太陽」（VICTOR ENTERTAINMENT / SPEEDSTAR RECORDS）
製作：Netflix、アスミック・エース
制作プロダクション：アスミック・エース、デジタル・フロンティア
配給：アスミック・エース
PG12
公式HP：https://chihiro-san.asmik-ace.co.jp/
Netflix作品ページ：https://www.netflix.com/ちひろさん
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之（秋田書店）2014
2023年2月23日（木・祝）
Netflix全世界配信＆新宿武蔵野館にて劇場公開
Netflix (ネットフリックス) について
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