岡田准一、木村大作監督の感極まる姿にもらい泣き！ 「大作さんを友のように思い一緒に撮影した」 映画『散り椿』初日舞台挨拶

映画『散り椿』の初日舞台挨拶が、9月28日に東京・TOHOシネマズ 日比谷にて行われ、主演の岡田准一をはじめ、共演の西島秀俊、黒木華、池松壮亮と、木村大作監督が登壇した。

本作は、直木賞作家・葉室麟の同名小説を映画化。妻の最期の願いを胸に藩の不正や権力に立ち向かっていく男の生きざまを描き出す時代劇。日本映画界の巨匠・木村大作がメガホンをとり、主人公・瓜生新兵衛役を岡田、新兵衛の友でありながら対峙することになる榊原采女役を西島が演じている。

公開を迎え感慨深い表情の木村監督は、他の登壇者が挨拶を初めてもじっと動かず、客席を見つめていた。そして、いよいよ監督にマイクが回ってくると、「わぁ～！」と声をあげ両手を上げて万歳をし「泣きそうです。来年80（歳）になる男が皆さんを見て感激しております」と満席の客席を見渡した。

これには、共にこの日を待ちわび、舞台挨拶に立ったときから涙をこらえていた岡田も思わずもらい泣き。撮影の思い出を聞かれるも「すみません･･･」と言葉が続かない。横から西島がそっとハンカチを手渡し、背中をポンポンと叩いた。涙を拭い、声を絞り出すように話し始めた岡田は、「大作さんが人生を懸けて今ここに立っているというのを、現場でも感じていたし、己の人生を懸けて映画を撮る背中で見せていただいた。大作さんが笑顔でいてくれるのが、皆の幸せでした」としみじみ。

さらに「この１週間、ずっと大作さんがセンチメンタルになっていて…。映画業界では怖いと有名な方なんですが、『准ちゃん、眠れないんだ』と言っていた。大作さんの映画に対する思いをずっとそばで見ていたので、やばかったです」と監督への思いを吐露。

続けて、「大作さんの孤独を知ったとき、一番の理解者でありたいと思ったし、大先輩に向かって失礼ですが、“友”のように思って一緒に撮影しました」と答え、「人生の終焉を歩いているとおっしゃる監督が、僕とやりたいと言った重みを感じていました。これを終わりと思わず、もう1本でも2本でも撮られることを望んでいます」と語り、木村監督と熱いハグを交わした。

黒木は、木村監督に「俺は誰よりも君を美しく撮るから」と言葉を掛けられたそうで、「映画の中で（黒木演じる）里美という女性が美しく映っていたと思うので、女優として嬉しかったです」と微笑んだ。

一方、西島は「今回、大作さんとご一緒して、僕が見たかった撮影所の人たちの情熱や熱気を感じました。活動屋の息吹を感じさせてくれた」と興奮気味に語り、木村監督に感謝していた。

撮影中、ラストカットで木村監督が倒れて事も明かされ、木村監督は「このカットを撮ったら全ての撮影が終了すると考えたら気分が悪くなり、嘔吐してしまったんです。それが、飲んでいたコーヒーだったので、吐血と勘違いしちゃって。俺もいよいよ終わりだと考えながら、死んだら確実に新聞に大きく出て、ヒット間違いなしだろう。それも格好いいなと思った」と語り、会場を沸かす。

池松は、「遺作みたいな流れになっているけど大丈夫ですかね。僕はまだ撮ってほしいんですけど･･･」とつぶやき、笑いを誘うも「木村監督の人生のひとときを見せてもらい本当に光栄でした。撮影中は、毎日ご飯を食べさせてもらい、感謝しています(笑)」と、監督への思いを口にした。

木村監督は、「嘘ではなく、岡田さんは俳優さんの中で僕のことに一番詳しい。僕の過去や、考えていることが分かるんです」とし、「岡田さんもですが、ここにいる俳優さんは皆さん“素晴らしい”を超えて“凄い”人たちです！」と賛美の言葉を送っていた。

映画『散り椿』
＜ストーリー＞
享保15年。かつて藩の不正を訴え出たが認められず、故郷・扇野藩を出た瓜生新兵衛（岡田准一）は、連れ添い続けた妻・篠（麻生久美子）が病に倒れた折、彼女から最期の願いを託される。「采女様を助けていただきたいのです……」と。
采女（西島秀俊）とは、平山道場・四天王の一人で新兵衛にとって良き友であったが、二人には新兵衛の離郷に関わる大きな因縁があったのだ。 篠の願いと藩の不正事件の真相を突き止めようと、故郷・扇野藩に戻った新兵衛。 篠の妹・坂下里美（黒木華）と弟・藤吾（池松壮亮）は、戻ってきた新兵衛の真意に戸惑いながらも、凛とした彼の生き様にいつしか惹かれていくのだった。
散り椿が咲き誇る春――
ある確証を得た新兵衛は、采女と対峙することになる。
そこで過去の不正事件の真相と、切なくも愛に溢れた妻の本当の想いを知ることになるのだった……。しかし、その裏では大きな力が新兵衛に迫っていた――。

出演：岡田准一　西島秀俊　黒木華　池松壮亮　麻生久美子
緒形直人　新井浩文　柳楽優弥　芳根京子　駿河太郎　渡辺大
石橋蓮司　富司純子　奥田瑛二
監督・撮影：木村大作
脚本：小泉堯史
(C)2018「散り椿」製作委員会
公式サイト：http://chiritsubaki.jp/

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