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三吉彩花&阿部純子インタビュー! 映画『Daughters』「純ちゃんが彩乃としてそこにいてくれていたから私は小春でいられた」(三吉)、「悩みながら私も彩乃の選択を受け入れた」(阿部)

『Daughters』三吉彩花さん×阿部純子さん-(8)

東京・中目黒を舞台に、ルームシェア生活を送る2人の女性の揺れ動く心情を描いたヒューマンドラマ、映画『Daughters(ドーターズ)』。ファッションイベント演出家であり映像作家の津田肇が、脚本と監督を務め、初の長編作品に挑戦。妊娠した友人をそばで見守る小春役を三吉彩花、悩みながらもシングルマザーとして出産の決断をする彩乃役を阿部純子が、仕事も遊びも充実した毎日を送る27歳の親友同士を演じた。

今回、AstageではW主演の三吉彩花さんと阿部純子さんにインタビューを遂行! それぞれの役をとてもナチュラルに演じられたお二人が、本作への思い、お互いのリスペクトの気持ちから、撮影の裏話までたっぷりと話してくれた。

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― お二人は今作で初共演されましたが、初めてお会いになったときの印象、そして共演されてからの印象を教えてください。

阿部純子(以下、阿部):三吉さんはいつもお洋服をシックに着こなされているので、最初はどんなお話から始めたらいいのかと緊張しましたが、実際に話してみると凄く話しやすかったです。女性から見てもカッコいいし、頼りがいのある方だなと思いました。タイプが違う私たちですが、私にないものを三吉さんが持っていて助けられる場面がたくさんありました。撮影が進んでいくと、お互いに補いあうことができる関係性になっていったと思います。

三吉彩花(以下、三吉):最初はどういう方なのか全くわからない状況でしたので、私も何から話したらいいんだろうと(笑)。たぶん性格も真逆なんだろうなとは思っていました。ですが、女性二人がルームシェアしてずっと一緒に暮らしていくには、相当信頼関係がないとできないことですし、(演じるうえで)そこまで関係性を持っていくには、何かしらアクションを起こさないといけない。なるべく話しかけたり、実際に撮影で使われた二人の部屋で一緒にご飯を食べて1日過ごしてみたりしました。だんだん時間がたつにつれて、(阿部は)けっこう喋る子なんだなとわかってきて(笑)。とても好奇心がある方で、自分の話や、興味のあることを色々話してくれて、私も心を開いていくことができました。

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― 初めてお会いしたのはいつでしたか?

三吉:いつだっけ?
阿部:アパートメントで会ったのがほぼ初めてだったんじゃない? 三吉さんが最初に台本をいただいたときに、「(撮影前に)アパートに二人だけで行きましょう」って話してくださったんです。それは二人で住んでいる設定なのに、撮影が入ってしまうと撮影のスタッフさんたちが部屋に入ってしまうので実際には状況が違う。二人だけであのアパートにいたらどんな感じなんだろうということを感じ取りたかったから。
三吉:そうだね、その時が“二人で会った初めて”かな。
阿部:二人で好きな食べ物を買って、アパートに行ってゆっくり食べながらダラダラしてました(笑)。でも、そういう時間があったから、二人の空間が作れたのだと思います。

― とても貴重な時間だったのですね。

三吉:その時間で(二人の関係性が)変わりました。

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― それでは、それぞれどのように役と向き合って演じられたのでしょうか? またご自身と似ているところはありましたか?

阿部:私が彩乃と似ていると思ったところは、決断力があるところです。1つ決めたら後悔せずにやり抜くところは似ていると思います。ただ、彩乃は一人で全部決めることができる自立した女性ですが、私は色々な人に相談して、いろんな選択肢を考えて慎重に決めていくタイプなので、決断の仕方は違います。今回は資料を読んだり、出産を経験した友達に話を聞いて、役作りの参考にしましたが、やっぱり母になる実感はないので、本当の気持ちはわからない。そのわからないところが役とちゃんと向き合えているのかと考えてしまって、常に撮影中は葛藤していました。ところが、改めて完成作品を観たら「わからないままでいいし、人それぞれ違う反応があっていいんだ」ということに気づかされたんです。彩乃の選択、流れた時間をそのまま受け止めることができました。

三吉:彩乃の妊娠が発覚したときに小春は「私はこう思う」と自分の思いを話すシーンがありますが、基本的には小春は周りの空気を読んで、周りの温度感を見ながら話を合わせていけるタイプなので、そこは自分と似ていると思います。私も純ちゃんと同じように、到達する経路まで似ているわけではないんですが、小春を理解することはできました。
今回、私は何も役作りをしませんでした。お芝居をしている二人のようには見せたくなかったから。二人が過ごして、二人が感じて、相手の言葉をちゃんと受けて出てきた言葉で会話が成り立っている。二人の女性が新しい命とともに少しずつ成長して強くなっていく話になったらいいなと思いながら臨みました。
純ちゃんは妊娠の場面で本当に悩んでいて、現場でも監督に何回も聞いていました。自分で解消したいけど、消化しきれていない感じをずっと隣で見ていたので、純ちゃんが悩んで向き合っていたからこそ、それを受けた私のスタンスがちゃんと小春になっていた。純ちゃんがずっと彩乃としてその場にいてくれたので、私も自然に小春でいられたと思います。

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― 女性の友情を描いていますが、決してベタベタはしていません。二人の距離感がとてもステキですが、演じられたご自身から見て二人の関係性はどのように感じましたか? また、女性同士の友情で大事なことは何だと思いますか?

三吉:完成作品を観たときに、普段は自分の芝居を観て、あまり客観視することはないのですが、この作品は二人(三吉と阿部)がそのまま小春と彩乃として存在してスクリーンに映っていて、二人が生活をしている様子を観ているという感じだったので、とても客観的に観ることができました。その人の生き方や人との繋がり、親友と友情や支えあいなど、結ばれているものがちゃんとあって前に進んでいる女性二人は美しいと感じました。二人の関係性はとても信頼あるものだったのではないでしょうか。
また、みんな人それぞれ価値観も違うし、1つの出来事をどう捉えるかも違うと思います。自分の友達にも「私は絶対にこう思う」という発信はあまりしないようにしています。もちろん自分の意見を言わなければいけないときは言いますが、みんなの意見も聞く。人として当然かもしれませんが、思いやりを持って相手の気持ちになって考えることを大事にしています。そうすると自然とポジティブな友達だけが周りにいるようになりました。仕事を一緒にする人たちも含めて、とても温かい人ばかりです。

阿部:彩乃と小春は、今まであまり見たことのない関係性の二人でした。家族ではないのに、自分のライフステージが変わるときに傍で寄り添ってくれる人がいる。元々は友達であって、その関係性がシーンによっても変わってくる。彩乃のお腹がどんどん大きくなるにつれて変わっていく映像が日本の四季と混ざりあっていてステキだなと感じました。
女性同士の友情で大事だと思うことは、いかに寄り添えるかということ。三吉さんも仰っていたように、自分の思っていることを押し付けるのではなく、自分の意見は意見として持ちながらも、寄り添える関係性があれば思いやりも生まれるし、心の支えになると思います。

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― また、お二人のお芝居の素晴らしさはもちろんですが、ファッションやインテリアなども芸術的で楽しめる作品です。そんな作品を体験されていかがでしたか?

三吉:私は普段から海外の映画作品を観ていて、特にフランス映画が好きなんです。この作品に近いものを感じました。色彩もとても美しくて、音楽や二人のテンションや物語の進みかたも緩やかです。物語では回想シーンが何回か出てきますが、そこに印象的な音楽や光が映っていてとても新しい作品です。人としての生き方、成長の話でもあるし、女性同士の友情の話をとてもlight(軽やか)にナチュラルに観ることできます。

阿部:衣装をプロデュースされるかたがスタッフとしていらっしゃるのは初めての体験でした。スタイリストさんをはじめ、デザイナーさんもいらして。自分が普段しないようなメイクや、衣装を身に着けさせていただいて、私自身もときめきました。

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― ステキなシーンがたくさんありますが、特にお気に入りのシーンや印象に残っているシーンがあったら教えてください。

阿部:小春が夜道を一人で歩くシーンがとても印象的でした。(三吉に向かって)どこかわかる?
三吉:アイスを食べているところ?
阿部:そうそう。小春と彩乃はいつも一緒にいるけれど、小春が彩乃を思ってこれからの生活について考えているのかなと。それは彩乃の存在が小春にとって大きいからであって、ちょっと胸が痛む部分でもあり、小春の優しさを感じるところでもあるので、とてもいいシーンだと思いました。
三吉:そうなんだ・・・。演っているとわかんないよね、なるほど。

三吉:私は二人が水の中にいるシーンが好きです。いくつかあるイメージシーンの中で、一番静かでセリフがないんです。もちろん映像もキレイですが、あそこだけ時が止まっている感じ。ですが、撮影はめちゃくちゃ大変だったんですよ。
阿部:そうだった(笑)。遠足みたいだったね。
三吉:ちょっと遠くまで出かけて行ってね。深いプールのあるところまで行って撮影したんです。それがまさかあんなにいいシーンになっているとは・・・(笑)。私は凄く好きです。
阿部:ステキなシーンです。

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― そのプールの撮影ではどんなことを考えていたのですか?

三吉:私は潜るのはあまり得意ではないので、とにかく必死でした。
阿部:二人とも一生懸命だったよね(笑)。寒かったし。
三吉:ずっと水に入っていると寒くなって震えてきて(笑)。純ちゃんもだんだん具合が悪くなってきちゃって「大丈夫?」って感じだったよね(笑)。二人が重なり合うところは印象的ですが、私はあんなに深く潜るのは初めてで。とりあえず、潜っているときは顔がスマートに見えるように気をつけて演じました。
阿部:帰りの車の中では、もうぐったりだったよね。
三吉:うん、爆睡!(笑)

― 監督から「オッケー!」がかかったときは「やったー!」という感じだったんでしょうね(笑)。

三吉:やっと終わった・・・と。すぐにお風呂に入りに行きました。

― では最後に、本作はご自身にとってどんな作品になりましたか?

阿部:今は、価値観というものが多様化され変化しつつあります。いろんな選択肢があって、どれも正解に見えるし、どれも正解じゃないように思えて迷うときに、自分のなかで正解だと思える道を見つけるきっかけになるような作品になりました。自分がしっかりしていればちゃんと輝けるし、幸せの形は1つではないんだなと思えるようになりました。

三吉:この映画は、私がこれまで携わらせていただいた中でもとても思い入れの強い作品です。あらためて、女優をやっていて良かったなと思ったんです。本当に周りの環境にも恵まれていて、もちろん純ちゃんもそうですし、監督を含めスタッフの皆さんと1つのチームになって作っていきました。その中で小春と一緒に1年間過ごしながら、友情って何だろう、もし自分のお腹に命が宿ったときはどういうふうに捉えるのかな、親友が妊娠したらどうするのかな、そんなとき自分の心はどう動くのかなと考えさせられる、とてもいい映画だと思いました。これからご覧いただく皆さんが自分の人生と置き換えて考えてもらえたら嬉しいです。

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【三吉彩花(みよし・あやか)プロフィール】
1996年6月18日生まれ
2010年、ファッション誌『Seventeen』でミスセブンティーン2010に選ばれ、7年間の専属モデルを経て2017年に同誌を卒業。現在は雑誌「25ans Wedding」のカバーガールを務めている。女優としては映画『グッモーエビアン!』(12)『旅立ちの島唄~十五の春~』(13)に出演し、第35回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年の主な作品にドラマ「まかない荘2」(17)、「警視庁 捜査一課長」(20)、映画では『ダンスウィズミー』(19)、『犬鳴村』(20)など主演作が公開。

【阿部純子(あべ・じゅんこ)プロフィール】
1993年5月7日生まれ
『リアル鬼ごっこ2』(10)でヒロインに抜擢される。主演映画『2つ目の窓』(14)が第67回カンヌ国際映画祭のコンペディション部門に出品され、同作品で第4回サハリン国際映画祭主演女優賞を受賞。その後、渡米し、ニューヨーク大学演劇科で演劇を学ぶ。帰国後、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」など幅広く作品に出演し、近年では映画『孤狼の血』(18)、『海を駆ける』(18)、『サムライマラソン』(19)、『ソローキンの見た桜』(19)、今後公開になる『461個のおべんとう』、『燃えよ剣』など数々の作品に出演。

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映画『Daughters』
<ストーリー>
中目黒。桜が並ぶ川沿いのマンションの1室で暮らす友人同士の小春(三吉彩花)と彩乃(阿部純子)。共に27才。ライフスタイルの似ている二人は、よく働き、よく遊び、自由を謳歌したルームシェア生活を送っていた。そんな生活に、変化が訪れる。突然、彩乃からの妊娠の告白。そして、父親のわからないその子供を、産む決意をする彩乃。楽しかった二人だけの生活は、少しずつ変わっていく。過去を振り返りながらも変化を受け入れる彼女達を、小春側の視点で描く、苦くも美しい10ヶ月の物語。

脚本・監督:津田肇
出演:三吉彩花、阿部純子、黒谷友香、大方斐紗子、鶴見辰吾、大塚寧々
企画:CHAMELEONS INC.
制作プロダクション:and pictures
制作協力:Lat-Lon
配給:イオンエンターテイメント/Atemo
製作:CHAMELEONS INC./and pictures/キングレコード/ワンモア/沖潮開発
©「Daughters」製作委員会
公式HP:https://daughters.tokyo
公式Instagram: https://www.instagram.com/daughterscinema/
公式 Twitter: https://twitter.com/daughterscinema
公式Facebook: https://www.facebook.com/daughterscinema/

9月18日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

インタビュー撮影:ナカムラヨシノーブ

ヘアメイク:RYO
スタイリスト:高梨未希

◆衣装
<三吉彩花さん>
ジャケット、ワンピース共に BELPER
インナーtiit tokyo
その他スタイリスト私物

<阿部純子さん>
ワンピース、トップス、スカート共に tiit tokyo
その他スタイリスト私物

三吉彩花さん & 阿部純子さん
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『Daughters』三吉彩花さん×阿部純子さん-(119)

◆予告編