日本アカデミー賞受賞のキャスト・スタッフが集結し、実際にエヴェレストに登頂して撮影に挑んだ本作。公開から2週目を迎え、昨日3月23日(水)時点で動員約61万4千人、興行収入約7億4千万円を記録。興収20億円超見込みの大ヒットとなっている。いまなおエヴェレストのはるか高みを目指し、今もその勢いは止まらない。観客で埋め尽くされた場内に、主演の岡田准一が登壇すると、キャストの熱演を観終えたばかりの興奮冷めやらぬ観客から、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
岡田は拍手が鳴り響く会場を見渡し「皆さん今日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。一年前に阿部さん、尾野さん、スタッフとエヴェレストに登って、そこで監督に『これは“男同士のラブストーリー”なんだ』と言われていて、皆さんにその熱さを見ていただけたと思いますし、今日全キャスト・スタッフを代表してこの場で話させていただくことが嬉しいです」と今作への思いと観客への御礼を述べると、会場からはさらに盛大な拍手が鳴り響いた。岡田は照れながらも誇らしげに微笑んでいた。
今作で皇太子御一家をお招きした皇室試写会の話になると岡田は「愛子様と話した内容は・・・秘密です。」となにやらたくらみ顔。「ぶっちゃけいうと、僕の過去作をすべて見てくださっているというお話でしたが、緊張しすぎて『ありがとうございます』しか言えませんでしたけどね(笑)」と照れながら暴露した。
また、今回のイベントには、プロスキーヤー兼登山家であり、世界最高年齢80歳でのエヴェレスト登頂に成功した三浦雄一郎、登山家兼医師であり、女性登山家として初めてアルプス3大北壁(マッターホルン、アイガー、グランド・ジョラス)完全登攀を成し遂げた今井通子、そして日本山岳協会会長であり、今作の山岳監修として指導をおこなった八木原圀明ら、“山のプロフェッショナル”3名が大ヒットを祝し、集結した。登山家の世界では伝説級の三人の登場を岡田は緊張と喜びの面持ちで迎えた。
今作について三浦は「まず映像の迫力がすごい。岡田さんの演技は一流の登山家のような足取りと雰囲気、本当にアスリート感が出ていた」と話し、今井は「以前ラジオで対談させていただいたときは、山が好きで本当に山屋のような燃える目をしていたのだけど、今回演技をするとなって、しかも山屋でなくそれを追うカメラマンの役を演じることで、目の輝きがまた違っていてさすがプロの俳優だなと思いました。最近は洋画の山岳映画が多いけど、邦画も負けていないなと今作の力を感じました」、八木原は「5200M級というだけで大変なのに、そこで演技をするなんて本当にすごい。『役者やのう…』と感じた」と、今作のエヴェレストにかける思い、そして画面からあふれ出る岡田と伝説のクライマー、羽生役の阿部寛2人の演技に称賛の声を並べた。
岡田は撮影中のエピソードとして「撮影隊に同行した八木原さんは、エヴェレストでずっとイエティ(雪男)を探していた。撮影の途中で『イエティだ!』と思ったら八木原さんでした(笑)」などと撮影中の冗談話で会場を盛り上げ、仲睦まじい撮影現場の雰囲気を伝えた。
トークはそれぞれの登山の話に。80歳で三度目のエヴェレスト登頂を果たし、世界最高齢登頂のギネス記録保持者である三浦は当時を振り返り「学生のころから、エヴェレスト初登頂の謎(マロリーの謎)にすごく興味があった。いつか一度は登りたいと思っていたが、3回も登っていた。エヴェレストの頂上はとても気持ちがいい。途中死にかけたこともあったが山の神に呼ばれないと登れない場所。4回目は90歳のときかな(笑)」と、年齢を感じさせない力強いコメント。今作を機にプライベートで仲の良い俳優仲間や山友達を集め、山岳部を作った岡田の心にも強く響いたようで「三浦さんは本当にすごいんです。今朝も挨拶したときに大きなリュックを背負っていて、日ごろから意識してトレーニングされているんだな、と」三浦「靴もね、片足で1.5kgあります。リュックは、何が入っているかわからないけど15kgくらいあります。」と、御年83歳とは思えない強い山への思いを感じさせ、そんな“エヴェレストの先輩”三浦を尊敬のまなざしで見つめた。
これからの目標をMCから聞かれた三浦は「実は85歳でチョ・オユーに登ってスキーで降りる計画を立てています。そのためにトレーニングを開始して準備をしています」今井、八木原は2016年から正式に制定された「8月11日/山の日」の普及に一登山家として努めていきたいと語った。岡田は「今日こうして伝説の登山家である皆さんとお会いして、これからもずっとチャレンジし続けていくという気持ちをもって生きていきたいし、いつかエヴェレストに登りたい。実は今作で共演した阿部寛さんと、登る約束はすでにしているんです。阿部さんには『考えておく…』と濁されちゃいましたが(笑)僕は約束をしたと思っているので次はぜひ阿部さんと!イエティも探しに行きましょうね(笑)」と八木原に微笑みかけ会場はまたしても笑いの渦が巻き起こり、次なるエヴェレストの目標を虎視眈々と狙う岡田であった。
さらに今回は、大ヒットを祝しサプライズで、三浦より岡田に「カラビナ」のプレゼントが送られた。カラビナとは登山用具の一つで、今回岡田へ贈られたものは三浦が80歳のときにエヴェレスト登頂時に実際に使用していた貴重なもの。8848Mまで三浦の命を守った何ともご利益のあるカラビナだ。三浦は「エヴェレストの頂上まで僕の命を守ってくれたカラビナです。お守りとして岡田君へ」という言葉とともに手渡し、岡田は「とてもうれしいです。僕も山屋さんたちと触れ合う中でお守りとしていろいろなものをもらったりしましたが、まさか三浦雄一郎さんからチャレンジ精神のような魂のこもったカラビナをいただけるなんて。これはカバンにつけて、チャレンジできる人生を歩めるよう心構えとしていただきたいと思います。阿部さんにも自慢したいですね(笑)」と、何にも代えがたい貴重なサプライズプレゼントに感動の思いを伝え、二人とも笑顔で固い握手を交わした。
イベントの最後に岡田は「今日こうして、まだまだ大ヒットということで舞台挨拶をさせていただけて本当に幸せです。またこうして、伝説の山屋(登山家)の皆さんとお会いできてとても幸せです。僕も、年を重ねても皆さんから愛される、挑戦できる人でありたいと思いましたし、まだまだ勉強しなければと思いました。この映画は‟生きる”とはなにかという思いが詰まった男くさい映画となりがちですが、人間の生き方が問われる映画だと思います。これからも皆様から応援していただければと思います」と述べ、満面の笑みで締めくくった。
【STORY】
山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、ネパールの首都・カトマンドゥで古いカメラを発見する。それは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーは1924年にエヴェレスト初登頂に成功したのかという、登攀(とうはん)史上最大の謎を解く可能性を秘めていた。カメラの行方を追う深町は、一人の男に辿り着く。孤高の天才クライマー、羽生(阿部寛)。突然日本から姿を消して消息不明だった彼が、なぜカトマンドゥにいるのか…。羽生の目的に興味を持ち、その過去を調べるうち、深町は彼の生き様にのみ込まれていく。そして、羽生に人生を翻弄されながらも、彼を愛し続ける女性・涼子(尾野真千子)と出会う…。標高8848M、氷点下50℃、呼吸すら困難な極限の世界。最高に無謀で最高に熱い挑戦が、まさに今、始まる。世界最高峰の地で、命を懸けて挑む男たちは、なにを見たのかー。
出演:岡田准一 阿部寛 尾野真千子 ピエール瀧 甲本雅裕 風間俊介 テインレィ・ロンドゥップ 佐々木蔵之介
原作:夢枕獏「神々の山嶺」(角川文庫・集英社文庫)
監督:平山秀幸
脚本:加藤正人
音楽:加古 隆
製作:「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会
配給:東宝/アスミック・エース
http://everest-movie.jp/
クレジット:©2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会
全国公開中