『ふたつの昨日と僕の未来』 佐野岳インタビュー！「 観た人の背中を押してくれる映画です！」と自信！

愛媛県新居浜市市制80周年記念作品として製作された映画『ふたつの昨日と僕の未来』が、12月22日より全国順次公開される。本作は、愛媛県新居浜市を舞台に現実世界とパラレルワールドを奔走しながら自分の生き方を見つける若者の姿を描くオリジナルファンタジー映画。映画『瀬戸内海賊物語』や『海すずめ』などで若者たちのヒューマンドラマを描き出してきた気鋭の大森研一監督がメガホンを取った。

本作の主人公、越智海斗役を演じるのは、映画、ドラマで様々な役を務め今後も益々活躍が期待される俳優、佐野岳。青年の細やかな感情を見事に演じきった彼に話を聞いた。

― 作品に初めて触れたときの印象はいかがでしたか？
最初に台本を読んだ時は、人の成長をファンタジーという形で描くことによって、こんなに壮大でハートフルな物語になるんだなと思ってワクワクしました。ファンタジーではあるけれど、一人の男性が不器用ながらも前に進もうと奮起する姿に、とてもリアリティーがある作品だと感じました。

― これまで様々な役がらを演じてこられた佐野さんですが、今回は等身大の佐野さんが見られると思いますが･･･。
そうなんですよね。神様や死神、ゲイもやりましたし、最近は特徴的な役がらが多くて･･･(笑)。でも、今回は自分自身に寄ったキャラクターだったので演じやすかったです。

― 海斗という役は佐野さんに似ていますか？
共感する部分が多かったと思います。実際に僕もサッカーをやっていてプロを目指していたのですが、ケガで大会に出られなかったこともあるし、技術的にも壁を感じて諦めたという挫折を経験していて、なんとなく海斗の気持ちがわかるんです。親の期待を勝手に裏切ってしまって自暴自棄になるような感覚にリンクする部分があって、自分自身と近しいなと思っていました。

― 佐野さんの素が見えるような？
でも、絶対的に素ではないんです。ギリギリのラインというか、自分だけど自分ではない･･･撮影中はまさにパラレルドワールド的な感覚で生きていたような感じがありました。

― パラレルワールドと現実世界を行き交っていると、記憶、人格、気持ちも少し変わってくるかと。そこは繊細な演技になりますね。
記憶によって別の人物に見えたり違和感があったりするのですが、向こうの世界に行くからこそ改めて自分に触れることができて、別人格になるのではなく更新していくイメージでした。その中で、生きている人が生きていなかったりする場面では驚いたほうがいいのか、それとも平然としていたほうがいいのか、微妙なラインは監督とよく話し合って進めていきました。でも、この作品は“しっかり分かりやすく”というふうに見せないところが魅力でもあって、実際に見えているもの、そのあとから見えてくるものの塩梅が絶妙なんです。

― そういう意味でも、神保さん演じるお父さんと海斗との関係も気になります。神保さんと共演されていかがでしたか？ 他の共演者の皆さんとはどのように芝居を作っていったのでしょうか？
神保さんはとてもステキな方です。撮影期間中に一度食事をご一緒させていただいたんですが、「佐野くんが息子（役）で良かったよ」という言葉もいただきましたし、現場でも気さくに話しかけてくださって、安心感がありました。あと、家族役の皆さんとは本当の家族と話す感覚で接していました。その奥にある空気感はしっかりスクリーンに出ると思うので。俳優部の役者として現場を盛り上げようという意識をもって臨みましたし、エキストラの方々も巻き込んで「みんなで頑張りましょう！」と声をかけていました。

― それでは、佐野さんのお気に入りのシーンがあったら教えてください。
「どて焼き大好き真里乃ちゃん♪」です。どて焼き屋さんで真里乃と一緒に飲んでいるシーンがあるんですが、僕がほろ酔い気分で「どて焼きちゃん♪」という歌を歌っていて。生活感に溢れていて好きなシーンなんです。監督から「なんか歌作って歌ってよ」って言われて、僕がその場で作って歌いました(笑)。

― ドラマ「陸王」でもマラソンで走っていましたが、今回は山を走っていましたね。ケガはなかったですか？
何回も山を走ってます。それも道なき道を(笑)。山を走ることなんてなかなかないので怪我なく楽しんでやってました。

― 撮影は新居浜市でのオールロケでした。新居浜市の印象は？
自然がいっぱいでとてもいいところでした。いろんなところに行かせてもらいましたし、撮影では現地の方々にたくさん助けていただきました。やっぱり、現地の方がいると画に説得力が増すと思います。あとは何より空気感が違いますし、食べ物も美味しかったです(笑)。

― どて焼き、美味しそうですね～。
本当に美味しかったです！ あのお店には撮影中にも何回も通わせてもらいました(笑)。
ほかには、“フグザク”という新居浜の名物も美味しかったです。フグの切り身と皮、カワハギの肝をあえてポン酢ともみじおろしで食べるんですが、格別でした。お酒もすすみますし、最後にそこに湯豆腐を入れるともう最高でした。
あと、どて焼きのお店にはいつも台本を持っていってました。現地の方と触れ合って現地の（言葉の）イントネーションを聞きながら、自分もここで育ってきたような目線になればいいなと思って。

― 方言がとても自然でした。
現地の方にも「ネイティブだね」って言っていただけたので良かったです(笑)。監督も愛媛出身なので、その都度確認していましたが、伊予弁はなかなか難しかったです。

― 共演者の宮地真緒さんの伊予弁の早口は凄いですね。
凄いです！圧巻です！説明セリフをあんな早口で･･･さすがです！(笑)

― あと、撮影ではエキストラの皆さんのご協力も大きかったのでは？
太鼓祭りのシーンでは5,000人くらいのエキストラの方が集まってくださったんです。とにかく地元の“太鼓台愛”が凄くて、あのシーンは必見です！ 撮影のために皆さんが温かく協力してくださって。撮影現場ではいつもボランティアで温かいご飯もご用意いただいたんです。本当に感謝の気持ちしかないです。

― 本作は新居浜市市制80周年事業として企画された映画ですが、先行上映された愛媛での反響はいかがでしたか？
SNSでコメントや感想を見させていただきましたが、上映が終わって拍手が起こったそうなんです。本当にありがたいことです。

― 地元の方々にも愛される映画になりましたね。
はい。これからいよいよ東京はじめ、順次全国ロードショーになっていきますが、ようやく皆さんに観ていただけるという気持ちと、一人でも多くの皆さんに観ていただきたい気持ちでいっぱいです。

― この映画に携わったことで何か新しい発見はありましたか？
台本を読んだ段階では、自分だったらパラレルワールドに残るだろうなと簡単に考えていたのですが、撮影しているうちにだんだん海斗とリンクしてきて本当に悩みました。この映画を通して、今いる現状や周りの人を大切にしないといけないという、大事なことを学ぶことができました。僕も現世で頑張ろうという気持ちになれたので、観ていただいた方の背中を少しでも押せる作品になっていると思います。

― もし、佐野さんがパワレルワールドに行けるとしたらどこに行きたいですか？
高校時代に戻って、2年間くらい英語を学ぶためにアメリカに留学したいです。俳優をやる上でも役立つし、色々な国に旅行して世界を周りたいと思っていたので。

― 逆に、消したい過去はありますか？(笑)
凄く自分勝手な時があって･･･、友達との約束時間に1時間、2時間平気で遅刻して、バッチリ髪型を決めていくようなヤツだったんですよ(笑)。「お前、そのセットする時間あったら早く来いよ！」って感じで。本当にどうしょうもなかったですね、そういうところは消したいですね(笑)。

― そんな少年が、俳優としてやっていこうと覚悟を決めたんですよね。
覚悟を決めてこの世界に入ったんですが、それでも今でもまだ（覚悟が）足りないなという気持ちは常に感じています。「これじゃあダメだな」といつも試行錯誤しています。

― 最後に、これからご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
この映画は、繋がりを大事にしている作品です。今は携帯電話やネットで簡単に繋がれる時代だからこそ、本当の意味の“繋がり”を少しでも感じていただければ。観てくださった方に渡って解釈されて、ようやくこの映画が完成するので少しでも多くの方に観ていただいてこの映画を大きくしてもらえたら嬉しいです。

【佐野岳（さのがく）プロフィール】
1992年4月3日生まれ、愛知県出身。
第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリ受賞。2013年に『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』で映画初出演・初主演。さらに同年「仮面ライダー鎧武/ガイム」（テレビ朝日）にてTVドラマ初主演。その後もドラマ・映画・舞台と活躍の場を広げる。Amazon プライムドラマ『MAGI　天正遣欧少年使節』が1/17～世界180以上の国と地域で一斉配信予定。

ヘア＆メイク：富永智子　スタリスト：菊池陽之介

映画『ふたつの昨日と僕の未来』
＜ストーリー＞
その扉の先にはかなえたい未来があった。 マラソンランナーとしてオリンピックを目指していた海斗（佐野岳）。 しかし、怪我を理由に現役を断念する。その後は市役所に勤め、 無気力な日々を過ごしてきたが、とうとう彼女の真里乃（相楽樹）にも見放される。 そんなある日、観光案内で訪れた山の中で大雨に見舞われ、逃げ込んだ先に不思議な 坑道を見つける。雨を避けようと中へ入ったはずが、なぜか坑道の外へ。 そこは、同じ場所だが雨が止んでいる。 その瞬間、経験したことがないはずの記憶が駆け巡った。交差する記憶に混乱しながら 街に戻ると、喧嘩していたはずの真里乃とは順調に交際し、オリンピックの金メダリスト として街の英雄に！？市役所では、事故で亡くなったはずの父・悟（神保悟志）が上司として働いていた。 家に帰ると、生きていたはずの祖母・智恵子（岩本多代）の遺影があり、とっくに亡くなったはずの 祖父・哲夫が現れる。訳が分からない海斗に哲夫から驚きの事実を告げられる。 ２つの世界の狭間で揺れ動く海斗。果たして彼が進む未来は･･･。

佐野 岳
相楽樹 菅谷哲也 菅野莉央 鶴見萌
久保田 悠来 / 宮地 真緒 / 榎木孝明(特別出演)
神保悟志 / 岩本多代
監督・脚本：大森研一
脚本：福田卓郎
主題歌：水樹 奈々「サーチライト」(キングレコード)
配給：キャンター 制作プロダクション:キャンター
企画製作：ハートネットワーク 大森研一
製作協力：新居浜市 新居浜市市制施行 80 周年記念事業実行委員会
製作：「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会
© 2018 「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会
公式サイト：http://futaboku.com
公式ツイッター：＠futaboku_m

2018年12月22（土）よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー

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