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吉沢亮「言葉を伝えることは大切なこと」 呉監督は「美しい吉沢さんの“美しくない何か”を見たかった」 映画 『ぼくが生きてる、ふたつの世界』 完成披露上映会

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映画 『ぼくが生きてる、ふたつの世界』 の完成披露上映会が、9月5日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、主演の吉沢亮と、共演の忍足亜希子、監督の呉美保が舞台挨拶に登壇した。

五十嵐大の自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた 30のこと」を原作に、『そこのみにて光輝く』、『きみはいい子』の美保監と、『正欲』『アナログ』の脚本も手掛ける港岳彦がタッグを組んで映画化。
呉監督の9年ぶりの長編作品となる本作は、“耳のきこえない母”と“きこえる息子”の親子からコーダの情緒と葛藤を描く物語。五十嵐大を吉沢亮、大の母・五十嵐明子を忍足亜希子が演じる。

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今年6月に開催された第26回上海国際映画祭のコンペティション部門続き、第68回ロンドン映画祭(BFI London Film Festival 2024)のコンペティション部門、そして、第43回バンクーバー国際映画祭(2024)のパノラマ部門に正式出品が決定した本作だが、吉沢は「本当に光栄な限りで。国と文化を問わず観ていただいた方に伝わる普遍的なテーマなんだなと改めて思いました。これからもっともっと多くの方に向けて、この作品が広がっていくと嬉しいです」と感慨深げに語った。

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忍足も「日本だけでなく、勝ち買いの方々にもたくさん観ていただいて非常に嬉しいと思いました」と同調し、「この映画はコーダの世界と、ろうの両親の世界を描いていますが、両方の世界を行き来することがあるということを知って、考えながら、楽しみながら観ていただければと思います」とコメントした。

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呉監督は「6月にこの3人で上海国際映画祭のカーペットを歩かせていただき、コンペを一緒に参加してきましたが、国を越えてたくさんの方に通じる物語なんだなということを目の当たりにして、そこからヨーロッパに・・・となって。こんなに嬉しいことはないです。公開を待たずにして、立て続けにこういう情報をいただいたのは大変嬉しいです」と感無量の面持ち。

また、出演の決め手について、吉沢は「呉さんの作品は今までも観させていただいていて、大好きな世界観でいつかご一緒できたら嬉しいなと思っていたんです。その呉さんの作品だったというのもそうですし、台本になる前にプロットを読んで、五十嵐さんの人生は特殊な環境ではあるけれど、その中で描かれている府遠的なテーマ、家族の関係性や親子の愛情が、もの凄く共感できる部分が多かったので、純粋に素晴らしいお話だと思って是非やらせていただきたいと伝えました」と吐露。

一方で、日本で初のろうあ者俳優として活動している忍足は「是非とも呉監督の作品で演じたい、一緒に1つの作品を作りたいと思っていました。そして、大さんの生き方、お母さんの生き方に感動しました」と述べる。

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さらに、キャスティングの決め手を監督は「9年ぶりに長編映画をと撮らせていただきましたが、いつかまた映画を撮ることができたら、吉沢さんが凄く素敵だなと思っていたんですよ。彼は美しい人です。美しい人なんですが、その中にある美しくない何かを、自分の目で見たくて。この企画をいただいたときに、これはまさにフィットする。彼とこの企画は凄く相性がいいんじゃないかと思いました」と吉沢に白羽の矢を当てた理由を明かした。

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監督の言葉に照れながらも、吉沢が「忍足さんと親子を演じさせていただいて、本当に温かい方だなと思いました。忍足さんと(父親役の)今井さんの手話だけはすんなり入ってくるんです。何を言っているのかわかるんです。愛情を感じました」と忍足との共演を喜ぶと、忍足も「(手話を)自然に習得されていましたね」と微笑む。

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聴覚障害の親を持つ息子役を演じるにあたっては、「もちろんコーダとして生まれたという部分もありますが、たぶんどの家庭でも思春期の男の子にも似たような悩みはあるし、親に対して自分が失敗したことを全部親のせいにしたくなったり。それがたまたまコーダという環境で生まれただけ。本人にとってはもの凄く重大な出来事だけど、周りからみたら“よくあるよ、そういうのわかる”というような、その距離感は意識していました」と述懐していた。

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最後に吉沢は「この作品を観て、どう思うのかはそれぞれあると思いますが、僕がこの作品に参加させていただいて、改めて言葉を伝えることの重要性を感じました。やっぱり気持ちは伝えないと伝わらないし。手話は“いま起こっているよ”とか、“いま悲しい思いをしているよ”というもの全てを伝えてくれる言語で、本当に愛に溢れていて、素晴らしい世界だと思いました」と、思いの丈を口にして、舞台挨拶を終了した。

※コーダ(CODA):Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供

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映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
【STORY】
宮城県の小さな港町、耳のきこえない両親のもとで愛されて育った五十嵐大。幼い頃から母の“通訳”をすることも“ふつう”の楽しい日常だった。しかし次第に、周りから特別視されることに戸惑い、苛立ち、母の明るささえ疎ましくなる。心を持て余したまま20歳になり、逃げるように東京へ旅立つが・・・。

◆本作における「きこえる/きこえない」表記について:
「聞こえる」=音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。
「聴こえる」=注意して耳にとめる。耳を傾ける。
それぞれの漢字の意味するところが違うことにより意味を限定してしまうこともあるため、「きこえる」とひらがなにすることで幅広い意味合いをご理解頂ければと思い、ひらがなにて統一して表記することになりました。

監督:呉美保 『そこのみにて光輝く』(14)、『きみはいい子』(15)等
脚本:港岳彦 『ゴールド・ボーイ』(24)、『正欲』、『アナログ』(23)等
主演:吉沢亮 『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズ等
出演:忍足亜希子 今井彰人 ユースケ・サンタマリア 烏丸せつこ でんでん
原作:五十嵐大「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎刊)
企画・プロデュース:山国秀幸 『オレンジ・ランプ』(23)、『ケアニン』シリーズ等
手話監修協力:全日本ろうあ連盟
製作:「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会(ワンダーラボラトリー/博報堂DYミュージック&ピクチャーズ/ギャガ/JR西日本コミュニケーションズ/アイ・ピー・アイ/アミューズ/河北新報社/東日本放送/シネマとうほく)
©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
配給:ギャガ
公式HP:https://gaga.ne.jp/FutatsunoSekai/
公式X: @FutatsunoSekai_

9月20日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー