映画『銀河鉄道の父』の公開初日舞台挨拶が、5月5日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の役所広司をはじめ、共演の菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯と、成島出監督が登壇した。
本作は第 158 回直木賞受賞の傑作小説「銀河鉄道の父」(門井慶喜著)を映画化。本作は、宮沢賢治が「ダメ息子だった!」という大胆な視点から、賢治への無償の愛を貫いた宮沢家の人々の究極の家族愛を描いた物語。監督は成島出監督。『八日目の蟬』『いのちの停車場』など手掛けた成島出監督がメガホンを取り、役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯ら豪華キャストが集結した。
この日は“こどもの日”に映画公開することを記念し、劇中でも歌唱された宮沢賢治作詞・作曲「星めぐりの唄」を賢治の故郷・岩手 県のイーハトーブ子ども合唱隊が合唱を披露。透き通る歌声で観客を魅了した。
本作には映画ならではセリフや美しいシーンもあるが、「特に忘れられないセリフや印象に残っているシーンは?」と聞かれると、賢治の父・政次郎役の役所が「明治、大正、昭和と時代が変わっていくなかで、それに合わせて“灯り”が変わっていくんです。最初はランプの灯りで、そのランプの灯りだけで撮影をしています。暗いけどとても美しい映像になっていると思います。時代が変わるごとに明るい雰囲気に変わっていくところをぜひ楽しんでいただきたい」と答えると、監督も「火を大事に、印象的に大事に撮りたいと思っていました」とこだわりを吐露した。
賢治役の菅田も「現場で(ガラスでできている)ランプが割れて大変でした。芝居でぶつかって壊れるので、スタッフの方も僕らのことより気にしていましたね(笑)」とし、迫真の演技だからこそ起きるアクシデントであったことを伝え「それがちゃんと画に出ていると思います」と胸を張る。
そんな菅田のお気に入りのシーンは「一瞬だけ出てくる電信柱の影絵」を挙げ、「とてもステキなのでぜひ探してみてください。映画ならではの演出なので」と明かした。
賢治の妹・トシ役の森は「私はラストシーンが好きです。この映画を2時間観た人にしか感じない何かがある。私も夢心地で演じていました。愛と夢に溢れていてとてもステキです」と目を輝かすと、賢治の祖父・喜助役の田中も「最後のシーンはボロボロ泣いてしまいました」と同調。
賢治の弟・清六役の豊田は「僕は喜助さんが政次郎さんに対して『お前は父でありすぎる』というセリフが、まさに政次郎さんを表すセリフだと思って印象に残っています」と答えた。
賢治の母・イチ役の坂井は「冒頭のあたりで役所さんが白い割烹着姿で出られる。とてもチャーミングなので、皆さんノックアウトされてください」と笑顔を見せると、菅田も「(役所の)前髪、いいですよね。ステキです!」と共感。
宮沢家が一堂に会した舞台挨拶だったが、今だからこそ聞いてみたいことは?と問われると、豊田が「僕は3歳の頃から20歳までバスケットボールをやっていて筋トレも凄くしていたんですが、現場で役所さんを止めるシーンがあるんですが、僕の筋力では全然止められないんです。なにか筋トレとかなさっているんですか?」と役所に尋ねると、菅田も「本当に動かないよね」と不思議がる。当の役者は「高齢になると無理しちゃいけないってテレビで言ってたんで、散歩、ウォーキングくらいですね」とあっけらかんと話していた。
また、岐阜県恵那市でロケを遂行した本作。菅田が「僕は食事制限があったから食べられなかったんですが、皆さんは何か美味しいものを食べられましたか?」と問うと、役所は「五平餅!あれは美味かった!」とニッコリ。坂井も「美味しかったですよね。地元の方がたくさん作ってくださって。平べったいかりんとうも美味しかったですね」と言って盛り上がる。役所が「菅田くんは何を食べていたの?」と聞くと「僕は近くのスーパーで買ったキャベツの千切りとか食べていました・・・」と恨めしそうに話すと、「役者の鑑だね~!」と菅田の背中を叩き、労っていた役所だった。
ほかにも役所が、農業を勤しんでいる田中に「今一番の食べ頃の野菜は何ですか?」と問う場面も。田中は「玉ねぎです。今度送ろうか?」と答え、「泯さんが作った味噌が上手いんですよ」と言うと、菅田も「僕も前にいただいたんですが、本当に美味しくてすぐになくなったんです」と言い、穏やかな空気が会場を包んでいいた。
最後に菅田は「この映画を観て、きっと自分の家族であったり、いろんな人の顔が浮かぶと思うますので、ぜひ連絡を取ってみたりしてもらえると、それが一番この映画にとっての幸せなのかなと思います」と述べ、役所は「何度も劇場まで足を運んでいただくと嬉しいです。もし面白かったらいろんな人に勧めてください」とアピール。成島監督は「ステキな原作をこのステキなメンバーで撮ることができて、本当に監督冥利に尽きます。この映画を撮るために映画監督になったんじゃないかと思います」と万感の思いを口にして舞台挨拶を締めくくった。
<STORY>
宮沢賢治の父・宮沢政次郎。父の代から富裕な質屋であり、長男である賢治は、本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は適当な理由をつけてはそれを拒む。学校卒業後は、農業や人造宝石、宗教と我が道を行く賢治。政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、賢治のためなら、とつい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気を機に、賢治は筆を執るも―。
出演:役所広司 / 菅田将暉 森七菜 豊田裕大 / 坂井真紀 / 田中泯
監督:成島出
原作:門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)
脚本:坂口理子
音楽:海田庄吾
主題歌:いきものがかり「STAR」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:木下グループ 制作プロダクション:キノフィルムズ / ツインズジャパン
配給:キノフィルムズ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
©2022「銀河鉄道の父」製作委員会
Twitter:@Ginga_Movie2023
公式サイト:ginga-movie.com
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