映画『軍艦少年』の完成披露試写会が11月23日、東京・アキバシアターにて行われ、主演の佐藤寛太(劇団EXILE)と共演の加藤雅也、山口まゆ、濱田龍臣、赤井英和、大塚寧々と、Yuki Saito監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、「ギャングキング」「セブン☆スター」などで知られる、ヤンキー漫画のカリスマ・柳内大樹の青春漫画「軍艦少年」を原作に、Yuki Saito監督の手で実写化。長崎の軍艦島の見える街を舞台に、大切な家族を亡くした親子の喪失と再生を描く珠玉の物語。主人公・坂本海星を佐藤寛太、海星の父・坂本玄海を加藤雅也が演じ、海星の母を大塚寧々のほか、濱田龍臣、山口まゆ、赤井英和など、若手&ベテランの実力派俳優が顔を揃えた。
元々、柳内大樹の作品のファンだったという佐藤は、「原作を読んだ衝撃が大きかった」と話し、「映画は企画、撮影と進んでも公開まで運べるのは当たり前ではない。この映画の撮影に入る前から作品の行く末を考えていました」と強い思い入れを口にした。
ロケ地となった長崎の海辺の街にも思い出が多いそう。家族の家となったラーメン屋で、佐藤と加藤の迫力あるつかみ合いのシーンにも注目が集まるが、「実は、あそこの壁が人型に抜けているんです」と力余って壁が抜けてしまったアクシデントを告白した佐藤。監督は「あそこはお二人のサインもあって、いま(映画の)聖地になっているみたいですよ(笑)」と明かし、佐藤と加藤は「また、行ってみたいですね」と懐かしんだ。
天候にも左右されるロケ撮影だが、監督は「“雨ふらし”という散水車を使っての撮影に臨んだ時、スタッフの一人が誤って大塚さんに水をホースで直撃してしまい全身ビショビショにしてしまったことがあって。スタッフ全員が騒然となっていたところ、着替え直してきた大塚さんは「今度焼肉おごれよ!」と満面の笑顔を見せてくれたんです」と大塚の懐の深さに感激。
山口は「海星と闘うシーンの時に、ちょうど台風が近づいていて、風も凄くてパンツ見えそうなくらいで。本当に大変でした」と回顧。撮影は丸1日かかったそうだが、佐藤は「撮影が終わった夕方。その時の夕日がとてもきれいでしたね」と山口と顔を見合わせた。
一方、クランクアップの時に、撮影が終了してしまうのが寂しくて号泣してしまったという濱田は、「からまれるヤンキー役の俳優さんが、毎日変な動きをしていて。お尻を殴る角度によって音が違う・・・と毎日バンバンやってました(笑)」と、和やかな現場の様子を伝えると、佐藤は「征木玲弥さんなんて、ラストシーンの海を映している時に、(自身は撮影が終わり)普通に釣りをしていて、カメラに入り込んでいましたからね」と笑った。
また、今回は世界遺産でもある実際の軍艦島に上陸して撮影している。監督は「2年かけてユネスコに許可を取った。上陸する前は、ワクワクドキドキしていましたが、実際にその地に立つと、場所の持っている儚さと自然の力を感じ、まるでラピュタの世界にいるようでした。帰りの船では誰一人として喋らなかった。映画として映像を残すという意義を感じました」と感慨深げに語り、佐藤と赤井も「遠くから見るのとは違い、中に入って圧倒されました」と口を揃え、「スクリーンでも、自分の経験としても大切にしていきたい」とコメントした。
イベントでは、そんな世界遺産の軍艦島のように個人的な大切なものは?と問われると、佐藤は「休日!」と即答。続いて加藤が「え?そうなの? 僕はやっぱり『軍艦島』ですね」とニヤリ。「寧々ちゃんも、赤井さんもそうですよね?」と振ると、二人も「もちろん!」と同意し、佐藤をいじる一幕も。
あらためて、加藤は「(演じることに)手を抜かないという精神」、大塚は「今も台本をずっと家に置いています。あとは海の中」、赤井は「生まれた街、大阪ですね」と答えていた。
最後に佐藤が「今回のスチールさんがスタッフさんの写真も撮っていて、それを僕も保存して、今も顔と照らし合わせながら名前を思い出しています。こんなことは初めて。撮影は2年前の23歳のころで、壁にぶつかることもありましたが、この高揚感にこの仕事ができて幸せだなと思うことができました。この映画のパワーをぜひ受け取っていただければ」と熱いメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
映画『軍艦少年』
【STORY】
長崎・軍艦島の見える街で暮らす、地元の高校に通う海星と小さなラーメン屋を営む玄海。最愛の母を亡くして喧嘩に明け暮れる息子と幼馴染の妻を亡くして酒に溺れる父は互いに反目し、いがみ合っていた。そんなある日、海星は父と母が生まれた軍艦島に二人の大切な物がある事を知る。一方、玄海は妻が祀られた仏壇に一通の知らない手紙がある事に気付くが・・・。
佐藤寛太 加藤雅也
山口まゆ 濱田龍臣 柾木玲弥 一ノ瀬ワタル 花沢将人 髙橋里恩 武田一馬 赤井英和 清水美沙 / 大塚寧々
監督:Yuki Saito
脚本:眞武泰徳
劇中画:柳内大樹
原作:柳内大樹『軍艦少年』(講談社「ヤンマガKC」刊)
主題歌:卓真「軍艦少年」(UNIVERSAL MUSIC)
企画・プロデュース:眞武泰徳
プロデューサー:小出由佳 河野正人 エグゼクティブプロデューサー:吉田正大 渡邊貴史 コープロデューサー:佐々木卓
協賛:エクシア・デジタル・アセット
制作プロダクション:エノン
制作協力:オフィスアッシュ
製作:『軍艦少年』製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2021年/日本/104分/シネマスコープ/5.1ch/PG12
©2021『軍艦少年』製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/gunkanshonen
公式Twitter:https://twitter.com/gunkanshonen
12月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国公開!