映画『母と暮せば』の完成披露試写会が11月22日、東京・丸の内ピカデリーにて開催され、主演の吉永小百合と二宮和也、共演の黒木華、浅野忠信、加藤健一、本田望結と、山田洋次監督が舞台挨拶に登壇。舞台挨拶の前にはレッドカーペットセレモニーに登場し、集まったファンたちを興奮の渦に巻き込んだ。
本作は、終戦後の長崎を舞台に、原爆で死んだ息子と母親の日々を、儚くも優しく描いた山田監督にとって初となるファンタジー作品。山田監督が、作家・井上ひさし氏の「生前に長崎を舞台に『母と暮せば』という大で舞台を作りたい」という意思を受けて製作に臨んだ懇親の最新作。終戦70年の今年に上映したいという強い思いが叶い、ついに12月12日に公開される。
淡い藤色の着物姿も美しい吉永。初共演を果たした息子役の二宮を「天才」と評していたが、ツイード風グレーのスーツで決めた二宮を優しく見つめて、「監督から難しい注文が出るんですが、それをひょいと受け止めて次のテストではできちゃうんです。軽やかですし、リズム感がいい」と絶賛。「男性ですが、フェアリー(妖精)のようにふぁっと役を演じられるんです」と続けてニッコリ。それを受けて二宮が「即刻、改名しようと思っています。フェアリー・和也に!」と宣言すると、会場は大盛り上り。
一方、親子という役がら吉永と二人だけのシーンが多い二宮は、吉永について「すごくお優しい方で、フェアリー(二宮)の情報が毎週更新されていくんですね。嵐の番組を毎週見てくださって、先週はああだった、今週はこうだったとか情報が更新されていって、さすがだなと思いました」と感心しきり。
作品にちなみ、「亡霊でも会いたい人はいますか?」という問いかけには、「亡くなった妻」と答えた山田監督。吉永は、「父に会いたですね」、黒木は「太宰治などの文豪の人たち」、浅野は本名と同じ歴史上の人物「佐藤忠信」をあげ、二宮は、松竹120周年を迎えることに絡んで、「松竹第1作目、120年前の撮影現場に行ってみたいです」と回答。
本田は「4年前に亡くなったワンちゃんに・・・会いたいです」と言って愛犬を思い出し、ポロポロと涙を流す場面も。
「焦って会うような人はいないです。そんなに長くはない将来ですから(笑)」とジョークを飛ばす加藤は、なんと27年ぶりの映画出演。普段舞台で活躍することが多くことから、「監督から、『声が大きすぎる。もう少し抑えて』と注意されました」と笑った。
また、二宮と恋人役を演じる黒木は、二宮に鼻をツンと突くシーンの様子を振り返ると、「フェアリーの顔が間近にあると緊張しちゃいますね」と笑いを誘うと、「“鼻ツン”は女性からできるので、ぜひ使ってください」とPR。壁ドンの次は“鼻つん”と、早くも胸キュンシチュエーションとして話題が集まりそうだ。
フィルム撮影にこだわったと話す山田監督は、「現在は殆どの映画がデジタルで上映されていますが、やはりフィルム映像がいい。画も音も素晴らしい。今作も、アメリカ製のフィルム(日本ではもう製造していないので)を使って撮影し、そのフィルムをデジタルに変換して全国の映画館で上映することになりました」と熱い思いを吐露。さらに「今日の試写会は、幸いフィルムの映写機が残っていたものを整備して、上映することができました」と続け、フィルム上映を喜んだ。この日、1000倍の倍率でチケットを手にした観客は貴重な上映を体験したことになる。
『母と暮せば』
【ストーリー】
1948年8月9日。長崎で助産婦をして暮らす伸子の前に、3年前に原爆で亡くしたはずの息子・浩二がひょっこり現れる。「母さんは諦めが悪いからなかなか出てこられなかったんだよ」。その日から、浩二は時々伸子の前に現れるようになる。二人はたくさんの話をするが、一番の関心は浩二の恋人・町子のことだった。「いつかあの子の幸せも考えなきゃね」。そんなふたりの時間は、奇妙だったけれど、楽しかった。その幸せは永遠に続くようにみえた―。
出演:吉永小百合 二宮和也
黒木華 浅野忠信 加藤健一
広岡由里子 本田望結 小林稔侍 辻萬長 橋爪功
監督/山田洋次
脚本/山田洋次・平松恵美子
製作/「母と暮せば」製作委員会
制作・配給/松竹株式会社
(C)2015「母と暮せば」製作委員会
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12月12日(土)全国ロードショー