映画『ハケンアニメ!』の完成披露上映会が、4月14日、東京・丸の内TOEIにて行われ、キャストの吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子と、吉野耕平監督、原作者・辻村深月が舞台挨拶に登壇。柄本佑がビデオ出演した。
直木賞&本屋大賞受賞作家 辻村深月の大人気小説を映画化した本作は、世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービー。
一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回すつかみどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結。監督は、『水曜日が消えた』(20)の吉野耕平。さらに劇中アニメの制作に、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけている。
日本のアニメーションのイメージカラーということで、ピンクと水色を衣装に取り入れて登壇したキャストたち。
自身が演じたキャラクターについて共通点があるか問われると、吉岡は「斎藤瞳は新人アニメ映画監督ですが、自分の中に熱い思いがあるんですが、それを上手く伝えられなくて。私も同世代なのでなんかわかるなぁと思います。もっと燃えているんだけど、ちょっと冷めて見られてしまう感じとか」とコメント。「皆さんはどうですか?」と中村を見やると、「え?ごめんなさい、自分がどう答えようかと考えていて・・・ごめん、なんて言ってた?」と苦笑いし、その自由っぷりに会場の笑いを誘う。
中村は「監督に以前別の映画でご一緒したときに、『中村さんにぴったりの役ある』と聞いて、そしたらこの役で。めちゃくちゃカッコいい役じゃん!って。オレにピッタリなのかなと思ってちょっと嬉しかったんです」と笑顔を見せる。
そして、「仕事に対するスタンスとか、スポーツマンシップみたいなシンプルで筋道が通っている感じが、僕も凄く共感でいたんですが、どこが僕にピッタリなのか聞いてなくて」と不思議がると、監督は「カメラが回ってない時も、だいたいこういう感じなんですよね。それがなんか好きだなと思って」と説明。「ちょっと変なことを言ってすみません」と照れる監督に、「キュンとしました。嬉しいですね」と中村。「じゃあ、まんまじゃんということで。良くわからない(人)と言われることが多いんで、こういうやつだと思ってもらえるかもしれないことですね」と微笑んだ。
同じ質問に尾野は「香屋子の熱いところですね」と答えると、中村が「包容力があるよね」、吉岡が「愛がある。好きです」とべた褒めし、「やめなさいよ、あんたたち(笑)」と照れまくりの尾野。
撮影現場をうかがわせる仲の良さを見せる3人だが、吉岡は「私はお二人にかなりギャップを感じていまして。尊敬するお二人なのでクランクインする前は凄く緊張していたんですが、(柄本も含め)三人ともめっちゃ三枚目でびっくりしました。凄く楽しい現場でした」と振り返る。「中村さんは、こっちは王子として見ているですが、いつもふざけて話すから、距離感がつかめなくて・・・」と当初は戸惑いもあったようだが、今ではすっかり仲良しに。
中村は尾野に対して「以前にもご一緒させていただいたこともありまして、その時もすごく気さくで。だから今回も絶大なる信頼と安心感があって、この現場では真知子ねえ(姉)に甘えていよ~と思っていました」と述べると、尾野は「もうね、倫也くんは変わらない。ふあっとして優しいオーラの持ち主みたいなのは前から感じていましたね。今回もずっと優しいです。どんなけイジっても、ずっと優しく笑ってくれるんです」と、絶対的な信頼関係を築いている様子だった。
イベントでは原作者の辻村深月も登壇し、「映画を観て、本当に幸せでした。自分が書いているのでどうなるか分かっているはずなのに、ワクワクドキドキしました。大事にしてほしいところは1つも削らずに表現してくださいました。キャストの皆さんが本当に素晴らしかったです」と絶賛。中村のキャスティングは辻村自ら希望していたそうで、「決まったときは『やったー!』と叫んでしまいました」と告白する場面も。吉岡には「開始2分で瞳だ!と思いました。私が描いた瞳が成長していく姿を見ることができた。ラストも素晴らしかったです」とべた褒めだ。
吉岡は「アニメを作るこのみんなで1本の作品と作る行為と、本編でのアニメを作るという行為が重なって、こうやって映画館で観ていただけることの幸せを感じたし、好きなものがあれば、どんな状況でも頑張れるということをこの作品からいただきました。これからの人生にとってお守りになる、そんな作品になりました」と胸を張る。
さらに、映画の内容から「これだけは負けない覇権(ハケン)が取れるものは?」と聞かれ、吉岡は「リップクリームを塗られながら話すこと」、中村は「舞台挨拶の最後のフォトセッションで、ムービーのカメラに向かって手を振る笑顔」と言い、観客に期待を持たせる。尾野は「ビーフジャーキーの食べる速度。歯がぐらっぐらになるほど食べるから(笑)」と答えて会場を湧かす。辻村は「作家として映像化に関する運の良さは覇権が取れると思います。最高の形で見られるので凄く嬉しい。他の作家さんに羨ましがられるんじゃないかな」と語った。
この日は残念ながら欠席となった柄本からビデオメッセージが届き、本作の魅力を伝えるなか、最後に吉岡が「今日ここにいるメンバーとキャスト、そして作り手のスタッフみんなの愛で溢れていて、この作品がその思いを閉じ込めています。何かに挫折したり悩んだりしたことがある方、その先の希望的なメッセージが伝わってくるんじゃないかと信じています」と言い挨拶を締めようとしたが、「あ!言い忘れていました。エンディングロールの最後までしっかり見てください。凄いラストが・・・」と付け加え、和やかな雰囲気のまま舞台挨拶を終了した。
映画『ハケンアニメ!』
■出演:吉岡里帆 中村倫也 工藤阿須加 小野花梨 高野麻里佳 六角精児 柄本 佑 尾野真千子
■原作:辻村深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス刊)
■監督:吉野耕平
■脚本:政池洋佑
■音楽:池頼広
■主題歌:ジェニーハイ 「エクレール」(unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)
■制作プロダクション:東映東京撮影所
■配給:東映
■コピーライト:©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
■公式サイト:https://haken-anime.jp/
■公式SNS:@hakenanime2022
5月20日(金)全国ロードショー