「ゴッドファーザー 愛のテーマ」の旋律が二人のピアニストの運命を狂わせる
『白鍵と黒鍵の間に』
ジャズ界を牽引するレジェンド、原作者・南博
若き才能魚返明未、松丸契による
一夜限りのジャズセッションライブが実現!
池松壮亮×冨永昌敬監督トークも大盛況!
池松「俺は一体なにをやっているんだ」
楽譜も読めずに指の動きで覚えたピアノ練習に悪戦苦闘?
スペシャル・ジャズライブイベント
池松壮亮が二人のピアニストを演じ分ける、冨永昌敬監督最新作『白鍵と黒鍵の間に』が10月6日(金)よりテアトル新宿他にて全国公開する。
本作の舞台は昭和末期、夜の街・銀座。未来に夢を見る「博」と夢を見失っている「南」。二人のピアニストの運命が大きく狂い出す一夜を描く物語。原作はジャズミュージシャンで、エッセイストとしても才能を発揮する南博の『白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレジー銀座編-』。南博がモデルの主人公を「南」と「博」という二人の人物に分けて、“3年”におよぶタイムラインがメビウスの輪のようにつながる“一夜”へと誘い、観る者を翻弄する。
『ちょっと思い出しただけ』から『シン・仮面ライダー』まで、いまや日本映画界に欠かせない実力派スターとして活躍する池松壮亮が、一人二役で二人のジャズピアニストを演じ分ける。南は才能にあふれているが、夜の世界のしがらみに囚われて夢を見失ってしまったピアニスト。博は希望に満ち、ジャズマンになりたいという夢に向かって邁進する若きロマンチスト。南と博は、時にすれ違い、時にシンクロするカードの裏表のような関係で、池松が繊細に演じ分けてみせた。
9月26日、本作の原作者である南博、池松演じる博のキャバレーバンドの仲間役・K助を演じたサックス奏者の松丸契(まつまる・けい)、本作の音楽も担当したピアニスト、魚返明未(おがえり・あみ)とジャズ界を牽引し続ける3名による夢のスペシャル・ジャズライブが実現した! 魚返と松丸によるピアノとサックスのセッションと、南は、本作のために書き下ろした劇中のエンディング曲をピアノ・ソロで披露。自らも半年間のピアノ練習に励み、魚返がアレンジした「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を劇中でも見事に披露している主演の池松壮亮、冨永昌敬監督も一夜限りのジャズセッションの応援にかけつけ、トークイベントを行った!
照明が落ち、大人な雰囲気漂う会場内は満席の客入り。早速、本作の原作者でもあり、ジャズ界を牽引するレジェンドの南博氏が登場すると、場内からは大きな拍手が。「映画の原作者でジャズ・ミュージシャンをやっております。この映画のクロージング曲を作曲しましたので、それを演奏しようと思います。曲名は“Nonchalant”。師匠からの言葉で、フランス語になるんですが、日本語で言うと軽妙にとか、軽快に、という意味合いになります。実はたくさんの意味があって、なかなか訳すのが難しいんです。」と満席の場内にむけてこれから演奏する曲を自ら紹介。
さらに、イベントの始まりにも関わらず「なぜ始めにクロージング曲を演奏するのか分からないのですが(笑)」と、場内の笑いを誘いながら、スッと体をピアノの正面に向けて演奏準備に入る。その流れるような美しい所作は、これまで幾度となく繰り返し、長い時間をかけて自らの身体に染み込ませた圧巻のオーラを纏っている。劇中にも何度も登場する「ノンシャラントに」というセリフに込めた想いを体現する、軽快で軽やかで、かつ繊細な美しいピアノの音色で場内は満たされた。演奏直後、南氏は「本が映画になったので、どちらも楽しんで」と茶目っ気たっぷりにコメントし、颯爽と舞台を去っていく。
その直後、本作で南と博の二役を演じた主演の池松壮亮と冨永監督が登場。南氏の演奏に「素晴らしかったですね。本編で初めてこの曲を聞いたんですけど、それ以来で。本当に素晴らしかったです。」と池松は感動しきり。冨永監督は「本の中で、実際に南さんが、師匠から“ノンシャラントに”という言葉を贈られたことがエピソードして書かれていて。これは絶対に映画の中で描こうと思っていました。南さん自身の大事なエピソードとして受け取りましたし、映画の中でも実際にそう言うシーンを描いています。」“ノンシャラントに”という言葉に込められた想いを明かしていた。
劇中、本作では一人二役という難しい役どころでもある中で実際にピアノ演奏も披露した池松。二役という役作りについては「あまりないことなので、2役できることを楽しもうと思っていました。」とコメントしつつ、ピアノ演奏については「半年間、練習しました。すごくかっこいい編曲を魚返さんがしてくださったので…やります、と言ったことを何度後悔したか。楽譜も読めないから指の動きで覚えたりして…劇中にも何度も登場するセリフで“俺は一体なにをやっているんだ”という言葉があるんですけど、まさに“俺は一体なにをやっているんだ”と思ってましたね」とかなりの苦労があった事を告白。そんな演奏を現場で聞いた冨永監督は「大変なことをお願いしているのは分かっていたけど…」と前置きしつつ、池松のピアノ演奏の完成度の高さに「まさかここまでとは」と現場で驚いたそう。本来は予定していなかった池松本人の演奏の音を本編で使用するほど、池松の奏でる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」に惚れ込んでいた。
さらに、このイベントにもサックス奏者として参加し、本作で俳優初挑戦に挑んだ松丸のキャスティングについて聞かれると「2,3年前にMVの撮影でお会いしていた。なんてかっこいい人なんだろう、この映画があるから覚えておかなきゃ、と思っていたんです。」と初めて松丸に会ったときのエピソードを明かす冨永監督。その後、何度か松丸のライブにも行っていたという監督は、ライブ終わりで高揚しているであろうタイミングを狙って松丸にオファーをしたそう。「映画に出てください、と行ったら“はい!”と言ってもらえて。いいタイミングに行きました(笑)」と場内の笑いを誘っていた。そんな松丸と初共演となった池松は「作り物じゃないオーラ、空気がありましたね。本当に心がいい人で、すごくピュアで良いエネルギーを映画に注いでくれたと思います。たった二日間の撮影でしたけど、楽しかったです。」と俳優としての佇まいも絶賛。冨永監督も「(池松演じる)主人公のかつての相棒となる役どころ。池松くんと二人一緒に並んでいる現場をみて、間違っていなかったな、と感慨深いものがありました。」と撮影を振り返り、興奮冷めやらぬまま始まった二人のトークイベントは、その熱気を帯びたまま最後まで盛り上がりを見せていた。
最後に、本作の音楽を担当し、池松が演奏する「ゴッドファーザー 愛のテーマ」のジャズアレンジも手掛けている魚返と、本作で俳優に初挑戦し、博のキャバレーバンドの仲間で互いに認め合うK助役を演じたサックス奏者・松丸契が登場。本作の公開を記念したこの日、この一夜だけの超特別スペシャルセッションが行われた。魚返はピアノ、松丸はもちろんサックスで、披露されたのは計6曲。「ゴッドファーザー愛のテーマ」にはじまり、本作を彩る劇中の音楽から、 「メインテーマ」 、「みずうみの独奏(ブルース)」、「一晩三年」、「即興演奏(“壊れたピアノ”の代わりに)」、 「Coming Now」 を演奏。トークイベントで盛り上がった熱気を包み込んだまま、二人の生演奏で流れはじめた「ゴッドファーザー愛のテーマ」に場内の空気は大きく震え、彼らの奏でる音楽に酔いしれる贅沢な一時が流れていく。ラストの曲を終えると、場内からは名残惜しいとばかりに盛大な拍手が贈られ、まさに“ノンシャラントな“一夜限りのスペシャル・ジャズライブイベントは大盛況のなか幕を閉じた。今回演奏した曲の一部が収録された映画のサウンドトラックが、映画公開日の10月6日(金)から各音楽配信サイトで配信される予定。
■スペシャル・ジャズイベント出演者/演奏曲■
南博(原作者/エンディング曲担当)
ジャズピアニスト、作曲家、エッセイスト。
1960年生まれ、東京都出身。1986年東京音楽大学器楽科打楽器専攻卒業。ピアノを宅孝二、Christian Jacob、Steve Kuhnに師事。 1988年、バークリー音楽大学から奨学金を得て渡米。ボストンを拠点に活動する。1991年バークリー音楽大学パフォーマンス課程修了。1990年代からは、スイス、フランス、ドイツ、デンマークなどに活動の範囲を広げ、ヨーロッパのミュージシャンと交流、ツアーを敢行。特にデンマークのトランぺッター、キャスパー・トランバーグとの親交は深く、コペンハーゲンジャズフェスティバルを含むコンサート活動、CDなどにも参加。国内では自己のグループ「GO THERE」をメインに活動、綾戸知恵、菊地成孔、ジム・ブラック、クリス・スピード、そして伝説的ヴォーカリストの与世山澄子との共演、共同製作でも知られる。2008年、小学館より本作の原作「白鍵と黒鍵の間に」を発売し注目を浴び、「鍵盤上のU.S.A.」(小学館)、「マイ・フーリッシュ・ハート」(扶桑社)、「パリス」(駒草出版)など書籍も多く発表している。「音楽の黙示録」(共著:森本恭正/アルテスパブリッシング)など書籍も多く発表している。「代官山ジャズ・ポピュラーピアノ教室」主宰。映画『白鍵と黒鍵の間に』エンディング曲「Nonchalant」は本作のための書き下ろし。
魚返明未(音楽担当)
1991年生まれ、東京都出身。4歳からピアノをはじめ、高校入学と同時にジャズピアノに転向。 東京藝大作曲科で学ぶ傍らでジャズシーンに本格参入。在学中の2015年に初リーダーアルバム『Steep Slope』をリリース。2018年には映画「栞」(監督:榊原有佑)の音楽を担当するとともに、セカンドアルバム『はしごを抱きしめる』を発表。いまジャズ界で最も注目される若きピアニスト。
松丸契(K助役)
サックス奏者・作曲家。1995年生まれ、パプアニューギニア出身。村でほぼ独学で楽器を習得し、米音大卒業後、2018年より東京を拠点に活動中。石若駿、石橋英子、ジム・オルーク、山本達久、大友良英、岡田拓郎、浦上想起、Dos Monos、betcover!!など音楽シーンを代表するアーティストと共演する一方、ソロのライブや制作を通して作曲/即興の可能性を探求。22年に最新作『The Moon, Its Recollections Abstracted』をリリースし、多方面で高く評価されている。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023受賞。映画『白鍵と黒鍵の間に』で俳優に初挑戦。博のキャバレーバンドの仲間で互いに認め合うK助役を演じる。
本日のジャズ・イベントでの演奏曲
・南博氏によるピアノ演奏曲:「Nonchalant」
・魚返明未氏、松丸契氏による演奏曲:
「ゴッドファーザー愛のテーマ」
「メインテーマ」
「みずうみの独奏(ブルース)」
「一晩三年」
「即興演奏(“壊れたピアノ”の代わりに)」
「Coming Now」
※「ゴッドファーザー愛のテーマ」以外は、映画の劇伴またはエンディング曲になります。
『白鍵と黒鍵の間に』
【あらすじ】
昭和63年の年の瀬。夜の街・銀座では、ジャズピアニスト志望の博(池松壮亮)が場末のキャバレーでピアノを弾いていた。博はふらりと現れた謎の男(森田剛)にリクエストされて、“あの曲”こと「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を演奏するが、その曲が大きな災いを招くとは知る由もなかった。“あの曲”をリクエストしていいのは銀座界隈を牛耳る熊野会長(松尾貴史)だけ、演奏を許されているのも会長お気に入りの敏腕ピアニスト、南(池松壮亮、二役)だけだった。夢を追う博と夢を見失った南。二人の運命はもつれ合い、先輩ピアニストの千香子(仲里依紗)、銀座のクラブバンドを仕切るバンマス・三木(高橋和也)、アメリカ人のジャズ・シンガー、リサ(クリスタル・ケイ)らを巻き込みながら、予測不可能な“一夜”を迎えることに・・・。
池松壮亮
仲里依紗 森田剛
クリスタル・ケイ 松丸契 川瀬陽太
杉山ひこひこ 中山来未 福津健創 日高ボブ美
佐野史郎 洞口依子 松尾貴史 / 高橋和也
原作/南博「白鍵と黒鍵の間に」(小学館文庫刊)
監督:冨永昌敬 脚本:冨永昌敬 高橋知由 音楽:魚返明未
配給:東京テアトル
製作:「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
Ⓒ2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
公式サイト:hakkentokokken.com
10月6日(金)テアトル新宿ほか全国公開