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森崎ウィン&土村芳インタビュー! 共感度0.1%の物語の中で二人が体感した世界とは? 映画『本気のしるし』

『本気のしるし』-(6)

星里もちるの人気コミックを原作に、『淵に立つ』『よこがお』の深田晃司監督が映像化。
2019年10月より、メ~テレ(名古屋テレビ)制作の連続テレビドラマとして放送され、既存のドラマの枠から逸脱するクオリティの高さと登場人物の行動が予想の裏切りから大きな反響を呼んだ本作。その後、新たにディレクターズカット版として再編集され、ついに劇場版として公開された。
さらに、コミック原作、地方局の深夜ドラマ発としては異例となる、カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選出されるという快挙も!

職場の女性ふたりと曖昧な関係を続けている男・辻(森崎)と、その場しのぎで嘘をつき、無自覚に周囲に迷惑をかける女・浮世(土村)が出会い、運命の渦に巻き込まれていく・・・。

この度、本作に主演の森崎ウィンさんとヒロインの土村芳さんにインタビューを遂行! 共感度0.1%と言われる本作への思いと、その難しい役どころへの挑戦について語ってもらった。

― お二人はお会いするのは久しぶりですか?

森崎ウィン(以下、森崎):初号試写で・・・
土村芳(以下、土村):さっき、そこのホールでお会いして・・・
森崎:さっきっていうことじゃなくてさ・・・(大爆笑!) まあ、間違ってはいないけど(笑)。
土村:あ、ごめんなさい。初号試写ぶりですよね(笑)

(土村さんの可愛い天然ぶりで和やかな中、インタビューがスタート!(笑))

『本気のしるし』-(58)

― 最初に台本をお読みになった感想をお聞かせください。

森崎:まず、?マークだらけでした。10話分の台本を最初に読ませていただいたのですが、「どうして、そこに行くんだ?」という疑問符が頭いっぱいになって。それが最初の感想でした。

土村:台本を読む前に原作も読ませていただいていて、その時からおそらく大多数の方がイライラモヤモヤしたりするんだろうなぁとは思いましたが、浮世さんに対しては、演じさせていただく立場から見るととても興味をそそられる女性で、台本を読み終える頃にはすっかり作品の世界に引き込まれていました。

― 共感度0.1%と言われる本作。決して0%ではないところに、その「知りたい」があるのでしょうか。

土村:そうだと思います。

『本気のしるし』-(59)

― お二方とも、とても難しい役どころだと思いますが、どのように役と向き合いましたか?

森崎:ありがたいことに、クランクイン前にリハーサル期間がありまして、そこで監督とキャラクター像について綿密に話すことができました。辻を理解するというより、辻がその場でどのように生きるのかということについて探ることができました。心情の変化は台本を読んでいるので入口と出口を知っていますが、細かく計算することはなかったです。僕自身が現場で出会う人によって変化していくので、受けたものをそのまま返すようにしていました。特に女性3人とキャッチボールするシーンが多いのですが、それぞれ間の取り方や話し方などのニュアンスが違うので、その方に引っ張っていただいてそれに合わせていきました。

土村:私が一番気をつけたことは、あざとくならないように・・・ということです。思わせぶりな言葉が多い浮世さんですが、私が彼女を追い続けたくなる要素の一つに、なぜか下心を感じない素直な部分があるからだと思ったからです。監督からも、駆け引き上手な女性ではないと言うお話は受けていたので、演じさせていただく上でそこは大切にしていました。

― 森崎さん演じる辻は、3人の女性だけでなく色々な男性とも対峙されます。向き合う人も多く複雑な演技が要求されたかと思いますが、この辻という男をどのように捉えて演じられたのでしょうか?

森崎:辻を演じるうえで、「彼はどうしてこういう行動をとったのだろうか」を考えました。最初に浮世に声をかけるシーンでも、女性関係にしても相当勇気がないとできないと思う、理解不可能な行動をとる瞬間があるんです。僕だったらきっとしないだろうなと。そして、色んな人と対峙して受け身な部分が多い。そこで、自分の中で”辻“の軸を作るにあたり、クランクインの前に自分なりのバックボーンを作りました。「どうしてこういう行動をとるのか」、「刺激を求めていたのかな」・・・などと考えることはありました。あとは、現場での監督の演出に素直に飛び込むようにしていました。

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― 土村さんの雰囲気がとても浮世に似ているような気がしますが、浮世の中に自分を見ることはありましたか?

土村:え!本当ですか?(笑)
全然違うと思いますが・・・でも、浮世さんが「今まで私を必要としてくれる人が、自分の愛すべき人なんだってずっと思ってました」と言う言葉には少しハッとしてしまいました。その後彼女は自分の間違いに気付きとても成長を見せるので、私なんかよりずっと逞しい女性だなと思います。

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― お二人は今回初共演ですが、お互いの印象はいかがでしたか?

森崎:さっきから感じているとは思いますが ・・・(笑)、独特なリズム感をお持ちの方だなと。さっきもインタビューの前に少しお話していたんですが、小石がどうのこうのって・・・(笑)。ちょっとわからない部分があるのですが、約1か月あまり一緒に撮影していくなかで、上手くやっていくためには飲み込むっていうことも大事かなと(大笑い)・・・という冗談が言えるくらい現場で仲良くなりました。

土村:めっちゃ無理させちゃってた?!(大笑い)

森崎:とてもタイトな現場で、ある意味一つの家族のような深田組だったので、芳ちゃんがその場にいると僕だけでなく、みんながとても和みました。純粋に綺麗なものを見て疲れを癒すという感じで。最初に会ったときから、壁を作ることなく僕を受け入れてくれました。

土村:私からすれば、森崎さんこそ壁を感じさせない空気づくりを普段からしてくださってたように思います。ご一緒していて学ぶことがとても沢山ありましたし、完成した作品を見ても、辻さんは本当に魅力的で、是非皆さんに見ていただきたいです。

― この作品は人間の隠れた弱さ、脆さ、本能などをリアルに映し出しています。特に印象に残っているシーンがあったら教えてください。

森崎:僕はファミレスのシーンです。浮世と一緒にファミレスに行くのですが、実はこのシーンはオーディションを受けたときのシーンでもあるんですよ。撮影していても凄く楽しかったし、めちゃくちゃ好きな場面です。あの瞬間、「あんな顔を見たら、辻くんが浮世さんに惚れるよな」と思えて。浮世の最高の表情を見れた瞬間でした。この笑顔は自分にしか見せていないんだろうな、自分だけのものにしたいと思ってしまう、そんな男心はよくわかります。本当にステキでした。

土村:物語の途中から、浮世さんが大きく成長を見せるのですが、きちんと地に足をつけて生きようと覚悟を決めた彼女がそれまでと比べると本当に逞しくて。具体的なシーンではないのですが、そんな彼女の姿からも何かを感じ取っていただけたら嬉しいです。

『本気のしるし』-(12)

― カンヌ国際映画祭でも出品され、多くの方が本作に引き付けられています。ご自身がご覧になって、本作の魅力は何だと思いますか?

森崎:原作を忠実に描きつつ、そこに深田監督の手で変化を加え登場人物全員が活ききっています。世のなかに居そうなんだけど、僕の人生のなかではまだ出会っていない人たちばかりで、キャラクターの魅力や美しさが際立っていると同時に、それをまとめてくださった深田監督の素晴らしさ。深田ワールドがあってからこその描き方、作品が立体的に見える空間使い。監督のこだわりの撮影も全部含めての魅力が詰まっている作品だと思います。僕は、撮影後1年ぶりくらいに初号試写を観たんですが、なぜか爆笑してしまったんです。すごく引き込まれてしまうキャラクターたちや映像でした。

土村:醜かろうが、もがいていようが、落ちていこうが、そんな人たちを見ているといつの間にか引き込まれ、不思議と自分の中に湧きたつものがある・・・そんな感覚が私はありました。深田監督はじめ、スタッフキャスト一丸となって作ったドラマが、今回映画という新しい姿に形を変えて、また皆さんのもとへお届けできる機会をいただけた事が嬉しいですし、一人でも多くの方に、共感度0.1%と言われるこの世界を堪能していただきたいです。

【森崎ウィン(もりさき・ウィン)プロフィール】
1990年8月20日生まれ。小学校4年生の時に日本へ渡る。2008年よりダンスボーカルユニット・PRIZMAX(現、解散)のメインボーカルをつとめ、今夏「MORISAKI WIN」として世界進出を掲げメジャーデビュー。俳優としても様々な映画、ドラマ、舞台に出演。2018年、日緬共同制作映画『My Country My Home』に出演、そのスピンオフであるドラマ版『My Dream My Life』では主演を務め、同年スティーブン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』(18)のメインキャストであるダイトウ/トシロウ役に抜擢され、ハリウッドデビュー。また、映画『蜜蜂と遠雷』(19)で第43回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本キャスト版Season2(20)、ドラマ「本気のしるし」(20/NBN)、「彼女が成仏できない理由」(20/NHK)、映画「妖怪人間ベラ」と主演作品が続いている。

【土村芳(つちむら・かほ)プロフィール】
1990年12月11日生まれ、岩手県出身。 2013年にスクリーンデビュー。『劇場霊』(15)、『何者』 (16)などの映画に出演し、 NHK連続テレビ小説 「べっぴんさん」(16-17/NHK)、 「恋がへタでも生きてます」(17/YTV)、「GO!GO! フィルムタウン」(17/NHK)、「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」 (19/NTV)、 「ゾンビが来たから人生見つめ直した件」 (19/NHK)、「本気のしるし」 (19/NBN)などに出演。さらに、『去年の冬、きみと別れ』 (18)、『空母いぶき』 (19)、『MOTHER』(20)、Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』と話題作への出演が続く。
また、昨年のTBC開局60周年記念ドラマ「小さな神たちの祭り」(19/NTV)が国際エミー賞のドラマ部門にノミネートしている。

インタビュー撮影:ナカムラヨシノーブ

本気のしるし ポスター

映画『本気のしるし』
<ストーリー>
退屈な日常を過ごしていた会社員の辻一路はある夜、踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。そこから、不思議な雰囲気の女性・浮世と辻の泥沼の関係が始まった。辻は分別のない行動をとる浮世を放っておけず、浮世を追ってさらなる深みに嵌っていき、破滅への道を歩みだす…。

森崎ウィン 土村芳
宇野祥平 石橋けい 福永朱梨 忍成修吾 北村有起哉
原作:星里もちる「本気のしるし」(小学館ビッグコミックス刊)
監督:深田晃司
脚本:三谷伸太朗/深田晃司
音楽:原夕輝
制作協力:マウンテンゲートプロダクション
製作:メ~テレ
配給:ラビットハウス
2020|日本|カラー|228分
HP: https://www.nagoyatv.com/honki/
©星里もちる・小学館/メ~テレ

2020年10月9日(金)より全国順次公開中

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