Open Close

池松壮亮主演『本心』11月8日公開決定!妻夫木聡ら豪華俳優陣解禁!!

石井裕也監督・脚本×池松壮亮主演×平野啓一郎原作
テクノロジーは、人の心を再現できるのか――。
“自由死”を選んだ母の“本当の心”を知るために、AI で彼女を蘇らせる…。
時代の進化が著しい“今“描かれるべき傑作小説、映画化!

『本心』

三吉彩花 水上恒司 仲野太賀 田中泯 綾野剛 妻夫木聡 田中裕子
日本映画界屈指の監督・キャストが贈る、革新的なヒューマンミステリー
11月8日(金)全国公開決定!

☆『本心』:場面写真(サブ)

石井裕也監督最新作『本心』が11月8日(金)に全国公開されることが決定した。
昨年10月公開の『月』が同年度の各映画賞を総なめにした石井監督が主演に池松壮亮を迎え、日本映画界を牽引する豪華実力派俳優陣集結のもと、平野啓一郎(「ある男」)原作の傑作長編小説「本心」を映画化する。

「大事な話があるの」――そう言い残して急逝した母が、実は“自由死”を選んでいた。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか…。
どうしても母の本心が知りたい息子の朔也は、最先端の AI 企業に「母を作ってほしい」と依頼する。テクノロジーは、人の心を再現できるのか。
ただ、母の本当の心を知りたかっただけなのに、朔也は自分の心や尊厳さえも見失っていく。

世界に誇る日本映画界屈指の鬼才・石井裕也監督が、技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写。今と地続きにある少し先の将来、“自由死”を望んだ母の“本心”を知ろうとすることをきっかけに、進化する時代に迷う青年を映し出す。
私たちの《生活》は確かに便利になったかもしれない。しかし、果たして《心》は 豊かになったのだろうか?時代の迷子になった青年を通し、我々が得たもの・失ったものを一つひとつ掬い取り、真摯な問いを突き付ける。

今回、主演を務めるのは、今年のカンヌ国際映画祭で話題をさらった『ぼくのお日さま』(9月13日公開)や『シン・仮面ライダー』ほか、近年ますます活動領域を拡張している俳優・池松壮亮。時代に置いてけぼりにされた青年・石川朔也を、あえて地に足の着かない不安定な演技で見事に体現。石井監督作品へはこれまで『ぼくたちの家族』や『アジアの天使』など映画、ドラマを合わせ8作品に出演しているが、9作目のタッグとなる今作は、原作を読んだ 池松が全幅の信頼を寄せる石井監督に「今やるべき作品」と企画を持ち込み、俳優歴 24 年にして「気の抜けない脚本だった。こんなに集中した夏は初めて。」と語る意欲作。(撮影は2023年7月)

池松演じる朔也の母 秋子役には数多くの名作映画に出演してきた俳優・田中裕子が扮し、生身/VF(ヴァーチャル・フィギュア)という未知の“2 役”に挑戦。石井組初参加となる彼女が圧倒的な存在感を見せつける。
そして、NETFLIX「今際の国のアリス」シリーズ、Amazon Original 映画『ナックルガール』で本格アクションを披露し、『先生の白い嘘』(7月5日公開)ほか成長著しい三吉彩花が、秋子の素顔を知るキーパーソンであり、過去の傷を抱えるミステリアスな女性・三好を好演。彼女が朔也の人生に与える影響とは…。

さらに、朔也の幼馴染の岸谷を演じるのは、昨年の大ヒット作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で主演を務め、第 47 回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した水上恒司、最新AIのVFの開発を行う技術者の野崎将人に妻夫木聡、ある出来事をきっかけに朔也に興味を抱くアバターデザイナーのイフィーに仲野太賀、VF の中尾役の綾野剛、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する仕事を始めた朔也の依頼人・若松に田中泯と、それぞれ池松演じる朔也の心情を大きく揺さぶる重要な役どころを担う。名実ともに日本映画界を牽引する俳優たちが集った本作の原作は、1999年、「日蝕」で第120回芥川賞を受賞した小説家・平野啓一郎が「マチネの終わりに」「ある男」に続き、2021 年に発表した渾身の傑作長編小説。現代人が直面している課題を浮き彫りにし、愛と幸福の真実を問いかける平野文学の到達点となる名作である。

AI や仮想空間、日々著しく進化するテクノロジーが日本のみならず世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌していく時代を彷徨う人間の【心】と【本質】を描いた革新的なヒューマンミステリー『本心』に是非ご注目ください。

☆『本心』:キャスト写真(メイン)

◂◂◂プロフィール/コメント▸▸▸
石井裕也/脚本・監督
<コメント>
平野啓一郎さんの傑作小説を映画化できて本当に光栄に思います。これからさらに普及していく AI やテクノロジーに対して少しでも不安に思っている方々に捧げる映画です。これから確実に到来する複雑な世界の中で、登場人物たちは地に足をつけられず、ひたすらに迷子になっていきます。それは明日の僕たちの姿です。あるいは、もしかしたら僕たちはもうとっくに迷子になっているのかもしれません。素晴らしいキャストとスタッフと共に人が生きる喜びをシンプルに祝福するためにこの映画を作りました。不思議で面白い極上の迷子を是非劇場でご堪能ください。

<プロフィール>
1983 年生まれ。埼玉県出身。大阪芸術大学時代の卒業制作『剥き出しにっぽん』(05)が PFF アワードにてグランプリを受賞。商業映画デビュー作『川の底からこんにちは』(10)がベルリン国際映画祭に正式招待され、モントリオール・ファンタジア映画祭で最優秀作品賞、ブルーリボン賞監督賞を史上最年少で受賞した。『舟を編む』(13)で第37 回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞を受賞。『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)は第 67 回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品され、第 9 回 TAMA 映画賞にて最優秀作品賞ほかを受賞。『月』(23)で第 48 回報知映画賞作品賞ほか多数の映画賞に輝く。その他の主な監督作品に『ぼくたちの家族』(14)『バンクーバーの朝日』(14)『乱反射』(18)『生きちゃった』
(20)『茜色に焼かれる』(21)『アジアの天使』(21)『愛にイナズマ』(23)。

主演:池松壮亮/石川朔也役
遠く離れた依頼主の指示通りに動く「リアル・アバター」として働く青年。何も告げずに“自由死”を選んでいた母の本心を知るため、最新 AI を搭載した VF(ヴァーチャル・フィギュア)技術を利用して仮想空間に〈母〉を蘇らせる。
<コメント>
本心というあまりに素晴らしい原作を映画化させてくださった平野啓一郎さんに心から感謝しています。この難しい題材にありったけの力を注いでチームを導いてくれた石井裕也監督に心から感謝しています。最高峰のキャスト、最高峰のスタッフが結集し、私たちのこれまでについて、すぐそこまでやってきているこれからについて、2023 年猛暑の夏、夢中に懸命に取り組みました。
本心を巡る旅路は、人間の本質を見つめ、人間の哀しみを見つめ、欲望と、愛と、存在そのものを追求するような果てしないものでした。
自分にとって、生涯忘れられない作品となりました。沢山の観客の皆さまとこの映画を共有できることを心から願っています。

<プロフィール>
1990 年生まれ、福岡県出身。03 年に『ラスト サムライ』で映画デビュー。近年の主な映画出演作に『斬、』(18)『宮本から君へ』(19)『ちょっと思い出しただけ』(22)『シン・仮面ライダー』(23)『せかいのおきく』(23)『白鍵と黒鍵の間に』(23)など。石井裕也監督作品には『ぼくたちの家族』(14)『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)『アジアの天使』(21)『愛にイナズマ』(23)ほか多数の作品に参加しており、今作が 9 作目のタッグとなる。テレビドラマ「海のはじまり」(フジテレビ)が 7 月 1 日
(月)21 時より放送開始。また、今年のカンヌ映画祭で話題をさらった『ぼくのお日さま』が 9 月 13 日全国公開、『ベイビーわる
きゅーれ ナイスデイズ』が 9 月 27 日公開予定。

三吉彩花/三好彩花役
朔也の母が生前親しかった友人。過去のトラウマから他人に触れられない。
<コメント>
三好彩花役を演じました、三吉彩花です。
まずこのお話を頂いた時から運命とはこういう事か、と…そして逆に誰が三好をやるのだろうか、と…
何だか不思議な気持ちになりました。そして、今の私に必要な役でした。
撮影の裏話などをよく聞いていただきますが、こんなに心が苦しかったのは初めてで戸惑いました。それは、三好と一緒に戸惑いました。
常に三好と背中合わせで、そこに三好が居るかのような、私にも三好が見えているような感覚でした。皆様にもこの『本心』を感じていただきたいです。
本当に素晴らしい方々に恵まれました。この作品を観て救われる方がいらっしゃったら私はとても幸せです。

<プロフィール>
1996 年生まれ、埼玉県出身。
2010 年、雑誌「Seventeen」専属モデルに抜擢。同誌卒業後も「25ans ウェディング」カバーガールなど数々の雑誌モデルを務める。2012 年、映画「グッモーエビアン!」で「第 67 回毎日映画コンクールスポニチグランプリ」新人賞受賞。2013 年、映画「旅立ちの島唄~十五の春~」で「第 35 回ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞受賞。『ダンスウィズミー』(19)『犬鳴村』(20)
『Daughters』(20)『十二単衣を着た悪魔』(20)Netflix『今際の国のアリス シリーズ』(20,22)に出演し、Amazon Original 映画『ナックルガール』(23)ではボクサー役に挑戦。『先生の白い嘘』が 7 月 5 日公開予定。

水上恒司/岸谷役
朔也の過去を知る幼なじみ。世話焼きな性格で、何かと気にかけている。
<コメント>
本や文字というものは、良質なものほど読み手に委ねると私は考えます。それは大変なことだと考えます。
今作、『本心』の脚本に私はその委ねる力を感じました。正直なところ、未だに正解がわかりません。
でも石井組に参加してそれで良いのだと学ばせて頂きました。
何とも消化の悪く心地の良いクランクアップを迎え、とても嬉しかったです。

<プロフィール>
1999 年生まれ、福岡県出身。 主な映画出演作に『弥生、三月-君を愛した 30 年-』(20)『望み』(20)『そして、バトンは渡さ
れた』(21)『死刑にいたる病』(22)『OUT』(23)ほか。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)では、第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。TV ドラマ出演作には「中学聖日記」(18/TBS)「MIU404」(20/TBS)、NHK 大河ドラマ「青天を衝け」(21)、NHK 連続テレビ小説「ブギウギ」(23)、テレビドラマ「ブルーモーメント」(24/フジテレビ)などがある。映画『八犬伝』が10月公開予定。

仲野太賀/イフィー役
世界的に有名なアバターデザイナー。ある出来事を機に、最初は朔也、その後三好にも興味を抱く。
<コメント>
石井組「本心」に参加できた事をとても嬉しく思います。AI が発達して変わりゆく社会と、変わることのない人間の愛の形を描いた今作がどのようにして映画になっていくのか。
脚本を初めて読んだ時、常に挑戦を続ける石井監督の更なる挑戦に、身震いしました。
僕が演じたイフィーという役は自由度が高く、軽やかでありながら寂しく、とても欲深い人間味をもっています。複雑なキャラクター像を演じるのは、僕自身大きな挑戦になりました。石井監督の演出を信じて導かれるように撮り切れたと思っています。

<プロフィール>
1993 年生まれ、東京都出身。2006 年に俳優デビュー。『すばらしき世界』(21)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞ほかに輝く。石井裕也監督作には『町田くんの世界』(19)『生きちゃった』(20)『愛にイナズマ』(23)に出演。近作に映画『ある男』(22)『ゆとりですがなにか インターナショナル』(23)『笑いのカイブツ』(24)『熱のあとに』(24)『四月になれば彼女は』(24)ほか。テレビドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ)が 7 月より放送開始。『十一人の賊軍』が 11 月 1 日公開予定。2026 年 1 月から放送される大河ドラマ『豊臣兄弟!』では主演 豊臣秀長役に決定している。

田中泯/若松役
リアル・アバターの仕事を始めた朔也の依頼人。最期の願いを朔也に託す。
<コメント>
「本心」のひとこまに居る事
事は 1 日で済んだ、これを書いている私は現在、田中泯だ、が、私が演じた「あの人」は今も私の内に居る。映画の中にも短い時間だが「あの人」はずっと居続ける。人の存在は等しく架空だ。事実はなんであれ全て地球の過去となる。本心の台本が届いてから時間は重厚なモノローグに匹敵する貴重な稽古だった。更にも増して、撮影本番の私の右斜めかたわらで、喰いるように私のカラダを見続ける石井監督の存在は、「あの人」と共にあった。感謝!

<プロフィール>
1945 年生まれ、東京都出身。1966 年よりクラシックバレエとモダンダンスを学び、74 年に独自の活動を開始。78 年にはルーブル美術館において海外デビューを果たした。『たそがれ清兵衛』(02)で映画初出演し、第 26 回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞と新人俳優賞を受賞。2022 年には『メゾン・ド・ヒミコ』の犬童一心監督による長編ドキュメンタリー映画『名付けようのない踊り』が公開された。直近の出演作に映画『PERFECT DAYS』(23)『わたくしどもは。』(24)、ディズニープラス
「フクロウと呼ばれた男」(24)などがある。

綾野剛/中尾役
野崎によって生み出された VF。朔也に VF の「心」について語る。
<コメント>
池松さんの真心、妻夫木さんの愛情、石井裕也監督の真摯さに触れられて幸せでした。
私の役柄は、VF(ヴァーチャル・フィギュア)です。私を生んでくれた家族。もう会えない人に会いたいという果てしない想い。それぞれがそれぞれの心と向き合うこと。そして、私という”再生”と生きていくことの誠実さを体感しました。
本作が観てくださる方々にとって、ご自身の本心との対話のきっかけになりましたら幸いです。

<プロフィール>
1982年生まれ、岐阜県出身。『横道世之介』『夏の終り』(13)で第 37 回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。以降、『そこのみにて光輝く』(14)『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)『64 -ロクヨン-』(16)『日本で一番悪い奴ら』(16)『怒り』(16)『ヤクザと家族 The Family』(21)ほか多数の映画・ドラマに出演。直近の主な出演作に映画『花腐し』(23)『カラオケ行こ!』
(24)、Netflix シリーズ「幽☆遊☆白書」がある。Netflix シリーズ「地面師たち」が 7 月 25 日に配信開始。映画『ラストマイル』が 8 月 23 日に公開予定。

妻夫木聡/野崎将人役
VF の開発を行う技術者。朔也の依頼を受け、母の VF を制作。
<コメント>
石井組には何度も参加させていただいていますが、石井組の一体感は改めて素晴らしいものでした。 AI の世界は未だ私たちにとって未知の領域です。僕たち人間には感情があるからこそ存在している意義があると思いますが、人間と AI、リアルと仮想空間、うまく共存できる世の中というのがあっても、僕は面白いんじゃないかとこの映画で思わされました。そして、そう思わせてくれる未来は意外とすぐそばなのかもしれない、未来予想図のようなこの映画を是非映画館で楽しんで欲しいです。

<プロフィール>
1980 年生まれ、福岡県出身。2001 年『ウォーターボーイズ』で映画初主演を果たし、第 25 回日本アカデミー賞新人俳優賞と優秀主演男優賞を W 受賞。以降、映画『ジョゼと虎と魚たち』(03)、テレビドラマ「オレンジデイズ」(04)ほか話題作に立て続けて出演し、NHK 大河ドラマ「天地人」(09)で主演に抜てき。『悪人』(10)で第 34 回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、『怒り』(16)で第 40 回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。『本心』の原作者でもある平野啓一郎による小説を
映画化した『ある男』(22)では、第 46 回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた。石井裕也監督とは『ぼくたちの家族』
(14)『バンクーバーの朝日』(14)に続くタッグとなる。

田中裕子/石川秋子役
朔也に黙って「自由死」を選んだ母。死後、VF(ヴァーチャル・フィギュア)として“復活”。
<コメント>
『本心』の脚本を読んだ後、石井監督に聞きました。
「ここに書かれている世界はだいぶ先の話しですよね」と。「いいえ、近い未来10年とか、あとちょっとぐらいかな」監督はそうおっしゃいました。世の中の新しいシステムについて行けず、困ったなぁ感満載の私の日々です。でもね。
この作品の主人公の男の子はいっぱい泣くんです。池松くんの涙を見てると、「こんなに男の子が泣いてくれるんだったらまぁいいか…」と近い未来の恐怖にちょっとだけ安心する私がいます。観ていただけたらわかると思うんだけどな。

<プロフィール>
1955 年、大阪府出身。『ええじゃないか』『北斎漫画』(81)でブルーリボン賞助演女優賞、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞を W 受賞。『天城越え』(83)でモントリオール世界映画祭主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞、キネマ旬報主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。『いつか読書する日』、『火火』(05)でキネマ旬報主演女優賞、報知映画賞主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞受賞。そのほかの主な映画出演作に『カポネ大いに泣く』(85)、『嵐が丘』
(88)、『ホタル』(01)、『共喰い』(13)、『家路』(14)、『ひとよ』(19)、『おらおらでひとりいぐも』(20)、『千夜、一夜』(22)、『怪物』(23)など。

【原作】
「本心」平野啓一郎(文春文庫/コルク)
愛する人の本当の心を、あなたは知っていますか?

「母を作ってほしいんです」――AI で、急逝した最愛の母を蘇らせた朔也。
孤独で純粋な青年は、幸福の最中で〈自由死〉を願った母の「本心」を探ろうと、AI の〈母〉との対話を重ね、やがて思いがけない事実に直面する。
格差が拡大し、メタバースが日常化した 2040 年代の日本を舞台に、愛と幸福、命の意味を問いかける。
『マチネの終わりに』『ある男』に続く、傑作長編小説。

原作者:平野啓一郎
<コメント>
『マチネの終わりに』、『ある男』に続き、『本心』が映画化されることとなり、私は期待に胸を膨らせました。しかも、驚くほど豪華なキャスト! とは言え、本作の映像化の困難は容易に想像がつきました。2040 年代の日本と、その世界を生きる人々は、果たしてどのように描かれるのか? 登場人物たちの人生を通じての思想的な問いかけは? 脚本の段階で相談を受けましたが、私は、原作のプロットを窮屈になぞろうとするのではない、石井裕也監督による映画的な再構築を受け容れました。試写会では固唾を飲んで見守りました。小説の映画化に於いて、原作と映画は、一種、共同的なライバル関係にあるのだということを、私は強く感じました。一つの新しい世界が誕生しました。そして私は、それを実現した監督、俳優を初めとする映画制作者たちに敬服しました。

<プロフィール(略歴)>
1975 年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒。
1999 年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第 120 回芥川賞を受賞。40 万部のベストセラーとなる。 以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。著書に、小説『葬送』、
『高瀬川』、『決壊』、『ドーン』、『空白を満たしなさい』、『透明な迷宮』、『マチネの終わりに』、『ある男』等、エッセイに『私とは何か「個人」から「分人」へ』、『「カッコいい」とは何か』、『死刑について』等がある。
2023 年、構想 20 年の『三島由紀夫論』を刊行し、小林秀夫賞を受賞した。

【INTRODUCTION】
監督・脚本 石井裕也 × 主演 池松壮亮 × 原作 平野啓一郎
時代の変化が著しい“今“描かれるべき、傑作小説の映画化に挑む!

「大事な話があるの」――そう言い残して急逝した母が、実は“自由死”を選んでいた。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか…。
息子の朔也は、最新の AI 技術で母を作り出し、母の本心を知ろうとする。テクノロジーは、人の心を再現できるのか?そして愛とは、幸せとは果たして何に宿るのか――。

『月』で各映画賞を総なめにした石井監督が、発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写。私たちの《生活》は確かに便利になったかもしれない。しかし、果たして《心》は 豊かになったのだろうか?
時代の迷子になった青年を通し、我々が得た もの・失ったものを一つひとつ掬い取り、真摯な問いを突き付ける。
その想いに、日本を代表する豪華キャストが共鳴。カンヌ国際映画祭で話題をさらった『ぼくのお日さま』(9 月 13 日公開)や
『シン・仮面ライダー』ほか近年ますます活動領域を拡張しつつある池松壮亮が主人公・朔也をあえて地に足の着かない演技で“我々の代表”として体現すれば、『怪物』が記憶に新しい名優・田中裕子がその母に扮し、生身/VF(ヴァーチャル・フィギュア)の“2 役”に挑戦。そして、『ナックルガール』や『先生の白い嘘』(7 月 5 日公開)ほか成長著しい三吉彩花が、母の素顔を 知るキーパーソンであり、過去の傷を抱えるミステリアスな女性・三好を熱演。さらに、妻夫木聡、綾野剛、田中泯、水上恒司、仲野太賀といったオールスターキャストが集結。各々の際立つ個性×意外な役どころの化学反応にも、注目いただきたい。
リアルとヴァーチャルの境界が崩れ、利便性が異常進化し続ける現在。時代の変化に彷徨う人間の《心》と《本質》を描く、革新的なヒューマンミステリーが誕生した。

【STORY】
工場で働く青年・朔也(池松壮亮)は、同居する母(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中に豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。助けようと飛び込むも重傷を負い、1 年もの間昏睡状態に陥ってしまう――。目が覚めたとき母は亡くなっていて、生前“自由死”選択していたと聞かされる。また、ロボット化の波で勤務先は閉鎖。朔也は、唯一の家族を失くし、激変した世界に戸惑いながらも幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で「リアル・アバター」の仕事を始める。カメラが搭載されたゴーグルを装着し、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する業務を通して、人々が胸の内に秘めた願いや時には理不尽な悪意に晒され、人の心の奥深さとわからなさを日々体感してゆく。そんななか、仮想空間上に任意の“人間”を作る「VF(ヴァーチャル・フィギュ ア)」という技術を知る朔也。
いつまでも整理のつかない「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼する。野崎の「本物以上のお母様を作れます」という言葉に一抹の不安をおぼえた朔也は「自分が知らない母の一面があったのではないか?」と、手掛かりを求めて、母の親友だったという三好(三吉彩花)に接触。彼女が台風被害で避難所生活中だと知り、「ウチに来ませんか」と手を差し伸べる。かくして、朔也と三好、VF の母という奇妙な共同生活がスタートする。その過程で朔也が知る、母の本心とは。そして「人に触れられない」苦悩を抱える三好を縛る過去、彼女だけが知る母の秘密とは。その先に浮かび上がるのは、時代が進んでも完全には理解できない人の心の本質そのものだった――。

【クレジット】
池松壮亮
三吉彩花 水上恒司 仲野太賀 / 田中 泯 綾野 剛 / 妻夫木 聡 田中裕子

原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク)
監督・脚本:石井裕也
音楽:Inyoung Park 河野丈洋
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ制作プロダクション:RIKI プロジェクト
©2024 映画『本心』製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/honshin/
公式 X:@honshin_movie (ハッシュタグ:#本心映画化 #本心)

11月8日(金)TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー