映画『星の子』の初日舞台挨拶が、10月9日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、主演の芦田愛菜と共演の永瀬正敏と、大森立嗣監督が登壇。さらに、本作のタイトルアートを手掛けたアーティスト・清川あさみがサプライズで登場した。
芦田愛菜の6年ぶりの主演作となる本作は、今村夏子の同名小説を映画化。両親から愛情たっぷりに育てられた中学3年生のちひろが、“あやしい宗教”を信じる両親や学校での出来事などに心揺さぶられる姿を描く物語。主人公のちひろ役を芦田、その父親役に永瀬、は母親役を原田知世が演じる。
この日は、TOHOシネマズ 六本木ヒルズと全国10都市19会場を中継で繋いで、映画館に訪れてた全国の観客へ舞台挨拶。芦田は「無事にみなさんにお届けでき、中継でたくさんの方と一緒に初日を迎えられたのが嬉しいです」と笑顔で挨拶。また、芦田の地元、西宮にも中継されていることから、関西弁で「今日は天気も悪いのに映画館に来てくださってめっちゃ嬉しいです。今日は楽しんでってやー」と笑顔で手を振った。
永瀬も「今日は役者さん全員の代表として来ています。公開映画でみなさんと対面するのが久しぶりで感慨深いです」としみじみ。さらに九州弁で「どうか楽しんでってくんや」と照れながらも声をかけていた。
大森監督とのタッグについて、芦田は「監督は具体的な演出はせず、シーンについてお話するうちに、ちひろになるための課題やヒントをいただいていたような感じでした。役について委ねてくださっている感じで、監督と2人でちひろという女の子を作り上げていく感覚が楽しかったです」と述べ、充実した撮影を振り返った。
宗教や両親のことなどで心の揺らぎや葛藤を表現するにあたり、芦田は「周りからどうみられるかなど気になるところはありましたが、学校に行けば心許せる友達がいて悩みを相談できるし、多面的な部分を表現したいと思っていました。繊細な心の揺れや葛藤は一人のシーンにこそ現れるものなのかなと。ふと一人になったときに決意や悲しみが見えたり、ちひろの本音の部分を見せられたらいいなと思いながら演じていました」と吐露。
そんな芦田を大森監督は「芦田さんはすごく演技が上手い。本を読む力もあるし、人とコミュニケーションを取る力もある」と絶賛。「だが、だからこそ映画監督は芦田さんが意図できないものを撮りたくなるものなんです」と続けた。
大森組の現場を「すごく居心地のいい現場。監督の決断が早く、撮りたいものが明確に見えている。早く進んでいくので、演者はより余白ができて役に没頭する時間がいただけるのでとてもありがたいです」と永瀬。「とにかく、どういうふうに緑色のジャージを着ようか、どうやって頭にタオルを乗っけようかと考えましたね」と言って会場を沸かす場面も。
イベントでは、「自分がこれまで信じていたものが間違いだったり、勘違いだったもの”について」問われ、登壇者が書いたフリップで発表。芦田は「猫の可愛さ」と回答。「飼う前も、可愛いなと思っていたんですけど、一緒に生活すると思っていたよりも可愛くて毎日癒やされています。寂しがりみたいで、みんながいるところに、いつも必ず近くにいてくれたりして、そんなところが可愛くて愛おしいです」と熱弁。
永瀬は「ナオス」と。永瀬の地元では「しまう」という意味だそうで、関東との意味の違いについて説明し「全然気が付きませんでした」と笑った。大森監督は「家族のほうかい」と書いて、皆を驚かせたが「ずっと家族って崩壊するもんじゃないかなと思って育ってきたんですが、最近、仲良しになってしまい、信じなくてよかったと思っております」と苦笑いしていた。
また、映画本編で題字「星の子」の背景となるタイトルアートを手掛けたアーティストの清川あさみが登場。、サプライズで芦田にそのタイトルアートの原画がプレゼントされると、芦田は「凄い!凄い!」と大興奮。清川は「大森監督から直接お願いされ、手掛けました。映画が本当に素晴らしかった。難しい役どころなのに引き込まれるような演技をされていて、感動しました」と映画に魅力を語った。
最後に、芦田が「“信じるとは何か”・・・その結論は人それぞれ違うと思います。 “信じる”ってなんなんだろう、と考えたり、信じたいと思えるような大切な方のことを思うきっかけになる映画になったら嬉しいです」 と、メッセージを送り舞台挨拶を締めくくった。
【STORY】
大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じていた。中学3年になったちひろは、一目惚れしてしまった新任のイケメン先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きるー。
キャスト:芦田愛菜 岡田将生 大友康平 高良健吾 黒木華 蒔田彩珠 新音 永瀬正敏 原田知世
監督・脚本:大森立嗣(『日日是好日』)
原作:今村夏子『星の子』(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
製作幹事:ハピネット、ヨアケ
製作プロダクション:ヨアケ、ハーベストフィルム
配給:東京テアトル、ヨアケ
公式サイト:http://hoshi-no-ko.jp
©️2020「星の子」製作委員会
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