史上初となる、日本ラオス合同映画『ライス 竜の奇跡』が、6月24日より公開。
本作は、1960年にタイムスリップしてしまった女性・ノイと、その時代に生きる日本人青年・川井が出会い、それぞれがラオスの田舎の人々と接していくうちに出来事を通して自分を見つめ直す様を描いたネイチャーファンタジー。実際にラオスに移住していた森卓プロデューサーがラオスへの恩返しの気持ちを込め、私たちが大切にすべき「人を思いやる優しさ、素直な気持ち」を伝えるべく制作された渾身の作品。
主演の日本人青年・川井役に大抜擢された期待の新人、井上雄太が撮影エピソードや本作への熱い思いを語ってくれた。
―映画初出演にして初主演を果たされましたが、本作に出演することになった決め手は何だったのでしょうか?
魅力ある作品だったことももちろんですが、以前、熊沢監督のワークショップに参加したときに、「川井の役をぜひ、井上くんに演ってほしい」と監督が仰ってくださったんです。「熊沢監督の作品でしたら、ぜひ!」という気持ちでした。そして、脚本を読ませていただき、自分自身も川井という人間がとても共感できたんです。初めての海外赴任で、初めての仕事に挑み、その中で色々な経験をしていくというところを、素直に自分を通して演じてみたいなと思いました。本当に願ってもないお話でした。
― 撮影はオールラオスロケ。セリフもほぼラオス語でしたが、大変だったのでは?
最初に出演オファーをいただいたときに、ラオス語が出てくることは聞いていましたが、日本語の合間に少しだけラオス語を話すくらいだと思っていたんです。ところが、いざ台本を開いてみると、冒頭の日本語のシーンのあとは但し書きで「※以下すべてラオス語とする」となっていました。台本には日本語で書いてあるのですが、ここからは全部ラオス語だと思って読むんだと・・・。ちょっとビックリしました(笑)。
― では、ラオス語の勉強もかなりされたのですか?
そうですね。まずは大学でラオス語を教えているラオス人の先生に付いて1か月間みっちりレッスンを受けました。最初はラオス語のセリフをベースに音として叩き込んで覚えて、その後撮影の1か月前にラオスに渡り、そこでさらに言葉を勉強しました。ラオスで生活する中でちゃんと生きた言葉にしていき、撮影に臨みました。
― ラオスに対してこれまで持っていたイメージと、実際にラオスを訪れてからの印象はいかがですか?
本当に申し訳ないのですが、最初はあまりラオスという国を知りませんでした。学生のころ社会の授業でベトナム、カンボジア、ラオスの周辺を少しだけ勉強した記憶があるくらいで、タイに近い国という感覚でした。実際にラオスに行ってみたら、治安がとても良くて、人々もゆったりと過ごしていてステキな国でした。
― ラオスを訪れると「いい国だった」と言われる方が多いそうですね。
それは、ラオスで生活していた今作のプロデューさんも体験されたことでもあるのですが、安心感があるんじゃないのかなと思います。世界には色々な国があって、刺激的な国も魅力的だとは思いますが、ラオスの人たちは全然がっついてなくてゆったりとしている、外国人だから・・・という偏見もない。ありのまま普段通りに接してくれるので、こちらも肩肘張らずにリラックスして観光できて、その空気を味わえるからこそ、「行ってよかった」と思う人が多いのではないでしょうか。
― ラオスロケはどのくらいの期間でしたか?
撮影は1か月でした。その1か月前にラオスに入っていたので、撮影にはスムーズに入ることができました。
― 現地では出演されている周りの俳優さんは全てラオスの方ですよね? 特に子役のディンくんと仲良しだったようですが、共演されていかがでしたか?
スタッフ以外は全てラオスの役者さんです。家族役の方たちは実は本当のご家族なんです。ですから、撮影のときに家族の空気はすでにできていました。あとは劇中で川井という青年がディンという少年に救われたことから始まるので、気持ちも通わせなくてはいけない。言葉が通じないながらも、一緒に石投げなどしてコミュニケーションをとっていました。こちらから何か働きかけると必ず返してくれて、最後は僕が帰っちゃうのがイヤだと言ってくれるくらい仲良くなりました。
― 家族3人とも俳優さんなのですか?
お父さんとお母さんは、ベテランの俳優さんで、色々な国で舞台公演をされている一団の方です。現地では、監督の指示のもと出演する俳優を集めて演技のワークショップもしてくれました。
― ノイ役のティダーさんも映画初出演とか?
元々モデルさんのようですが、お芝居もすればイベントのMCなど多方面で活躍されているようです。
― お互い映画初出演で共演相手が外国人で戸惑いはなかったですか?
向こうも僕が日本人ということで、とても気を使ってくれていたと思います。凄くフレンドリーに接してくれて、ティダーさんのご自宅でご家族と一緒にご飯をご馳走になったり、本当にオープンな感じだったので、(撮影も)とてもやりやすかったです。ティダーさんは英語も少し話せるので、僕のラオス語が怪しくなったら英語で話してもらったりする感じで・・・(笑)。
― 充実したラオスロケだったようですが、難しいこともあったと思います。そのなかでも特にキツかったなぁと思った場面は?
緊張感を持って臨んだのは、村人たちを説得するシーンでした。セリフも長いのですが、夕暮れ時に撮影していたので何度も撮り直しができなかった。長回しで一発撮りだったので精神的に大変でした。
あと、冒頭で山を登っていくシーンがあるのですが、疲れたときの息づかいを厳しく指導されました。勉強することがいっぱいありました。
― 井上さんご自身が特に印象に残っているシーンはありますか?
僕が笛を吹いてみんなを和ませるシーンがあるのですが・・・そこはぜひ温かい目で観てやってください(笑)。やっていることは他愛もないことなんですが、ノイの気持ちにも変化が起こるところでもあり、大きな意味を持つシーン。とても川井らしさが出ていると思います。
― その笛は川井の父がお守り替わりに持たせてくれた物だと思いますが、もし、井上さんが実際に知らない土地に何か一つだけ持っていくとしたら何を持っていきますか?
現実的なものでいうと、コンタクトレンズです(笑)。僕、めっちゃ目が悪いのでコンタクトレンズがないと何もできないんです。まずはそれが頭に浮かぶんですが、気持ち的に持っていきたいものは、兄貴からもらった時計かな。就職活動の時にもらったのですが、それを身につけていればいつでも家族を感じられるので、どこにいても頑張れると思います。
― いろんな角度からメッセージを受け取れる本作ですが、井上さんが感じたものは?
脚本から受け取る川井という青年は、初めての仕事で初めてラオスという国に行ってワクワクしながらも、まだ自分が仕事するという意味を分かってない。そこでノイという女性や村人たちと出会って、その意味を理解していき自分の考えを持つという川井の一連の気持ちの動きを、初めて映画に出る自分自身に重ねていたので、たぶんそのときは演じるというよりは本当に自分だったら「こう考えるだろう」と思いながら臨んでいたと思います。そして、完成した作品をもう一度観かえしたときに、やっと客観的に観ることができました。川井が素直な気持ちをもって人と関わっていくなかで、自分の気持ちをぶつけて相手からまた返ってくることでさらに自分が変わっていく。その大切さを強く感じました。現代に生きる人たちがどう思って過ごしているかはそれぞれですが、僕はこの映画を観ていただいてシンプルに「一生懸命、頑張る」ということがいい結果を生むんだな、いいものなんだなと感じていただければ嬉しいです。
― そのことが、井上さんが本作に出演されて得られたこと?
はい、そう思います。出演して良かったです。ラオス、楽しかったです!たくさんのことを吸収できました。
― ラオスの生活で一番楽しかったことは何ですか?
ラオスの自然も好きですが、特に飯が凄く好きだったんです。屋台で売っている豚肉の串焼きとか、めっちゃ美味しいんです。なかでもナマズの丸焼きが好きでした。河で採れたナマズを丸焼きにしているんですが、臭みもなくて脂がのっていて毎朝食べていました。屋台のおばちゃんに顔を覚えられちゃうくらい(笑)。これ、日本のラオス料理屋さんに行っても売ってないんですよ。
― またラオスに行きたくなりますね。
行きたいですね。ヴェンチャン以外にもルアンパバーンなど色々な街があるので足を延ばして出かけてみたいです。
― 最後に、本作をご覧になるみなさまにメッセージをお願いします。
『ラオス 竜の奇跡』という映画はめちゃくちゃ刺激的という作品ではないので、どのように観ていただけるかは、その方の気持ち次第だと思います。先ほども言いましたが、本当に素直に考えて行動したことは、周りの人々にもいい影響を与えて自分も成長できるんだと感じていただける映画です。また、ラオスというステキな国、そこに住む人々の素晴らしさを知っていただければ、この映画が担える役割の一つになると思います。たくさんの方に観ていたければ光栄です。
【井上雄太(いのうえゆうた)プロフィール】
1988年、大阪府生まれ。東宝芸能創立50周年を記念して開催したオーディションに合格。2015年、テレビ朝日「民王」でデビュー。主な出演作品は、読売テレビ「脚本家と女刑事」(2016年)、テレビ朝日「警視庁・捜査一課長」(2016年)、フジテレビ「早子先生、結婚するって本当ですか?」(2016年)、CMドコモdヒッツ「急な雨編」「バスが来ない編」 他。本作は映画初出演にして映画初主演。
映画『ラオス 竜の奇跡』
井上雄太(日本)、ティダー・シティサイ(ラオス)
監督:熊沢誓⼈
脚本:守⼝悠介、熊沢誓⼈
プロデューサー:森卓
制作:Athidxay BOUANDAOHEUANG(ラオス)
製作:ジャパン-ラオス・クリエイティブ・パートナーズ(⽇本)
共同制作:Lao New Wave Cinema Production(ラオス)
配給:アークエンタテインメント
(C)ジャパン-ラオス・クリエイティブ・パートナーズ
公式サイト:http://saynamlai.movie/
6月24日(土)より、有楽町スバル座ほか全国公開中!
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