映画『いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~』初日舞台挨拶が、6月24日、東京・TOHOシネマズ新宿にて行われ、主演の尾野真千子をはじめ、共演の向井理、岸本加世子、駿河太郎、成田偉心と、脚本を手がけた山本むつみ、深川栄洋監督が登壇した。
本作は、向井理の祖母・芦村朋子の半生を綴った「何日君再来」を原作に映画化。物語は、戦後の混乱期、夫・吾郎(向井の祖父)と妻・朋子が、時代の波に翻弄されながらも、日本人の誇りを失わずに懸命に生きる、壮大な愛を描く。書籍は、向井が大学生のときに、祖母の手記をパソコンで打ち直し、家族や親戚と共に自費出版をして、卒寿(90歳)をむかえた祖母へお祝いとしてプレゼントしたもの。その原作をもとに向井自身が7年の歳月をかけ、企画にも携わった渾身の作品である。
上映後、舞台挨拶に登場したキャスト陣をスタンディングオベーションで迎えた観客。いつまでも鳴り止まない拍手に感激を隠せない尾野は「こんな経験は初めてです。こうやってご褒美をもらえたことが嬉しいです」と涙を流した。
隣に立つ向井も、「僕もこういう経験は初めて。嬉しいというか、たくさんの人に気持ちが届いたんだなと。役者冥利につきます。ありがとうございます」と感無量の様子。
「自分の家族ということは脚本の時点でなくなっていて、この時代にいた人々(家族)のことを描きたかった」と話す向井。深川監督が「俳優さんが“映画”を作りたいと言ってくれたのが嬉しかった。映画じゃなきゃ自分の思いが伝わらないんだという、この人の情熱に報いたいと思いました」と制作のきっかけと思いを述べると、向井は「どうしても深川さんとやりたいという思いが強かったんです。ひょうひょうとしているけれど、その中に映画に対する情熱を感じていました」と語り、お互いの思いの強さから本作が完成したことを示した。
吾郎の先輩・高杉役を演じた駿河は、向井について、「企画を聞いたとき、何てじいちゃん、ばあちゃん孝行なんだ。その顔でそんないいことされたら、誰も勝たれへんやん、って思いましたよ(笑)」と称え、向井理役を演じ、初の映画出演を果たした成田は「向井さんを演じるということで緊張しましたが、向井さんから『普通でいいよ』と言われ、リラックスして演じることができました」と笑顔をみせた。
また、先日13日に81歳で亡くなった野際陽子について、岸本は「映画としての遺作にご一緒させていただくことができて幸せでした。撮影現場では、監督が『野際さん、もうちょっと弱った感じを出していただいても大丈夫です』と仰っしゃるくらいお元気でした」と明かし、野際との別れを惜しんだ。
終盤には、向井から尾野へサプライズで花束を贈呈。向井が「真千子と共演できて幸せだったよ」と感謝の気持ちを込めて優しく語りかけると、またまた尾野は号泣。涙顔を花束で隠しながら「もう、めっちゃブスな顔してるから・・・。きょうはなんて日だ! こんなのやめろよぉ~」と照れつつ、「妻をやらせていただいて、本当に毎日幸せで楽しかったです。共にこうやって足並みそろえて歩んでこられたことがうれしいです。(この作品が)宝物になりました」と、思いの丈を伝えた。
最後に向井が「普通の家族のドラマ。戦後の大変な時代をくぐり抜けた人たちがいるから今の自分たちがいるんだなと思わせてくれます。野際さんも『あの時代が二度と来てほしくない』と仰っていましたし、あのような行為を二度と起こさないためにもこういった映画が必要だと思います」とメッセージを伝え、舞台挨拶を締めくくった。
『いつかまた、君と ~何日君再来~』
どんなに貧しくても、父ちゃんが私の誇りだった。私、やっぱり父ちゃんがいい。
81歳になった芦村朋子(野際陽子)は、不慣れな手つきでパソコンにむかい、亡くなった夫・吾郎との思い出を手記として記録していた。しかし、朋子は突然倒れてしまう。そんな朋子の代わりに、孫の理が手記をまとめていくことに。そこに綴られていたのは、今まで知ることのなかった祖母・朋子(尾野真千子)と祖父・吾郎(向井理)の波乱の歴史と深い絆で結ばれた夫婦と家族の愛の物語だった。そして、その中ではじめて語られる朋子の子供たちへの思い―。その手記は、進路に悩んでいた理(成田偉心)に、そして朋子に対してずっとわだかまりを抱いていた娘・真美(岸本加世子)の心に変化をもたらしていく-。
出演:尾野真千子 向井理 岸本加世子 駿河太郎 イッセー尾形 成田偉心/野際陽子
原作:『何日君再来』芦村朋子
主題歌:「何日君再来」高畑充希(ワーナーミュージック・ジャパン)
脚本:山本むつみ「ゲゲゲの女房」「八重の桜」
監督:深川栄洋「神様のカルテ」「60歳のラブレター」
製作:「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会
配給:ショウゲート
(C)2017「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会
公式サイト:http://itsukimi.jp/
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