日本を代表する女優黒木瞳の初監督作品として注目されている『嫌な女』の公開初日を向かえた。初日舞台挨拶として、監督の黒木瞳に加え、ダブル主演の吉田羊、木村佳乃、中村蒼、古川雄大、ラサール石井と豪華なメンバーが登壇した。今作は、黒木瞳が原作を惚れこみ、自ら出版社に映画化を嘆願し、4年の歳月を経て完成したとあり、黒木監督は、並々ならぬ想いでこの日を迎えたようだ。
登壇者より挨拶
堅物弁護士石田徹子役の吉田羊より
「今回私は石田徹子という、聞くからに頭の固そうな役を演じておりますが、昨年の8月、暑い夏に熱い1ヶ月を過ごして撮りきった作品です。やっと皆さんにお披露目できるのが嬉しいです。どうぞ楽しんで帰ってください。ありがとうございます。」と、満面の笑みをたたえながらの挨拶。
女詐欺師谷夏子役の木村佳乃より
「瞳さんの初監督作品に出させていただいて本当に光栄でした。第一線で活躍されている美しい大先輩の女優さんの瞳さんなんですけれども、監督としては大変厳しかったです。今まで男性の監督では指摘されたことのない演技指導を受けまして、大変勉強になりました。今日初日を迎えることが出来て本当に嬉しいです。最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。」と、清々しい笑顔で、茶目っ気たっぷりに監督の裏話を盛り込んで挨拶した。
徹子の同僚弁護士磯崎賢役の中村蒼より
「とても陽気で羊さん演じる徹子さんとは真逆で、自分の性格は真反対で、でもだからこそ、やりがいがありました。今日は短い時間ですが宜しくお願いします。」と、少々緊張気味に挨拶。
夏子の恋人太田俊介役の古川雄大より
「黒木瞳監督の初作品に携われて本当に幸せに思っていますし、普段ミュージカルをやらせて頂いているんですけど、こういった素晴らしいキャストの中、映像の作品に参加できたことを嬉しく思っています。本日はよろしくお願いします。」と、喜びを語った。
徹子の働く法律事務所の所長荻原道哉役ラサール石井より
「大体こういう初日の挨拶というのは、イケメンの俳優さん、美人の女優さんがずらっと並んでる中に、見たことないちょっとむさ苦しいおじさんが一人いて、大抵それが監督なんですが、現場では瞳監督と呼ばれていて、撮影所にも“黒木組”ではなく“瞳組”と呼ばれていました。監督がお綺麗ですのでね、素晴らしすぎるこの並びの中でバランスをとるために呼ばれておりますけれども。」と、笑を誘った。
黒木瞳監督より
「初日初回の劇場に足をお運びいただきありがとうございます。ほんっとうにありがとうございます!皆さんのご挨拶を聞いているだけで、感無量と言う感じなんです。この原作を頂いたのがちょうど5年前です。それから何度も諦めようと思ったり、くじけそうにもなりました。主題歌を歌っていただいている竹内まりやさんに弱音を吐いたこともあります。でも、背中を押してくれたのは、このイメージをカタチにしようと頑張ってくれたスタッフの支え、そして、現場に行くと、皆さんがキラキラした演技を私の前で見せていただいた、皆さんのオーラ、そして見てくださった方がきっと笑顔になってくださるだろうと信じました。それが私を奮い立たせてくれました。今日これからゆっくりご覧になってください」と、この作品にかけた思いを語った。
ーー撮影初日と本日公開初日、同じ初日ですが、気持ちに違いはありますか?
黒木監督:全く違うものですけど、何が一番違うかと言うと、出演している時と、今の立場の時(監督という立場)で全く違いますので、大変緊張しております。ですので、今日も朝いつも女優でいる時と変わらない気持ちになるようにヤキソバを食べてきました。(会場笑)
ーーこの映画で記憶に残っているシーン、監督の演出で驚いたことなどありますか?
吉田羊:「瞳さんは音にこだわる方なんですね。今回はナレーションも担当させていただいているんですけど、その収録のときに『羊ちゃん、今の音はミレミミじゃなくて、ドレドドでお願い』と(音階)でいわれて、わかるような、わからないような・・・でもそれって、宝塚で培われた実績があるからですし、自分がお芝居をされるからこそこだわって台詞を発していらっしゃるからだなってことは凄く感じました。」と、監督の並々ならぬこだわりを披露した。
木村佳乃:「瞳さんって、凄くピッとしてらっしゃって、隙がないようなイメージがありません?みなさん。でも、凄くオッチョコチョイな面がございまして、(昨年)8月19日に大好きな竹内まりやさんの『元気を出して』を歌うシーンがございまして、もともと小学生の頃から『元気を出して』は大好きな歌で、練習して備えていたんですけど、8月19日の前に、瞳さんがボロっと『19日、まりやさんいらっしゃるから!』て、私におっしゃったんです。『え?ひとみさん???』って聞いたら、そのままプイっと本番!っていかれたので、そのことが頭の中をぐるぐる廻っていたのですが、他のスタッフに聞いても知らないと冷たく言われて、でも、そのことを覚えていらっしゃらなくて・・・」と、監督のお茶目な一面を披露。
すると監督より、「私言った???佳乃ちゃんへのサプライズのだと思っていたので、私言った事も忘れていて・・・・サプライズにならなかった・・・」と、すこし恥かしそうに弁解した。
また、この初日舞台挨拶で、釜山国際映画祭に正式出品されることが発表となった。この知らせを受けて、監督より「本当に多くの方に見ていただくのは、本当に嬉しいです。」と表情が引き締めて語った。
訪れたの観客より、「公開おめでとう!!」の掛け声と、劇場中がこの映画のモチーフになっているひまわりが一面に咲いたように見えるうちわでのサプライズの演出。監督、出演者ともに「すごい!きれい!うれしい!」と感歎の声が。
最後の挨拶として、監督より
「私たちが皆さんに笑顔に、元気にさせたいと思っていたのに、皆様から元気を頂きました。とにかく見ていただかないと作品が一人歩きしないので、見ていただけるというのはこんなに嬉しいことはありません。想いがあるのですが、言葉にならない・・・ありがとうございます!ゆっくりご覧になってください!」と胸に手を当てながら語った声は感極まったのか、すこし涙声にも聞こえた。
【STORY】
石田徹子(吉田羊)はストレートで司法試験を合格し、弁護士となった才媛。29歳で結婚をし、人も羨む幸せな人生を送る…筈が、仕事も結婚生活も上手くいかず、心に空白と孤独を抱えた日々を過ごしていた。
そんなある日、婚約破棄で慰謝料を請求されたという女性が徹子の元に訪れる。女性の名は小谷夏子(木村佳乃)。徹子の同い年の従妹だった。夏子は初対面の相手でも、たちまちするりとその懐に入ってしまい、男をその気にさせる天才。彼女との未来を夢見た男は、いつの間にか自らお金を出してしまうのだ。徹子は子供のころから自分と正反対の夏子が大嫌いだった。しばらくぶりで再会した二人だったが、この日以来、徹子は生来の詐欺師の夏子に振り回され、トラブルが起こるたびに解決に引っ張りだされることになり・・・。
監督:黒木瞳
脚本:西田征史(『TIGER&BUNNY』シリーズ、『小野寺の弟・小野寺の姉』など)
キャスト:吉田羊、木村佳乃/中村蒼、古川雄大、佐々木希、袴田吉彦、田中麗奈/織本順吉、寺田農、ラサール石井、永島暎子
原作:「嫌な女」桂望実(光文社文庫刊)
主題歌:竹内まりや「いのちの歌」(ワーナーミュージック・ジャパン)
製作・配給:松竹株式会社
公式サイト:http://iyanaonna.jp/
クレジット:©2016「嫌な女」製作委員会
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