【 第45回 ⽇本アカデミー賞 】
〈最優秀主演男優賞〉
西島秀俊 『ドライブ・マイ・カー』
第45回日本アカデミー賞の授賞式が3月11日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールにて行われ、最優秀主演男優賞に『ドライブ・マイ・カー』の西島秀俊が受賞した。西島は第42回に『散り椿』で優秀助演男優賞を受賞。今回、最優秀主演男優賞は初めて受賞となる。『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹の同名短編小説を濱口竜介監督がメガホンをとり映画化。突然妻を亡くした舞台俳優であり演出家の家福悠介(西島秀俊)が、ある過去を胸に秘める寡黙な専属ドライバー・渡利みさき(三浦透子)を運転手として雇い、旅路の中でこれまで目を背けていたことに向き合っていく姿を描く。同作は昨年のカンヌ国際映画祭で4冠を獲得、3月28日(日本時間)に米国で開催される第94回アカデミー賞では作品賞を含む4部門にノミネートされている。
※プレゼンターは昨年最優秀男優賞を受賞した草彅剛が務めた。
◆西島秀俊 受賞コメント
驚いています。名誉な賞をいただいて感謝しています。濱口監督、スタッフの皆さんの力でいただいた賞だと思っています。そして岡田将生くん、霧島さん、世界中から参加した俳優の皆さん、三浦さん、僕たちはとにかく毎日本(台本)読みしていました。改めて相手の言葉に耳を澄ますことが、自分の演技のためではなく相手のそこにいることにすごく影響を与えると、実感させてもらえた現場でした。
そして、いま世界が混乱していて、いろいろな繋がりが切れている中、今日は3月11日ということで東日本大震災から11年経ちました。人とのつながり、魂の再生の物語がこうやって賞をいただいたことは、何か大きな意味があるのではないかと思っています。これからも人生、それから人に寄り添う希望を持つような素晴らしい作品に参加したいです。日本映画のためにこれからも身を捧げたいと思っています。
授賞式の様子
※他コメント
佐藤健:連続殺人事件の容疑者という、これまでなかなかなかった役がらでした。災害は形を変えて様々な形で我々の生活を侵食していくことを僕も原作に教えられました。こういった現状をたくさんの方々に知っていただきたいという思いで作品に臨みました。阿部寛さんとは11年ぶりの共演で、もとより大ファンの阿部さんに今回成長した姿を見せることができたかなと思っています。
阿部寛から「『遠慮しないでください』と言っていて凄く気持ちがよかった」と絶賛され照れ笑いを浮かべる。
菅田将暉:ファミレスのシーンが印象に残っています。男女の二人がでかい、どうやって別れていくかという映画。その中で出逢いも別れもファミレスのシーンなので。何度か共演経験のある有村架純について、「関西人なので、たまにちっちゃい声で突っ込んでるんです。小さい猫を拾ったシーンで『重いな』『ちっちゃい』など、隣でも聞こえないくらいの声で突っ込んでいて、ああ、関西人だなと思いました」と明かす。同じ29歳同士でお互い、遠慮なく現場に立てればいいなと思いました。
西島秀俊:海外でも多くの賞を受賞しノミネートされていることについて「濱口監督の素晴らしい才能の力。あとはスタッフが俳優の演技に嘘をつかせないために徹底的に現場を作ってくださいました。その積み重ねが結果に繋がったのかなと思っています。実際に車を走らせて撮影することは最近あまりないが、車の走る音がしていることが演技にも影響するんです。本当を突き詰めることが一つの形でした。
松坂桃李:偶然にも役所と並んでツーショット! 前作『孤狼の血』で受け継いだライターについて「ライターは僕にとってお守りのようなもの。ずっと手に馴染むように使っていました」と。撮影後に鈴木亮平、監督と出かけた銭湯の“電気風呂”の衝撃のエピソードも。主演の座を受け継いだ松坂に、役所は「完璧ですね!」と笑顔で称えた。
役所広司:刑務所の中でミシンを使用するシーンがあるため、ミシンをずっと練習していました。太賀くんとのお風呂のシーンは、松坂モデルの前張りで!「松坂くんに教えてもらった前張りを太賀くんに教えました」
方言にも苦労したとのこと。共演の長澤について「白いワンピースを着て焼肉屋に。煙が凄くて気になってしょうがない。非常に面白い現場でした」とも。
■優秀主演男優賞
佐藤健 ・・・『護られなかった者たちへ』
菅田将暉 ・・・『花束みたいな恋をした』
西島秀俊 ・・・『ドライブ・マイ・カー』
松坂桃李 ・・・『孤狼の血 LEVEL2』
役所広司 ・・・『すばらしき世界』
日本アカデミー賞公式サイト:https://www.japan-academy-prize.jp/
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