【 第46回 ⽇本アカデミー賞 】
〈最優秀主演男優賞〉
妻夫木聡 『ある男』
第46回日本アカデミー賞の授賞式が3月10日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールにて行われ、最優秀主演男優賞に『ある男』の妻夫木聡が受賞した。『ある男』は、平野啓一郎の小説を原作に石川慶監督の手で映画化したヒューマンミステリー。妻夫木は、谷口里枝(安藤サクラ)から、夫・谷口(窪田正孝)が不慮の事故でこの世を去った後、別人の戸籍で生きていた男だったことを相談され、事件を追及していく弁護士・城戸を演じた。妻夫木は『悪人』以来12年ぶりの2度目の最優秀主演男優賞受賞となった。
◆妻夫木聡 受賞コメント
「まさかいただけるなんて思っていなかったので・・・何も考えていなくて」と驚きながらも、「『悪人』でも最優秀主演男優賞をいただいたんですけど、そのときは出席できず中継だったので今回は実際にいただくことができて本当にうれしいです」とブロンズを握りしめた。
「以前、山田洋次監督から『“ある”っていうことが大事なんだよ』と言われまして、存在するということを大事にして役を務めさせていただきました」と語り、「僕は本当に日本映画が大好きです。これからも日本映画を盛り上げていけるように、みなさんと一緒にまた仕事ができたら嬉しいです。今回は本当にありがとうございました」と思いの丈を口にした。
◆授賞式の様子
◆他コメント等
<阿部サダヲ>
連続殺人犯という難しい役どころに挑戦した阿部。「普通のパン屋さんだったので、清潔感を出すために『歯を白くしましょう』と白石監督に言われてコーティングしたんですが、それを見た監督に爆笑されました。でも、映画の出来上がりをみたら、(それがかえって)不気味に見えてきたので、良かったなと思いました」と明かし、劇中は殺伐としたシーンが多いが、「現場の雰囲気は穏やかで、(劇中に登場する)被害者の方が記念に写真を撮って帰っていきましたね(笑)」と当時を振り返っていた。
<大泉洋>
『月の満ち欠け』では28歳から55歳まで演じたが、「28歳の自分(の役作り)はもう諦めました」と笑いつつ、自身も妻と娘がいるという立場に、「妻子を失うという役柄が辛かった」と話し最初は役を受けることを悩んだという。「(妻役の)柴咲コウさんがすべてを受け止めてくれて、本島にステキな奥様でしたね」と笑顔を見せ、「決して当たり前の時間じゃなく、全てが大切な時間なんだなと感じました」と吐露。目黒蓮に「アイドルってどうなの?」と聞いたことについて、「生まれ変わったらアイドルになりたいと思って。興味があって聞きました」と話し、会場を沸かせた。
<妻夫木聡>
弁護士を演じるうえで、「実際、弁護士の方に何度か会って取材をいっぱいさせてもらいましたし、裁判も傍聴したりしました。『いろいろなタイプの弁護の仕方があるんですね』と弁護士の方に言ったとき『僕も今こう接しているけど、この僕はいつもの僕とは違いますよ』と言われた。人には色々な顔があって、ひとつのチョイスが今の顔なんだと気づきました」と本作の出演で得た大きな発見を明かしていた。
<二宮和也>
『ラーゲリより愛を込めて』のオファーに、「このお話をいただいた時が嵐が休止する年だったんです。その年は1年間、嵐の思い出で埋め尽くしたいと思っていたので『ごめんなさい』といったんです。それでも『待ちます』と言ってくださって・・・。そんな環境は初めてでした」と回顧し、感慨深げ。
また、同じく優秀主演男優賞の松坂とも同映画で共演しており、「松坂さんだけ2000円高いホテルに泊まっていたんですよ」とイタズラな笑顔を浮かべて暴露。慌てた松坂は「事情があって。泊まっていたホテルのほかにもう1個あると聞いて。二宮さんも『ちょっと行きたいかもね』って言われたので、『先に行って探ってきます』と先に出たら、こういうふうに言いふらされてるんですよ」と、二宮のイジリに必死に弁解。「現場は気持ちが通じ合っている仲間がいたので、楽しく撮影することができました」とチームワークの良さを伝えていた。
<松坂桃李>
打ち明けられない男性の苦悩を繊細に演じた松坂。「佐伯文という役が自分の中で本当に掴めなくて・・・手探りで探っていくような存在で、ヒントが全然見つけられなかった」と苦労を語り、監督から助言をいただいて文の家に数日寝泊りもしましたが、いまだにこれでよかったのか、正解がわからない」と伝える。共演の広瀬すずに「李組の先輩なので、頼りにしていました」と称えると、広瀬は「堂々としている松坂さんに引っ張っていってもらいました」と謙遜しきりだった。
■優秀主演男優賞
阿部サダヲ・・・ 死刑にいたる病
大泉 洋・・・ 月の満ち欠け
妻夫木 聡・・・ ある男
二宮和也・・・ ラーゲリより愛を込めて
松坂桃李・・・ 流浪の月
【第46 回日本アカデミー賞授賞式】
日時:3月10 日(金)
場所:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
司会者:羽鳥慎一 有村架純(第45 回最優秀主演女優賞「花束みたいな恋をした」)
■日本アカデミー賞公式サイト:https://www.japan-academy-prize.jp/
写真提供:東京写真記者協会