第42回日本アカデミー賞授賞式が3月1日、東京・グランドプリンスホテル新高輪にて行われ、各部門の優秀賞の中から、特に優れた作品や人物に最優秀賞が与えられた。
是枝裕和監督の『万引き家族』が、最優秀作品賞をはじめ最多8部門の栄冠に輝いた。海外でも高い評価を受けた本作は、『第71回カンヌ国際映画祭』でパルムドール(グランプリにあたる)賞を受賞し、『第76回ゴールデン・グローブ賞』『第91回アカデミー賞』でそれぞれ外国語映画賞にノミネートされた。今回、作品賞のほか、是枝が監督賞、脚本賞、安藤サクラが主演女優賞、樹木希林が助演女優賞、撮影賞、照明賞、音楽賞と各最優秀賞を獲得。
安藤サクラは、受賞を受け「長女を出産してすぐの撮影でしたが、子育てと映画のバランスに悩み、ちゃんとできているのかモヤモヤした気持ちが嫌でした。でも、この受賞で決着をつけてまた映画の世界に戻ってきたいと思いました」と決意を新たにしていた。
今回はプレゼンターを務め、受賞の発表を自らすることとなった是枝監督は、昨年の『三度目の殺人』に続き2年連続の受賞、『海街diary』も含み最優秀監督賞は3度目となる。
また、白石和彌監督の『孤狼の血』は4部門で最優秀賞を受賞。役所広司が最優秀主演男優賞、松坂桃李が最優秀助演男優賞に輝いた。同作でキャリア組の新人刑事・日岡秀一役を演じた松坂は、白石監督とタッグを組むのは2回目。「20代半ばから違う色の作品に挑戦したいと話していて、白石監督の作品に出させていただくことができました。まったくやったことのない役がらに出会い、役所さんとも再会させてくれて、僕にとっては財産のような作品になりました」と感無量の面持ちで話し、「スタッフ、キャストみんなで喜びをわかちあいたいです」とトロフィーを握りしめた。
『Shall we ダンス?』『うなぎ』に続いて3度目、21年ぶりに最優秀主演男優賞を獲得した役所は、「最優秀賞はずっともらえていなくて、難しいことなんだと感じていました。本当にびっくりしています」と驚きを隠せない様子。ロケ地である広島県呉市にも触れ、「呉は西日本の豪雨被害で復興まで時間がかかると思いますが、今日は『孤狼の血』がたくさんの賞を獲ったので、呉の人たちも元気を出してもらえるんじゃないかと思います」と笑顔で喜びを表した。
制作費300万円と言われ、公開当初はたった2館でのスタートだったが、人々のクチコミで大旋風を巻き起こし、累計上映館数340館を超える大ヒットを記録した『カメラを止めるな!』は、話題賞・作品部門のほか、8つの優秀賞に選ばれ、上田慎一郎監督が最優秀編集賞を獲得。
最優秀アニメーション作品賞は、『第91回アカデミー賞』の長編アニメーション映画賞にノミネートされた、細田守監督の『未来のミライ』が選ばれた。
【第42回日本アカデミー賞 受賞結果】
●最優秀作品賞 :「万引き家族」
●最優秀アニメーション作品賞 :「未来のミライ」
●最優秀監督賞 :是枝裕和「万引き家族」
●最優秀脚本賞 :是枝裕和「万引き家族」
●最優秀主演男優賞 :役所広司「孤狼の血」
●最優秀主演女優賞 :安藤サクラ「万引き家族」
●最優秀助演男優賞 :松坂桃李「孤狼の血」
●最優秀助演女優賞 :樹木希林「万引き家族」
●最優秀撮影賞 :近藤龍人「万引き家族」
●最優秀照明賞 :藤井 勇「万引き家族」
●最優秀音楽賞 :細野晴臣「万引き家族」
●最優秀美術賞 :今村 力「孤狼の血」
●最優秀録音賞 :浦田和治「孤狼の血」
●最優秀編集賞 :上田慎一郎「カメラを止めるな!」
●最優秀外国作品賞 :「ボヘミアン・ラプソディ」
●新人俳優賞 :上白石萌歌「羊と鋼の森」
趣里「生きてるだけで、愛。」
平手友梨奈「響 -HIBIKI-」
芳根京子「累 -かさね-」「散り椿」
伊藤健太郎「コーヒーが冷めないうちに」
中川大志「坂道のアポロン」「覚悟はいいかそこの女子。」
成田 凌「スマホを落としただけなのに」「ビブリア古書堂の事件手帖」
吉沢 亮「リバーズ・エッジ」
●協会特別賞 :大塚康生、金田正、櫻井勉、千代田圭介
●会長功労賞 :吉田喜重、岡田茉莉子、岸惠子、佐藤純彌
●会長特別賞 :樹木希林、黒澤満、高畑勲、黒澤満、星由里子、吉田貞次
●話題賞・作品部門 :「カメラを止めるな!」
●話題賞・俳優部門 :伊藤健太郎「コーヒーが冷めないうちに」
日本アカデミー賞 公式サイト:https://www.japan-academy-prize.jp/