映画『純平、考え直せ』の初日舞台挨拶が、9月22日、シネ・リーブル池袋にて行われ、主演の野村周平とヒロインの柳ゆり菜をはじめ、共演の毎熊克哉、岡山天音、佐野岳、佐藤祐基、藤原季節、森田涼花、木下愛華、片岡礼子の豪華キャスト陣と、森岡利行監督が登壇した。
本作は、直木賞作家・奥田英朗の同名小説を原作に実写映画化。新宿・歌舞伎町のチンピラ、坂本純平と偶然出会ったOL・加奈の若い男女が限られた3日間を刹那に駆け抜ける姿を描き出す。“一人の男”になるため、対立する組の幹部の命を獲る、いわゆる鉄砲玉を命じられた純平役を野村、加奈役を柳が演じる。
野村は「ともに戦った皆さんが集まれたので嬉しい気持ちでいっぱいです」と公開を喜び、組の兄貴役を演じる毎熊を「兄貴って感じでした。映画の通り包容力もあっていい先輩です」とリスペクト。その毎熊は「そんな真面目なことを言われるとは…(笑)」と照れつつ、初共演の野村について「カッコいい。今どきの人というより、ひと昔前の男。まさに純平。ちょっと時代遅れというか(笑)」と語ると、“ひと昔前”の言葉に反応した野村は「生まれた時代を間違えたとよく言われます。平成が似合わない男です!」と自虐で会場の笑いを誘った。
柳は、岡山から馬乗りになり地毛をハサミでバサバサと切られるという激しいシーンをまさに体当たりで挑戦。「さすがの天音さんで、入ってきた瞬間に本当に嫌だと思ったし、怖かったです。でも本当は優しい方なんですよ。ほかの現場で会うたびに“あの時はごめんなさい”と謝ってくれて・・・」と岡山の人柄明かし、恐縮しきり。すかさず野村は岡山に向けて「映画見た人はみんなお前のことが嫌いだからな!覚悟しろよ!」と意地悪に口撃し、またも満席の劇場は爆笑に。岡山は「監督からは『大事なシーンだから。髪の毛の切り方を手加減するとそれが映像に出てしまうからな』と言われるし、メイクさんには『(髪の毛)修正がきかなくなるから切りすぎには気を付けて』と言われるし」と苦笑い。「でも柳さんが受け止めてくれた」と肝の据わったヒロインに感謝していた。
いつもコインランドリーにいるゲイ・ゴロー役の佐野は、役柄に対してのコインランドリーの重要性を熱弁。しかし11人の登壇でトーク時間も限られていることから、主演の野村からは「主演の俺だってそんなに喋ってないよ!トークを着地させよう!」とのツッコミが。佐野の熱量に佐藤は「この後に話しづらいよ!」と困り顔も「純平の先輩を演じました!劇中で着用しているマスクは家からしていたものをそのままつけて出演しています!以上!」としっかりコンパクトにまとめて、客席からも拍手が送られる。
加奈の友人・森田は「純平と加奈のシーンは色気があると思いました」とクラブでのシーンを回想し、純平の母親役の片岡は「久しぶりに息子が彼女を連れて帰ってきたという平和なシーンだと思ったけれど、完成した映画を観るとキレッキレのシーンだった」と笑った。そんな片岡を“息子”野村は「カッコいい、最高のお母さんです!」と賛辞を送っていた。
SNSで純平や加奈と繋がる役どころを演じたのは、藤原と木下。木下は「ネット上では血の通ってない言葉を使うので、部屋のシーンでは人間味があるように血の通っている感じを意識しました」と演じるうえでのこだわりを吐露。ホスト役の藤原は「自分と同世代の俳優が多かったので、やってやろうと思った。監督にも自由にやっていいと言われたので、お酒が弱い設定を作ったり、方言を話したりアドリブでやりました。それを監督が全部OKにしてくれたんです」と舞台裏を紹介。さらにホスト役を演じる上で「好奇心が抑えきれなくて、ホストクラブに働きに行きました。“いらっしゃいませ”の言い方しか収穫はなかったけれど、その言い方で通しました。スタッフの皆さんが笑いをこらえるので、失敗したかな?と思ったけれど、作品を観たらいい感じだったので良かったです」と満足げな表情を浮かべた。
森岡監督は「ゆり菜は根性を見せてくれたし、周平は映画を通してイメージが変わった。やはり生身の人間と会ってみないと人となりはわからない。彼は礼儀正しく、魂を込めて演じてくれた。まさに純平でした」と2人の熱演を絶賛。柳は「ハードで大変な撮影もあったけれど、この作品に惚れました。そして今の私のすべてを捧げるくらい、作品を愛しました」と思いを込める。
野村は「SNSの住人たちはSNSにしか行きていない。なので心もとない発言することが多々ある。でも人は会わないと何も分からないので、SNS上で人格を否定するなよって言いたい。じゃあ会いに来てくださいって思う」と言及しつつ、「SNSでこの映画を広めてほしい。そうすれば『カメラを止めるな!』のようになるはず。僕もカメラを止めたくない!」と野村節全開!「僕も純平みたいな男になれるように頑張ります」と目を輝かせると、最後は「俺のことを嫌いになっても、純平のことは嫌いにならないでください!」とAKB48・前田敦子の名言に絡めて主演作をアピールし、大盛り上りのまま舞台挨拶を終了した。
【物語】
新宿・歌舞伎町のチンピラ、坂本純平(野村周平)21歳。いつか〝一人前の男〟になることを夢見ながら、組の雑用に追われる日々だ。そんな純平、ある日、対立する組の幹部の命を獲ってこいと命じられる。「これで一人前の男になれる」と気負い立つ純平は、偶然出会ったOLの加奈(柳ゆり菜)と一夜を共にし、つい〝鉄砲玉〟になることを洩らしてしまう。手元には拳銃一丁と数十万円の支度金。退屈を持て余していた加奈は、時代錯誤な純平の情熱に呆れながらも不思議な胸の高鳴りを覚え、決行までの三日間、純平と行動を共にすることに。新宿を見降ろすホテルに泊まり、大好物の焼肉をたらふく食べ、思い切り笑い、そして孤独と不安を慰め合ううちに、ふたりは惹かれ合っていく…。「鉄砲玉なんかやめて、一緒に逃げようか」と言う加奈に、「男が一度決めたことだから」と純平は聞く耳を持たない。そこで加奈はSNSに相談。すると、忠告や冷やかし、無責任な声援がネット上に飛び交い出した! 加奈の想いと、ネット住人たちとの交流が、純平の決意を揺るがし始めるが、決行の日は迫り――さぁ、どうする、純平!
出演:野村周平、柳ゆり菜/毎熊克哉、岡⼭天⾳、佐野 岳/
戸塚純貴、佐藤祐基、藤原季節、⽇向寺雅⼈/森⽥涼花、⽊下愛華、やしろ優/下條アトム、⼆階堂智、⽚岡礼⼦
原 作:奥田英朗『純平、考え直せ』(光文社文庫刊)
監 督:森岡利行
脚 本:角田ルミ、木村暉、吉川菜美
プロデューサー:梅川治男
製作:キングレコード アークエンタテインメント
製作プロダクション:ステューディオスリー
配給:アークエンタテインメント
Ⓒ2018「純平、考え直せ」フィルムパートナーズ
公式サイト:http://junpei-movie.com
上映時間:95分
新宿シネマカリテ、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開中