直木賞作家・奥田英朗の同名小説を原作に実写映画化。新宿・歌舞伎町のチンピラ、坂本純平と偶然出会ったOL・山本加奈の若い男女が限られた3日間を刹那に駆け抜ける姿をい描き出す『純平、考え直せ』。“一人の男”になるため、対立する組の幹部の命を獲る、いわゆる鉄砲玉を命じられた純平役を野村周平、加奈役を柳が全身全霊を注いで演じた。
この度、主演の野村周平さんとヒロインの柳ゆり菜さんにインタビューを遂行。作品ごとにその存在感を残す2人の化学反応はいかに。等身大で演じたという2人に話を聞いた。
― 台本を読んだときの感想と、役に対する印象を教えてください。
柳ゆり菜(以下、柳):加奈が羨ましいと思いました。撮影時に私は加奈と同じ歳だったんです。純平と出会ったことで、加奈の新たな人生が始まっていくのですが、女優として冥利に尽きる役でしたし、一人の女性としても幸せだなと思いました。
野村周平(以下、野村):率直に僕に出演のお話をいただいたことが嬉しかったです。台本を読んでみて、メッセージ性のあるおもしろい作品だと感じました。純平は真っ直ぐな男!最近なかなかいない素晴らしい男、かっこいいです!
― お二人とも体当たりの演技を披露してくださっていますが、演じるうえで特でこだわったことはありますか?
柳:魅力的に見せようとせず、夢や目標を持っていない20代の女の子に自分を投影できる、等身大の女の子にしたかったんです。見たくないと思える部分があっても、これは自分だなと思える方がとても痛々しくも幸せにもなる。純平と出会ったことで変わって魅力的になっていくと思ったので。なので、何も考えずに撮影現場に向かいました。純平との関係が深くなってからは、野村くん演じる純平を見てからじゃないと加奈になれませんでした。
野村:これまで約10年やってきた芝居の明かしだと思って臨みました。生半可な10年はなかったと、その目が語っていると感じてもられば嬉しいです。自分が感じたように目や表情が動くので、その時の本当の気持ちが現れているだけです。
― 純平と加奈のそれぞれ惚れるポイントは?
柳:私は純平が大好きなんです。凄く刹那的で、次の日にはいなくなってしまいそうな気持ちにさせる人ってとても魅力的。だからこそ一緒にいる時間を凄く大切にしたいし、この人と同じリズムで歩きたいと思いました。今を一生懸命生きる姿、「命なんてくれてやる」くらいの潔さ、男らしくて真っ直ぐなところに男性としての魅力をとても感じました。
野村:(加奈の)あの目で見つめられたら惚れちゃうよ(笑)。純平に興味深々、天真爛漫で向上心があるところが可愛いと思いますね。「なんだ、こいつ?」ってね。
柳:「なんだ、こいつ?」って思う子って可愛く見えてくるんですよね。
野村:そうそう(笑)。
― お互いの印象はいかがですか?
野村:柳さんはグラビア紙ではよく拝見していましたが、今回お芝居でご一緒して、生半可でお芝居をしていない、女優魂を強く感じました。これから“女優”として頑張っていこうという覚悟が凄い。一緒に演じていて楽しかったです。
柳:野村くんは、フレンドリーで人懐こいワンちゃんみたい! 誰にでもフランク。自然体に見えるけど、実はちゃんと色々考えているところがとても魅力的ですね。今回の純平役が野村くんでよかったです。撮影現場では特に演技の話をすることもなく、たわいのないことしか話してなかったです(笑)。
野村:よく話してたけど、本当にたわいもない話で何を話していたかも覚えていないよね?(笑)。
柳:え?そんなに話していたっけ?
野村:え?仲良くなかったっけ?僕たち・・・(笑)。
柳:仲良かったっけ? 仲良かった・・・ね(笑)。
野村:俺、仲良かった気がするんだけど・・・。
柳:そうだよね(笑)。 純平と加奈の空気感がとても心地良かったんです。そういえば、バスのシーンで(野村くん)寝てたよね。セットチェンジも気づかずに爆睡してた。寝ているところをスタッフさんが写真を撮りにきていたらしいです(笑)
野村:そう、バスのシーンで本気で寝てた。
柳:2人とも寝ていて、気がついたら本番が始まってたという(笑)。
野村:俺も覚えてない(笑)。あれ?撮影終わったの?ってね。
― ハードなスケジュールでお疲れだったんですね。特に苦労したシーンは?
柳:セットチェンジの間に寝てしまいそうになるくらい疲れていたこともありました。ホテルのスイートルームでのシーンは、1日中寝ずにずっと撮り続けていたので、一瞬寝おちてしまいそうになったり(笑)。野村さんが隣にいても純平との空気感が良くて心地よかったです。ただ、幸せだったり、しんどかったりと感情の変化が激しかったので精神的にはキツかったです。でも、それだけ終わったあとの充実感は凄くありました。
― 野村さんは、直感で演じている印象ですが、今回の役も含めこれまで難しかった役はありますか?
野村:最初はどの役も難しいと思いますが、演じていくうちにだんだん馴染んでくるんです。撮影が始まれば自然と純平になっていくんです。他の作品も同じです。ただ、セリフが難しいものはあります。特に医療ものと刑事もの。事件名をかんでしまったりして・・・(笑)。先生役で説明ゼリフとかあったら前の晩がしんどい(笑)。
― 共演者の皆さんも個性的な方が集まりましたが、現場でのエピソードがあったら教えてください。
野村:戸塚純貴くんとのケンカのシーンは街中で撮影したんです。純貴くんを電柱にぶつけるんですが、勢い余って頭までぶつけてしまって。ハッと思ったけど、そのまま演技を続けなくてはいけなくて、カットがかかった瞬間に「いてぇよぉ~」(戸塚さんのモノマネをしながら)ってずっと言われて、「ごめん、ごめん」って謝りました(笑)
柳:似てる~!(笑)
野村:(岡山)天音は役どころもあったのか、「あ、周平くん・・・おはようございます」(岡山さんのモノマネをしながら)って感じでいつもよりテンションが高くなかったですね。普段はテンション高いのにね。(佐野)岳は相変わらず岳でした。いつもと少し違う役どころを頑張っていました。
柳:私は、作品中は天音くんが大嫌いでした(笑)。「キモイんだよ!」というセリフが心から言えるくらいでした。天音くんが演じた祐がめちゃくちゃ嫌な役だったし、とても強烈だったので、もらうものが大きかった。撮影期間中、天音くんとはほとんど話してなかったです。でも、そのあと別の作品で何回か共演しているので、今はもう仲良しですよ(笑)。
(純平の地元の先輩・安田役の)佐藤さんも凄く自然で。仲のいい先輩と話している純平の姿を見るとキュンとしました。
― 本作は、純平と加奈の3日間の物語ですが、もし「3日間好きなことをしていいよ」と言われたら、何をしたいですか?
野村:その3日間で海外に逃亡してもう帰ってこない・・・っていうのもいいな(笑)
柳:何もしない、何も考えない3日間を過ごしたいですね。
― “男のなかの男”をイメージする純平ですが、お二人がイメージする“ザ・男”とはどんな人? どんな男の人が好きですか?
野村:外見でいうと、“ザ・男”のイメージは伊藤英明さんです。男らしさがありますよね。「どういう男になりたいか」というと、俺はこのまま成長できればいいかなと思います。
柳:男の人はやっぱり“器の大きさ”じゃないでしょうか。余裕というか、器が大きければ大きいほど、それに伴って強さとか優しさが出てくると思います。
野村:男のタイプも色々ありますから、内面的に女々しいからといって男じゃないとは言えないかと。男っぽさ、女っぽさとか、肉食系、草食系とか、そういうカテゴリーで収めるのはやめたほうがいい。僕たちは“人間”それでいいと思います。
柳:うん!私もそれがいいと思います!
【野村周平(のむらしゅうへい)プロフィール】
1993年11月14日生まれ。兵庫県出身。映画、ドラマ、CMなどで活躍中。主な作品は『日々ロック』『ちはやふる』『帝一の國』『22年目の告白-私が殺人犯です-』『ラブ×ドック』など。10/6より主演する連続ドラマ『結婚相手は抽選で』(東海テレビ・フジテレビ系)が毎週土曜23時40分より放送中。
【柳ゆり菜(やなぎゆりな)プロフィール】
1994年4月19日、大阪府出身。2014年にNHK朝ドラ『マッサン』で、赤玉ポートワインポスターをモデルにした「太陽のワイン」の半裸モデルを演じて話題となる。女優としても活躍の場を広げ、映画『うわこい』(14)で主演。『恋妻家宮本』(17)『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(17)、『純平、考え直せ』(18)、『ここは退屈迎えに来て』(18)。テレビドラマ『きみはペット』(16/CX)、『名刺ゲーム』(17/WOWOW)、『アイアングランマ2』(18/ NHK BSプレミアム)などがある。
【インタビュー撮影:ナカムラ ヨシノーブ】
映画『純平、考え直せ』
<STORY>
新宿・歌舞伎町のチンピラ、坂本純平(野村周平)21歳。いつか〝一人前の男〟になることを夢見ながら、組の雑用に追われる日々だ。そんな純平、ある日、対立する組の幹部の命を獲ってこいと命じられる。「これで一人前の男になれる」と気負い立つ純平は、偶然出会ったOLの加奈(柳ゆり菜)と一夜を共にし、つい〝鉄砲玉〟になることを洩らしてしまう。手元には拳銃一丁と数十万円の支度金。退屈を持て余していた加奈は、時代錯誤な純平の情熱に呆れながらも不思議な胸の高鳴りを覚え、決行までの三日間、純平と行動を共にすることに。新宿を見降ろすホテルに泊まり、大好物の焼肉をたらふく食べ、思い切り笑い、そして孤独と不安を慰め合ううちに、ふたりは惹かれ合っていく…。「鉄砲玉なんかやめて、一緒に逃げようか」と言う加奈に、「男が一度決めたことだから」と純平は聞く耳を持たない。そこで加奈はSNSに相談。すると、忠告や冷やかし、無責任な声援がネット上に飛び交い出した! 加奈の想いと、ネット住人たちとの交流が、純平の決意を揺るがし始めるが、決行の日は迫り――さぁ、どうする、純平!
出演:野村周平、柳ゆり菜/毎熊克哉、岡⼭天⾳、佐野 岳/
戸塚純貴、佐藤祐基、藤原季節、⽇向寺雅⼈/森⽥涼花、⽊下愛華、やしろ優/下條アトム、⼆階堂智、⽚岡礼⼦
原作:奥田英朗『純平、考え直せ』(光文社文庫刊)
監督:森岡利行
脚本:角田ルミ、木村暉、吉川菜美
プロデューサー:梅川治男
製作:キングレコード アークエンタテインメント
製作プロダクション:ステューディオスリー
配給:アークエンタテインメント
Ⓒ2018「純平、考え直せ」フィルムパートナーズ
公式サイト:http://junpei-movie.com
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