是枝監督、坂本龍一さんに感謝！「特別なものが映っている映画になった」中村獅童は是枝組初参加に「願いは叶う！」アポなしで出演直談判の過去も！ 映画『怪物』完成披露試写会

映画『怪物』の完成披露試写会が、5月8日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太をはじめ、共演の高畑充希、中村獅童の豪華キャスト陣と、坂元裕二（脚本）、是枝裕和（監督）が舞台挨拶に登壇した。

監督・是校裕和、脚本・坂元裕二、音薬・坂本龍一による本作は、大きな湖のある郊外の町で起きた子供たちのケンカから始まる物語。いったい「怪物」とは何か。登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに、私たちは何を見るのか。その結末に心揺さぶられる、ヒューマンドラマとなっている。
出演は、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子らをはじめとする実力派俳優と、二人の少年を瑞々しくかつ情感豊かに演じる黒川想矢と柊木陽太のほか、豪華キャストが一堂に集結した。

第76回カンヌ国際映画祭の【コンペティション部門】への正式出品も決定した。是枝監督は「とても光栄です。公開日が6月2日と去年から決まっていたので、（カンヌへ）行けるかどうかわらかなかった。参加できることになってホッとしています。楽しんできたいと思います」と笑顔を見せた。

本作は、脚本の坂元氏の企画からスタートしたもので、是枝氏が監督を務めることとなり、坂元氏は「基本的にご自分で脚本を書かれている是枝監督がお話しを受けてくださって驚きました」と喜ぶ。自身が脚本を書くという映画作りのこだわりを持っている是枝監督は「以前から坂元さんと対談をしていて、自分が書かなければ坂元さんにお願いしたいと僕からラブコールを送っていたので、（監督にと）言われた時点で、脚本を読む前に引き受けることを決めていました」と言い、相思相愛でタッグが実現した様子。

『万引き家族』に続く、是枝組の参加となった安藤は「『万引き家族』からそんなに時間が経っていないときにお話しをいただいて、『こんなに早くお話をいただけた』と嬉しかった半面、ハードルを高く感じて怖気ついてしまって･･･、覚悟を決めるのに時間がかかってしまいました」と躊躇もあったようだが、「でも、本当に参加できてよかったなと。想像をはるかに超える作品に出させていただいて、映画を観たら感動して涙が止まらなかった」と満足気。

是枝組初参加となる永山は「坂元さんとは20代前半からお付き合いをさせていただいていて、俳優を続けていたら一生お付き合いをしていたいと思う方。是枝さんの映画を観て、この人が日本映画を変えていくんだなと感じていた。この2人の座組に入れただけで、幸せ者だと思いました」と感慨深げ。

同じく是枝組初参加の高畑は「初日が皆さんのクランクインと重なってしまい、緊張マックスでした。是枝監督が温かく見守ってくださって、あっと言う間の3日間でした」と回顧。

子役の早織の息子・湊役の黒川と清高の息子・依里役の柊木はオーディションからキャスティングされたが、是枝監督は「オーディションでは、いつも直感で決めているんです。黒川くんは横顔が良かった。柊木くんは約にピッタリでした」と決めてを吐露。オーディションに参加した坂元は「この話は自分の子供の頃の体験を元にしているんですが、その時の友達に似ているなと」と感じたようで、自身の記憶に投影できる2人だったと話した。

そんな黒川は撮影を振り返り、「監督がカフェカーを差し入れしてくれたんですが、マシュマロと苺の串刺しを両手に持って、みんなに『いる？』って聞いて配っていたことが思い出です」と明かし、照れ笑いする是枝監督。

演じる上で苦悩することもあったようだが、「撮影の休日に永山さんにドライブに誘っていただいて、『自分がどう演技するとかじゃなくて、役者さんは基本監督の脳みその中にあるものを表現するんだよ』と教えてくれて･･･。響きました」と、永山のアドバイスに感謝する。永山は「お焼肉が食べたいっていうから焼肉屋に連れてったんですが、ジンギスカン屋さんだったんです。食べたことがなかったらしかったけど、生まれて初めてが僕でよかったなと(笑)」と語り、ほのぼのムードに。

柊木は「安藤さんと黒川さんと花火を観に行って、キレイで楽しかったです」とニッコリ。
黒川演じる湊の母・早織役の安藤は「タイプの違う2人で、子供だとカテゴライズせず同志として刺激を受けていて、楽しかったですね」と述懐した。

中村獅童も念願の是枝組の初参加を喜び、「2015年の『海街ダイアリー』の時に、当時鎌倉に住んでいたんですが、ちょうど大船の映画館で観ようとしたら是枝監督が登壇するティーチーンがあったんです。当時から大ファンだったので、約束もしていないのに、楽屋の前で是枝監督を待ち伏せして「いつか僕を使ってください！」とお願いしたんです」とエピソードを披露。「それからお話がなく、6年後。僕のような俳優はお好きじゃないんだろうな。でも死ぬ前には是枝監督の作品に出たいな･･･と思っていたら、お話をいただいて。願いって叶うだなと」としみじみ。

また、本作の音楽担当として故・坂本龍一さんにオファーしたという是枝監督。「手紙を書いたんですが、お返事をいただいて、『全部引き受けるのは体調的に難しいけど』と仰いながらも、『気にいったら使ってください』と2曲作ってくれて」と明かしつつ、「亡くなられたのは本当に残念ですけど、最後にこういう形でご一緒できたのは自分にとっても誇りですし、この作品にとって、坂本さんの楽曲が必要だったというのは出来上がった作品を観ると誰よりも強く自分が感じています」と坂本さんへ想いを馳せる。続けて「他にもアルバムの“12”からも数曲使わせてもらいました。その曲がまるで映画を観て作っていただいたと思えるくらいマッチして作品の中に存在しているんです」と自信満々に語った。

最後に是枝監督は「特別なものが映っている映画になったと思います。スタッフが試写を観て、『全ての人がいい仕事をしていますね』と言ってくれたのが本当に嬉しかった。いいチームができていて、素晴らしい映画ができたと確信しています」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。

【STORY】
大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。それは、よくある子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した――。

■キャスト：安藤サクラ　永山瑛太　黒川想矢　柊木陽太　/ 高畑充希　角田晃広　中村獅童 / 田中裕子
■監督・編集：是枝裕和『万引き家族』
■脚本：坂元裕二『花束みたいな恋をした』
■音楽：坂本龍一『レヴェナント:蘇えりし者』
■企画・プロデュース：川村元気　山田兼司
■製作:東宝、フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.、分福
■配給：東宝　ギャガ
©２０２３「怪物」製作委員会
■公式サイト：gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
■公式twitter：@KaibutsuMovie
■公式instagram:@kaibutsumovie

6月2日（金）TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー