京都井手町を舞台に、ロードバイクに青春を捧げた若者たちの姿を描く、映画『神さまの轍‐Checkpoint of the life- 』が、3月17日より公開。本作は、ロードバイクの才能に恵まれた若者と、恵まれなかった親友が大人になって再会し、彼らの人生が再びロードレースを通じて交差していく青春物語。
W主演を務めたのは、映画やドラマで活躍する荒井敦史と岡山天音。監督・脚本・企画は本作が商業映画デビューとなる作道雄。注目の若手俳優と新進気鋭の監督がフレッシュな化学反応を起こし、がむしゃらに生きるすべての人に元気と情熱を注入する。
ロードバイク未経験の荒井と岡山は、本気で練習に励み、一切吹替えなしで撮影に挑んだ。そんな彼らが本作への熱い思いとともに、ロケ地・京都井手町の人たちの出会いを嬉しそうに語ってくれた。
◆リアルな感情は、吹替えなしのロードバイクからも!
― 本作の出演を決めた理由を教えてください。
岡山天音(以下、岡山):台本を読んだときは、普遍的な話だなと感じました。観る人に寄り添うような、誰にでも見覚えがある感覚や感情、想いがたくさん描かれていて、今あって欲しい映画だと。東京を離れ、小さなチームでみんなで作るという撮影が魅力的で、ぜひ参加したいと思いました。
荒井敦史(以下、荒井):僕も、「なんか、この感情知ってる」というような、誰もが人生で通過するであろうポイントみたいなものを感じ、台本を読んでいて懐かしい気持ちになったんです。大人になった勇利と洋介の年齢と僕らの年齢がリアルにリンクされ、中学時代の彼らから大人のパートになるまでを、この歳でギリギリ振り返ることができる。そして、僕とあまり歳が変わらない、同年代の作道監督の作品への熱量や意欲が凄かった。時間など物理的に厳しいことはありますが、この若いチームで一緒に作品を作れるという環境が良かったんです。実際に撮影現場でも、監督が僕らが泊まっている部屋に来て「じゃ、明日どうする?」「ここはこうしようか」というように、色々話し合いながら作っていったんです。僕らが作品を作っているという実感がありました。
岡山:そうそう。途中で一緒に(撮影した)映像を見たりしたよね。
― 充実した撮影現場だったんですね。
荒井・岡山:本当に楽しかったです!
― 役作りも大変だったと思いますが、ロードバイクのシーンはすべて吹替えなしだったとか?
岡山:そうなんです。僕もビックリしました(笑)。
荒井:僕もビックリしました(笑)。でも楽しかったですけどね。
― 「吹替えなし」といつ聞かされたんですか?
荒井:(ロードバイクの)練習した段階で、たぶん自分でやるんだな・・・と察しました。練習場に大学のロードバイク部の人たちが来てたし。
― すべてが吹替えになるとリアル感がなくなってしまうこともあるから、多少は役者がそのシーンを撮影することはよくあるかもしれませんが、すべて本人がやるというのも珍しいですね。
岡山:人物をリアルに描いている作品なので、吹替えだとダメなんじゃないかと。ロードバイクに関しては素人ですが、僕らの中ではすべてが繋がっているので、観ている方にも違和感がないと思います。
― ロードバイクの経験は?
岡山:全く初めてです。
荒井:街乗り用の、ペダルをかけないタイプに乗ったことはありますが、レース用のバイクは初めてです。
岡山:たくさん人がいる中でのスタートダッシュなんか、めっちゃ怖いですよ。映像では普通に見えていますけど。みんな凄いスピード出ているし、ちょっとでも触れたらボーンって飛ばされるし。一緒に走っていた(吉岡正役の)阿部さんも、「怖ぇ~、怖ぇ~。俺、スピード抑えるよ」って言ってました (笑)。
― 一般的なママチャリとは乗り方も違うし・・・。
岡山:かなり前傾姿勢ですしね。怖いです。
荒井:坂道も怖いよね。
岡山:僕は下り坂は大丈夫だったんですが、登りがダメだった。
― ロードバイクのシーン、たくさん撮ったんですね。
岡山:ほんとにたくさん(笑)。途中から自然と技術が上がってきましたもん (笑)。斜めに漕げばいいんだって。
荒井:なるほどね(笑)。
― そんなリアルな姿があるからこそ、実際の大会シーンのようなドキュメンタリー的映像も活きてくる?
岡山・荒井:そうだと思います。
◆井手町の人々の温かさに感謝!
― 京都・井手町のロケはいかがでしたか?
岡山:地元の方たちの温かさをたくさん感じました。撮影はハードでしたが、お母さんたちが凄く可愛らしくて。いつも元気で、パワーをもらっていました。
荒井:僕らより元気だったよね。
岡山:作ってくれるご飯もめちゃくちゃ美味しくて。
荒井:そう。炊き出しとかね。
岡山:色々な食材を天ぷらにするのが井手町の名物らしいんですが、美味しかったですね。たくさんおもてなし頂きました。
荒井:“筍の天ぷら”、凄く美味しかったです。
荒井:あと、ロードレースのシーンでも、色々なロードレーサーの方が協力してくださいました。レースの観客として井手町の皆さんも参加してくださったんですが、井出町民がこんなに集まったのは初めて見たって言われるくらいでした。そのご協力があったからこそ、あのレースのシーンが活きている。僕らがどんなに頑張っても、僕らだけではレースのリアルな活気は表現できなかったと思います。本当に井手町の皆さんには感謝しています。
何回も同じ撮影をしてなかなか進まないこともあったし、疲れたと思うんですが皆さんずーっと笑顔なんです。会うたびに色々話かけてくださるし、本当に心温まりました。
― お二人は共演も初めてだったそうですね?
岡山:はい、そうです。
荒井:そうなんです。会ったこともなかったです(笑)。
岡山:舞台で観たりはしていたんですが、共演は初めてです。
― お互いの印象はいかがでしたか?
荒井:「役者!」だなと。
岡山:僕も(荒井を役者だと)思ってるよ(笑)。
荒井:本当の役者だなと・・・と、羨ましく思っています。
岡山:撮影中はみんなで同じ部屋に泊まっていたんですが、彼はいつもみんなの中心になって、いい空気を作ってくれていました。コミュニケーション能力に長けている人です。でも、一見飄々としているようで実は僕が見落としている部分に気づいていたりして。台本の解釈とか。撮影現場でも宿舎に帰ってきても一緒でしたが、ずっと一緒にいると(荒井の)繊細な部分にギャップを感じました。パワフルで明るくて誰とでも分け隔てなく接することができて、そして彼はそれだけじゃない、多面性ある魅力的な人です。
― お二人が演じる前の中学生の時の勇利役の望月歩さんと、洋介役の吉沢太陽さんもとても魅力的でした。
荒井:中学生のパートを先に撮影していたので、僕らがそれに合わせる形で撮影が進んでいきました。彼らの軸を受け継いでいかないとおかしくなってしまうので。でも、この二人(望月と吉沢)って独特だよね。
岡山:二人とも個性的ですね(笑)。 彼らとも部屋が一緒だったんですが、別々な方向を向いているというか・・・。
荒井:片方が右向いていたら、もう片方は左向いているみたいな(笑)。
岡山:二人の役はそうあるべきだと思うので、観ていて面白いんですが、なんか不思議な二人でした。完成した作品を観ても二人の芝居は違うんです。
荒井:普段は歩が少しお兄ちゃん的な感じで、太陽が物静かでマイペース。でも、作品にパッと入ると、太陽の洋介が歩み寄っていて、歩の勇利のほうがちょっと不思議な感じになって。見ていて面白かったですね。
◆自身の中学生は・・・注目されたいタイプ?されたくないタイプ?
― ところで、荒井さんと岡山さんご自身はどんな中学生でしたか?
荒井:僕は内弁慶でした。同クラスや仲のいい人たちの中では元気なんですが、隣のクラスや先輩後輩でも、知らない人の前では全然喋らないんです。今でも基本的に人見知りなんですが。
岡山:みんなと仲いい感じではなかったんだ?
荒井:ある程度はできるんだけど、今ほどではなかったね。
岡山:へぇ~。そんな感じしないね。あとから世渡り上手を目指した?
荒井:あまりできなかったね(笑)。
岡山:僕は、凄く格好つけていました (笑)。普通に、中学生の世代が思う“格好良い”に忠実にいたいという。腰パンとかね。
荒井:そういえば、僕もやってたな、腰パン(笑)。今思うと恥ずかしいよね。
荒井:注目されたいタイプだったの?
岡山:注目されたかったし、浮いていたいタイプだった。
荒井:僕は逆に注目されたくなかったから、内弁慶だった。
岡山:思春期にそのタイプって珍しくない?
荒井:恥ずかしがり屋だったんだね。今でこそ、この世界に入って羞恥心は少しなくなったけど、田舎の中学生だったから、みんなの前で立つなんて何かの発表会くらいだから。それすら嫌だったし。逆に斜に構えてカッコつけてたのかな。
― その頃に自分はこうなりたい!という思いは持っていましたか?
岡山:全能感みたいなものはあったかもしれないです。その頃の僕は挫折感とか感じたことがなかったし、これから先どういうことが起こりうるのかとかも知らないので、「ま、俺は大丈夫っしょ」って思っていました。
荒井:僕は幼稚園の頃からサッカーをやっていたので、ずっとサッカー選手になりたかったんです。だけど、仲のいい幼なじみが日本代表のユースに行ったり、大宮アルディージャのユースに入ったりするのを見て、自分はダメだなと諦めました。喘息も持っていたし。そして、なぜか気づいたらここにいて、ロードバイクで走っているという(笑)。役者っていろんなことに挑戦できて本当に面白いです。
― 最後に本作の見どころと、これからご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
岡山:主役の二人それぞれが違う道を進んでいくというだけでも多くの方に共感していただけると思いますし、普通に生きていたら誰しもが味わうであろう挫折や葛藤、感情というものが現実味をもって描かれている作品です。身近にある日常を丁寧に映し出していて、今の自分たちにストレートにエールを送ってくれる、素敵な映画だと思います。
荒井:吹替えなしのロードバイクのシーンも見どころの一つですが、いろんな場面に「こういう人いたな」「こういう景色あったな」と感じるシーンがあります。僕自身も勇利に近いところがあって、自転車おじさんや先生など、演じながらも懐かしさを感じていました。ロードバイクが題材にはなっていますが、それだけではない。人生をロードバイクレースに乗せて進んでいくところに何か感じるものがあると思います。ご自分を登場人物に置き換えて観ていただければ。キャスト、スタッフ一同、愛を持って作った作品なので、ぜひ、ご覧いただけると嬉しいです。
【荒井敦史(あらいあつし)プロフィール】
1993年5月23日、埼玉県生まれ。O型。第21回ジュノン・スーパーボーイ、ビデオジェニック賞受賞。俳優集団D-BOYSのメンバー。ドラマや映画、舞台など幅広く活躍。主な出演作品にテレビ朝日系『忠臣蔵~その男大石内蔵助』・『濃姫』、関西テレビ/フジテレビ『GTO』、ドラマ・映画『笑う招き猫』(監督:飯塚健)、映画『リアル鬼ごっこ4』(主演 監督:安里麻里)、『悪の経典』(監督:三池崇史)、『ズタボロ』(監督:橋本一)、『脳漿炸裂ガール』(監督:アベユーイチ)、映画・舞台『真田十勇士』(監督・演出:堤幸彦)、つかこうへい七回忌公演『新・幕末純情伝』(演出:岡村俊一)、『里見八犬伝』(演出:深作健太)、「柔道少年」(演出:中屋敷法仁)など。12月16日には出演映画「ボーダーライン」(監督:渡辺武)がシネマート新宿・心斎橋にて公開、2018年1月には出演映画『ちょっとまて野球部!』(監督:宝来忠昭)の公開が池袋HUMAXシネマズほかで公開が決定しているなど、今後も多くの出演作が控えている。また、2017年10月期から放送中のBSTBSドラマ「水戸黄門」に格さんこと渥美格之進役としてレギュラー出演しており、ますますの活躍が期待されている。
【岡山天音(おかやまあまね)プロフィール】
1994年生まれ、東京都出身。2009年に「中学生日記転校生シリーズ(1)〜少年は天の音を聴く」で俳優デビュー。個性的なルックスと柔和な演技で映像を中心に活躍。最近の主な出演作に、『僕らのごはんは明日で待ってる』(市井昌秀 監督)、『帝一の國』(永井聡 監督)、『ポエトリーエンジェル』(飯塚俊光 監督)、『氷菓』(安里麻里 監督)、『おじいちゃん、死んじゃったって。』(森ガキ侑大 監督)、『愛の病』(吉田浩太 監督)など。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」に漫画家 新田啓輔役で出演。また、『ポエトリーエンジェル』での瑞々しい演技が評価され、第32階高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞。今後は、『空飛ぶタイヤ』(本木克英 監督)、『きばいやんせ!私』(武正晴 監督)ほか公開が控え、CX『平成物語』、スカパー『I”s』では主演を務める。
映画『神さまの轍‐Checkpoint of the life-』
【STORY】
夢を掴んだものと、夢すら見つけられなかったものとの人生が思い出の地でいま、交錯する。
京都府井手町にある中学校に通う勇利と洋介は、ふとしたきっかけでロードバイクに熱中していく。どこに向かうか見えなくても、無心にペダルを漕ぎ続けることだけが、勇利と洋介にとっての未来であった。数年後、二人は再会する。勇利はプロのロードレーサーとして歩むことを決め、また社会人となった洋介はロードバイクに乗ることさえやめてしまっていた。そこから、二人の人生は大きく変わっていくことになる。やがて、掴んだ夢に挫折してしまう勇利と、自分の夢を見つけることが出来なかった洋介の人生とが、思い出の地、井手町を舞台としたロードレース大会《ツールドKYOTO2019》で交錯する。白熱するロードレースの中、二人の若者が選ぶそれぞれの未来とは――。
出演:荒井敦史 岡山天音
望月歩 吉沢太陽
川村亮介 久保陽香 アベラヒデノブ 小貫加恵 松林慎司 月亭太遊 泉原豊
阿部進之介 津田寛治 六角精児
企画・脚本・監督:作道雄
音楽:宮内優里/中村佳穂
主題歌:フレデリック「たりないeye」(A-sketch)
制作プロダクション:クリエイティブスタジオゲツクロ
配給:エレファントハウス
後援:京都府・井手町・京都産業大学・京都府自転車競技連盟・日本自転車普及協会
Ⓒ2018映画『神さまの轍』製作委員会
公式HP:http://kamisamanowadachi.com
2月24日(土)京都神戸先行公開(イオンシネマ久御山、イオンシネマ高の原、OSシネマズ神戸ハーバーランド)
3月17日(土)より 新宿武蔵野館、アップリンク渋谷、イオンシネマ板橋ほか全国公開中!!
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