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『KANO ~1931 海の向こうの甲子園~』マー・ジーシアン監督&ウェイ・ダーションプロデューサー来日会見!

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今年2月に公開されるやいなや、台湾の歴史的大ヒットとなった映画『KANO ~1931 海の向こうの甲子園~』が、いよいよ、2015年1月24日に日本公開される。12月1日、公開を前にマー・ジーシアン監督とプロデューサー・脚本を手がけたウェイ・ダーションが来日し、都内で記者会見を開いた。

本作は、日本統治時代の台湾から全国中等学校野球大会に出場し、決勝まで勝ち進んだ日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民による「嘉義農林学校(嘉農・・・かのう)」野球部の活躍を描いた感動の実話。台湾映画最大規模の製作費をかけて映画化した超大作エンターテイメントだ。無骨ながらも、その情熱と愛で彼らを甲子園に連れていった鬼監督・近藤兵太郎を永瀬正敏が演じている。

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2006年に物語を知ったというウェイプロデューサーは、「『セデック・バレ』を製作中ふと本屋に入って、この1931年の物語に出会いました。読んでいるうちに奇跡の物語に興奮して、これをぜひ映画化したい!と思ったんです」と、企画と制作のきっかけを話した。

本作で長編映画監督デビューを飾ったマー監督は、「クリエイティブな仕事をする者にとってのヒラメキは、日常的な時に感じるものですね。監督の話を受けた時は本当に嬉しかった。『やった!すごいプレゼント!』という感じ。脚本を読んで感激と興奮で涙と汗でグショグショでした。不安もありましたが、このチャンスをやり遂げようと決心しました。チームスタッフが支えてくれてくれました」と振り返り、感謝の気持ちを伝えた。

第9回大阪アジアン映画祭で観客賞、第16回台北映画祭で観客賞と助演男優賞を受賞し、多くの観客支持をうけている本作。第51回台湾金馬奨では最多6部門にノミネートされるも無冠に終わったが、ウェイプロデューサーは、「1位が本当に最強であるかどうかは別。嘉義農林は準優勝でしたが、甲子園の5万5千の観衆を大感激させました。力を尽くしてやり遂げたことが一番大事。我々も受賞のことは気にせず、我々のスピリッツを伝えることが大切だと思っています」と胸を張った。

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マー監督も、「僕も同じ考えです。ノミネート自体は嬉しかったですよ。私もこの作品のおかげで色々な人と交流することができました」と笑顔。世界各国をプロモーションで回り、先日アメリカから帰ってきたばかりだが、「色々な反応をいただき、『素晴しい』という言葉をいただきました。特に大阪の映画祭での反響は凄かった。本土台湾の上映のとき以上でしたね。アメリカでは日本から来ている方もいて、“映画”は国境のない共通の言語なんだなと思いました」と熱く語った。

そして、劇中には台湾の農業発展に大きな貢献をした水利技術者の八田與一(大沢たかお)も登場している。「八田與一のことも一度映画にしたいと思っていたんです。ちょうど嘉南大圳の成功の時期が、嘉義農林の甲子園とほぼ同じくらいだったので取り入れました」と明かした。1931年の農業高校と水の結びつき、八田與一の存在が作品への相乗効果をもたらしていると言っていいだろう。

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また、嘉義農林野球部の球児たちを演じる俳優は、全て野球の経験者たち。11月7日~16日に行われた、21U(21歳以下)野球ワールドカップに台湾代表選手として出場したツァオ・ヨウニン(曹佑寧)は、最優秀外野手として表彰されるほどの実力。「キャスティングは野球経験が必須条件でした。説得力のあるレベルがないと映画にならないので」と語るマー監督も野球経験者だ。「ツァオ・ヨウニン君は、小学校から大学までナショナルチームで活躍する選手。映画のために1年間休学しなくてはならず父親に反対されましたが、『これも勉強だから』と言って説得したそうです。21Uワールドカップでも“KANO”のスピリットが生きていたのではないでしょうか」と、彼の活躍を手放しで喜び、「礼儀正しく、おごることなく素直な若者です」と称えた。
才能豊かな彼が、この先野球か俳優のどちらに進むのか気になるところだが、ウェイプロデューサーも「好きなことをやればいい。両方がんばればいいじゃないか。両方手に入れられるように努力したらいいと思いますね」とエールを送る。

最後に、マー監督は「より多くの人にこの作品を知ってもらいたい。諦めずにやり続けるということは大事だというメッセージを伝えたいです」とコメント。ウェイ・ダーションプロデューサーは、「台湾の近代史には中国と日本が大きく関わっている。台湾人は自分がどういう人なのかがよく見えていないと思うんです。それをどこから明らかにしていくかというと、過去。日本統治時代からひも解き、そして中国との関係を見る。私は、この二本の線をたぐり寄せて、台湾の真実・存在感を確認していく作業、なぜ生きるのか考えること、理解することに使命感を感じました」と映画に携わる真摯な気持ちを吐露。

さらに「単純にこの映画自体が素晴しいと思ってもらえたらいい。笑いあり、涙あり、そして呼吸のリズムを感じてください。観客一人ひとりの人生に影響を与えられて、人生のなかで何か決断を迫られたとき、この映画のメッセージを思い出してもらえたら嬉しいです」と述べ、晴れやかな表情で会見を締めくくった。

熱心な質疑応答が続き、会見は終了予定時間を30分以上超過する盛り上がりに。本作への期待の大きさと関心の高さを物語っていた。

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映画『KANO ~1931 海の向こうの甲子園~』
皆さん知っていましたか?
かつて、甲子園に、台湾代表が出場していた事を―
1931年日本統治時代の台湾から夏の甲子園に出場し、決勝まで勝ち進んだ 嘉義農林学校野球部(KANO)の感動の実話を基にした映画。
私たちが忘れかけている大切な何かを思い出さてくれる。

<STORY

日本統治時代の台湾。日本人、台湾人(漢人)※1、台湾原住民※2の3民族からなる、弱小チームの嘉義農林学校(KANO)野球部に、名門・松山商業を率いた近藤兵太郎が監督として就任した。近藤のスパルタ式指導のもと、甲子園大会を目指し、猛特訓が始まる。とまどう3民族混成チームの部員は、監督の情熱に、しだいに心をかよわせていく。1931年、ついに台湾代表となり、夏の甲子園に出場。一球たりとも諦めないあきらめない野球で快進撃が始まった…。
※注1:中国大陸から移住した漢民族の子孫  ※注2:台湾の先住民族の正式な呼称

■出演:永瀬正敏、坂井真紀、ツァオ・ヨウニン/大沢たかお
■主題歌:「風になって~勇者的浪漫~」Rake、中孝介、ファン・イーチェン、スミン、ルオ・メイリン(EPICレコードジャパン)
■製作総指揮:ウェイ・ダーション
■監督:マー・ジーシアン
■脚本:ウェイ・ダーション チェン・チャウェイ
■プロデューサー:ウェイ・ダーション ジミー・ファン
■2014/台湾/185分/制作会社:果子電影有限公司(ARS Film Production)/配給:ショウゲート/宣伝:ヨアケ/
(C)果子電影
公式サイト:http://kano1931.com/

2015年1月24日(土)より新宿バルト9ほか全国公開