映画『彼らが本気で編むときは、』の初日舞台挨拶が2月25日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、生田斗真、桐谷健太、柿原りんかと、荻上直子監督が登壇した。
『かもめ食堂』や『めがね』などの世界観から女性に圧倒的な人気を持つ荻原直子監督の約5年ぶりの作品となる本作は、優しさに満ちたトランスジェンダーの女性のリンコと、彼女のすべてを受け入れる恋人のマキオ、そして愛を知らない孤独な少女トモの3人が特別な時間を過ごし、それぞれの幸せを見つけていく60日間を描いた心温まる物語。
本作は、先日開催された『第67回ベルリン国際映画祭』で、LGBT(セクシュアル・マイノリティの人たち)をテーマにした全37作品の中、“テディ審査員特別賞”と、ドイツの観客の投票により決まる“観客賞”を受賞する快挙を遂げ、ベルリン国際映画祭に出席した登壇者たち。
生田は「たくさんの人にこの映画が届いたという手ごたえを持って帰ってくることができました。街で歩いていても、知らないおじさんに『映画すごくよかったよ』と声をかけられたりして、頑張ってよかったなと思いました」と振り返る。
一方の桐谷は、今回初めて海外での映画祭への参加となり「上映後の長いスタンディングオベーションに、しみじみと嬉しさがこみあげてきて感激しました」と喜び、柿原も「初めての海外がベルリン国際映画祭で良かったです!」とニッコリ。荻上監督は「ネコのキャラ弁のシーンとか、思いがけないところで、ドッカドッカと受けて笑ってもらえて驚きでした」と、それぞれ映画祭の参加を堪能した様子。
MCから「審査員全員一致での決定でした。リンコの演技は実に説得力があり、世界に通じる家族の物語になっています。観客の反応が一番良かった」と審査員の論評を読み上げられると、「本当にありがたいですね。嬉しいです。日本映画をどんどん世界に広げていくべきと思っているので、その力添えができて光栄です」とコメントした生田。
荻上監督は「最近アメリカを中心に『トランスジェンダーを演じるのは本当のトランスジェンダーでなくてはいけない』という風潮があるので、正直、賞をいただけるとは思っていませんでした。このような形で認められて幸せを感じます。世の中には色んな人がいて、色んな愛の形があっていい、ということが伝わって良かったです」と確かな手応えに満足そうな笑顔を浮かべる。
さらに、母親と子供との関係性もテーマであることに話が及ぶと、生田は「リンコがトモのためにごちそうを作る場面で、自分の母親も、愛情を持ってご飯を作ってくれていたんだと改めて母を想いました」と、母への感謝の気持ちを伝え、「りんかちゃんがとっても可愛らしくて、撮影中は僕の奥底に隠れている母性が膨らんでいると感じました」と語った。
最後に、生田が「この映画が、心の中にいつまでも残り続けてくれたら嬉しいです」とPRすると、桐谷は「リンコ、マキオ、トモの3人で食卓を囲むシーンがあったんやけど、 実は何回も撮り直していて、唐揚げ20個くらい食べたんです。20個めの唐揚げを美味しそうに食べているところを見逃さないで」と明かし、会場の笑いを誘っていた。
映画『彼らが本気で編むときは、』
<ストーリー>
優しさに満ちたトランスジェンダーの女性リンコ(生田斗真)と、彼女の心の美しさに惹かれ、すべてを受け入れる恋人のマキオ(桐谷健太)。そんなカップルの前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ(柿原りんか)。桜の季節に出会った3人が、それぞれの幸せを見つけるまでの心温まる60日。
小学生のトモは、母ヒロミ(ミムラ)と二人暮らし。ある日、ヒロミが男を追って姿を消す。ひとりきりになったトモは、いつものように叔父であるマキオの家に向かう。ただ以前と違うのは、マキオはリンコという美しい恋人と一緒に暮らしていた。リンコの美味しい手料理や母親が決して与えてくれなかった家庭のぬくもりとトモへの愛情・・。最初は戸惑うトモだったが、リンコのやさしさに閉ざした心を少しずつ開いていくのだった。本当の家族ではないけれど、3人で過ごす特別な日々は、自分らしさと本当の幸せを教えてくれた。嬉しいことも、悲しいことも、どうしようもないことも、それぞれの気持ちを編み物に託して、3人が本気で編んだ先にあるものは・・・。
出演:生田斗真、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、門脇麦、柏原収史、込江海翔、りりィ、田中美佐子/桐谷健太 ほか
脚本・監督:荻上直子
配給:スールキートス
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