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生田斗真、子役2人と話せず「心苦しかった」「喋っちゃダメ!って言われていたので」 撮影時には“渇水”なのに“雨男”発揮!? 映画『渇水』完成披露舞台挨拶

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映画『渇水』の完成披露舞台挨拶が、5月11日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の生田斗真をはじめ、共演の門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子、山﨑七海、柚穂の豪華俳優陣と、髙橋正弥監督、白石和彌(企画プロデュース)が登壇した。

林満の小説「渇水」を『凶悪』『孤狼の血』シリーズ、『死刑にいたる病』などで知られる映画監督・白石和彌の初プロデュースにより刊行から 30 年の時を経て映画化。本作は、水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の主人公が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していく様を描くヒューマンドラマ。水道局員・岩切俊作を生田斗真が演じ、門脇麦、磯村勇斗、尾野 真千子ら実力派俳優が脇を固め、真の絆とは何かを問いかけ、観る者を生への希望で照らし出す。監督は、数々の監督作品で助監督としてキャリアを重ねてきた髙橋正弥が務めた。

12年かけてようやく映画が完成したという髙橋監督は、「キャストの皆さん、白石さんをはじめ、スタッフの皆さん、色々なこの映画の企画成立を応援していただいた皆さんに感謝したいと思います」と感謝の思いを口にする。

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本作の映画化の経緯について、監督は「原作が書かれた1990年はバブル期と言われ、日本中が裕福でお金もいっぱいあった時代のお話ですが、その裏で格差社会や貧困の問題を描いていた。そして、30年経った今でもそれが亡くなっていないことに非常に深い想いを抱き、映画にしたいと、それを皆さんに観ていただければ・・・という思いで作らさせていただきました」とコメント。

プロデューサーを受けることとなった、白石は「脚本が素晴らしかった。これを映像化できないのはもったいないなということと、僕自身も観てみたいという強い想いがあったので、お手伝いさせてくださいとお願いして参加することになりました」と語った。

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生田が今回演じた岩切は、言うなれば“最強の凡人”。その普通の人の心の渇きや葛藤を描かれた本作だが、「今回の撮影はちょっと変わっていて、幼い姉妹の二人には脚本が渡されず、その日その日に監督が口伝えにセリフを与えていて、その場でお芝居をするスタイルだったんです。なので、このお二人は、ある日突然、僕と磯村くんが家の前にやってきて『水道止めます』って言われて。わけわからない状態だったんですよ。凄くリアルな生っ;ぽいお芝居が求められていました」と髙橋監督が取った特殊な方法を吐露。

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それゆえに、特に姉妹役の二人とは距離を取り、仲良くお喋りすることができなかったという。「『この子たちとは喋っちゃダメ!』という通達が出ていたので・・・心苦しかったですね」とすまなそうに、子役の二人を見やる生田。

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同じく二人と話ができなくて距離を取っていたという門脇も「心苦しかった」と同調し、「二人で夏に遊んでいるシーンがあって、小さい背中が夏の日差しに照らされている姿は、やっぱり凄く胸が苦しかったですね」と回顧。生田は「凄く罪なことをしているような、申し訳ない気持ちああったんですが、裏を返すと、その水道局員が執行停止をするのですから・・・」と言い、山﨑は「私も人見知り過ぎてずっとお話ができなくて。どうやって関係を作ればいいのかわからなかったのですが、たぶんそこが(役として)良かったんじゃないかなと思います」と振り返り、役作りのためと納得の面持ち。

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尾野は、そんな二人に「今しかできない、この経験はこの子たちの財産になると思います。大きな宝物になるんじゃないかな」とエールを送る。

撮影から1年半以上の時を経て、久しぶりの再会となったキャストたちは、今だからこそようやく和やかに話すことができ、舞台上では終始笑顔がこぼれる。

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監督は、姉妹の演習方法について「終わりを知らないまま演じて欲しいと思った。1日先のことは分からないということを二人のお芝居で体現してほしいと思ったので」と説明。白石も「とても新鮮でした。その場で起こった瞬間を切り取りたかったんだと思います」と髙橋監督を称えた。

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今作で初共演を果たした生田と磯村は、社用車のシーンで一気に距離が縮まったという。生田は「近くに居ざるを得ないし、(他に)誰もいないからずっと話していましたね」とニッコリ。そのシーンは撮影で唯一とても天気が良く、「暑かったねー」と顔を見合わせる二人。

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すると、生田は「『渇水』って言っていますが、撮影中は本当に雨が多くて。みんなに僕のせいだと言われて・・・。今日も雨が降ったし」と自ら“雨男”を認め、「公開日の6月2日は雨降るぞ!気をつけろ!(笑)」と観客に言い放し苦笑い。

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そんな撮影中に柚穂たち姉妹から“てるてる坊主”をプレゼントされたという監督。この日、大切そうにその“てるてる坊主”を披露。「これをずっと台本に挟んでいました」と彼女たちの気遣いを嬉しそうに話すと、生田は「ごめんね。雨男パワーがゴリゴリに勝っちゃって」と平謝りしていた。

また、本作では16mmのフィルムを使用して撮影が行われているが、監督は「水、太陽を表現するには16mmフィルムが適しているんじゃないかと、白石さんから提案を受けたんです」と明かし、「渇いた感じと、90年代を表すのに、粒子が荒い感じが水のあいまいさに会っていると思ったので」と理由を述べる。

最後に、生田が「僕の名前が(主演ということで)一番最初に出ていますが、二人の新しい女優さんを発見してもらう映画だと思うので、大きなスクリーンの中で、フィルム映画の中で、彼女たちがいろんな感情を爆発させている瞬間をぜひ目撃してほしいです。貴重な経験になると思います」とアピールし、舞台挨拶を締めくくった。

映画『渇水』
<STORY>

日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金が滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが――。

生田斗真
門脇麦 磯村勇斗
山﨑七海 柚穂/宮藤官九郎/宮世琉弥 吉澤健 池田成志
篠原篤 柴田理恵 森下能幸 田中要次 大鶴義丹
尾野真千子

原作:河林満「渇水」(角川文庫刊)
監督:髙橋正弥
脚本:及川章太郎
音楽:向井秀徳
企画プロデュース:白石和彌
製作:堀内大示 藤島ジュリーK. 徳原重之 鈴木仁行 五十嵐淳之
企画:椿宜和
プロデューサー:長谷川晴彦 田坂公章
製作:「渇水」製作委員会
製作プロダクション:レスパスビジョン
制作協力:レスパスフィルム
配給:KADOKAWA

©「渇水」製作委員会
2023/日本/カラー/ヨーロピアンビスタ/100分

2023年6月2日(金)全国公開