7/3(月)日本外国特派員協会記者会見報告レポート
宗教団体、ネグレクト、少年犯罪、性産業など大人に翻弄される地方都市の若者たちを、実話をベースに描いた青春ブラックコメディ『獣道』(7月15日(土)より、シネマート新宿ほか全国公開)の日本外国特派員協会記者会見が7/3(⽉月)に行われ、W主演の伊藤沙莉と須賀健太らが登壇しました。
日本のとある地方都市を生きる若者たちを描いたドメスティックな内容ながらも、今年5月にイタリアで開催された「ウディネ・ファーイースト映画祭」でのワールドプレミアをはじめ、新しく6月30日より開催の「ニューヨーク・アジア映画祭」、北米最大のファンタ系映画祭と言われる「ファンタジア国際映画祭」への出品が決定。また、主演の伊藤沙莉、須賀健太の「ヤンキー世界」への役作りの秘話などを披露しました。
映画『獣道』日本外国特派員協会記者会見概要
■日程:7月3日(月) 20:40ー21:20(18:30の上映後)
■会場:公益社団法⼈人日本外国特派員協会(千代田区有楽町1‒7‒1 電気ビル北館20F)
■登壇者:伊藤沙莉(23)、須賀健太(22)、内田英治監督(46)、アダム・トレルプロデューサー(34) *敬称略
『獣道』では、ダークで⼤人な役に挑戦していますが、どうしてこの役を引き受けようと思いましたか?
また、監督・プロデューサーに実際に会って⼼心配はありませんでしたか?
伊藤:こんにちは、伊藤沙莉です。Hello everyone!Iʼ’m Sairi Ito. Thank you so much for coming here today.Iʼ’m very happy to be
here!よろしくお願いします。
えっと、英語が言えたことでパッとなっちゃって、質問忘れちゃいました(笑)
(改めて質問を聞いて)台本を初めて頂いた時にシンプルに⾯白いなと、素敵な作品だなと思ったのが一番です。
あとは、愛⾐という役に対してちゃんと愛情を注いであげたいなと思いました。リアリティ溢れるこの作品の台本が私はすごく好きだったの で、すぐにお受けしたいですと言わせて頂きました。
内⽥田督ともアダム(プロデューサー)とも⼀度お会いしたことがあったので、不安にはなりませんでした。アダムの陽気な感じに逆に救わ れて楽しく撮影できました。
須賀:(隣の席に座る伊藤沙莉に英語を教えてもらい・・・)
Hello everyone!(会場笑)Thank you so much for coming here today.
My name is Kenta Suga. Iʼ’m very happy to be here!Thank you!Thank you!(会場拍⼿手)
すみません、僕、英語を全く勉強してこなかったので、今、伊藤さんに即席で教えて頂いたんですけど(笑)
僕はまず台本が⾯白かったというのと、内⽥監督の『下衆の愛』という作品をちょうど同じタイミングで観る機会があって、そこでもうこの監督と一緒に作品作りがしたいなとすごく思って、僕もすぐにお返事をさせてもらいました。
あとは、僕⾃身、亮太という(不良少年の)雰囲気のキャラクターを演じる機会が今まであまりなかったので、僕⾃身の成長になるなと思いましたし、新しいイメージを僕の中でも見つけられるじゃないかなと思い、この作品に出ようと決意しました。
(監督とプロデューサーのイメージは)思ったより普通の⼈人で安心しました(笑)。監督の映画を最初観た時、どんな人が監督をしているんだろうと思っていたんですけど、実際お会いしてみるとすごくチャーミングで素敵な監督だったので、安⼼して撮影できました。
この作品は実話に基づいてるそうですが、撮影もリアルなヤンキーに登場してもらってリアルさを出したとか。どこまでが本当にリアルだったのでしょうか?
アダムP:地元のヤンキーの⼈達には、本当に登場してもらいました。⼭梨での撮影だったのですが、(ヤンキーの)バイクを調達するのがとても難しくて、実際にバイクを持っているヤンキーの⼈達にそのまま(映画に)登場してもらいました。映画のパンフレットの写真の中にも、本物のヤンキーさんが登場しています。
脚本はどこまでがリアルだったのでしょうか?
監督:実際ストーリーの原案者もこの作品に出演しているのですが、僕がリアルに聞いた話を脚本化しました。
本当のストーリーはもっと実はハードで、日本の地方社会を体現している話だったのですがあまりにもハードすぎて、脚本の段階でシンプルにして脚本にしました。なので、これは本当に本当のお話です。
ヤンキーさんは、本当の暴走族のお兄さん達にも出てもらいました。僕もびっくりしたんですけど、撮影中に警察からプロデューサー宛に
「撮影を中⽌しろ」という電話があって。そういう表現⾃体をやってほしくないと。勿論実際の撮影は、オートバイをトラックで運んだり、法律を守って撮影をしました。
なので、映画を観ていると、本物のヤンキーと役者の違いがみていて⾯白いと思いますし、そういった(⾒方の)楽しみ⽅も出来ると思います。
主演のお⼆人は、優しい顔や怒り狂うシーンなど色々な表情をみせてくれましたが、どちらの役作りが大変でしたか?
須賀:亮太というキャラクターは、感情を常に表に出している人ではないと思って僕は演じていたので、表情をそこまで作らず、嬉しいとか悲しいとかが100%観ている⽅に伝わらない事を逆に心がけて演じていました。なので、どこまで感情をだすかというのが難しかったですね。あとは、台本の流れに沿って、徐々に亮太の感情的な部分がみえていく事を計算しながら演じていましたが、そのバランスも難しかったです。
伊藤:どちらかというと愛衣もそこまで感情的になるシーンは少なかったのですが、暗いシリアスなシーンよりも、楽しいというか、満⾜足している表情、笑顔の中に孤独を感じさせるような、⼆つの感情をもっているというのを表現する方が難しかったです。
若い頃から映画の仕事をしているので、あまり不良の世界には触れることがなかったと思いますが、どういう⾵にこの世界を想像して撮影に臨みましたか?映画界でもそういう面は見た事ありますか?
伊藤:結構、生まれたところが・・・(笑)。
台本を読んですごくリアリティを感じたというのが、『獣道』に出てくるヤンキーほどではないのですが、先輩とかで「どこ校?」とか「何とか先輩知っている?」とかいう⼈が(自分の周りにも)いて(笑)。そういうのはすごく⾒慣れていた光景だったので、そうそう、こういう人いるいる!って感じでした。
須賀:僕も生まれが治安的にはあまり・・・そうですね(笑)っていうところで生まれたので、やっぱりいるんですよ、クラスに、同じような、雰囲気をもった人達が。教室では存在感がある、そういう人達を集めたのが亮太なのかなって思います。何かに縛られたりそういうのは嫌いで、馴染もうと思えば馴染める存在なのに、敢えてあういう立ち位置を亮太は自分で選んでいるな、というのを僕は台本を読んで感じたので。そういう今まで見てきた僕の中での「ちょっと尖った人達」を足しました(笑)
この映画で、世界のどんな⼈を救いたいですか?
監督:すごい難しい質問ですね(笑)。でも、愛衣は⾊々な⼈を救っていたと思います。
外国の映画祭とかで上映されると、宗教の描写があるので、絶対に「神様信じますか?」とか結構聞かれるのですが、僕⾃身は実は無宗教で、でも信仰は絶対必要だと思っていて。
信仰というのはキリスト教とか、仏教とかいわゆる宗教だけではなく、愛衣がやっていたような秋葉原のアイドルを信仰しているおじさんたちも、あれも彼らには必要だと思うんです。愛衣のようなアイドルを信仰するのも宗教と全く⼀緒で、彼らはアイドルに救われているので、それはありだと思うんです。
僕の生まれ故郷のブラジルでもそうです。カトリックなのでみんなすごく信仰深い国なんですけど、その信仰深い国から僕は10歳で無宗教の⽇本に来たので。そういう(⼀つの宗教に拘らないというバックグラウンド)のは、愛衣というキャラクターに転移しているのかもしれません。
6⽉30⽇より開催の「ニューヨーク・アジア映画祭」、モントリオールで7⽉24⽇から開催される北米最⼤のファンタ系映画祭と言われる
「ファンタジア国際映画祭」への出品も新たに決定。フォトセッションでは、英国⼈プロデューサーのアダムさんが母国イギリスでファッ
ションとしても流行していると言われている特攻服を着⽤して登場。日本だけではなく、世界中に発信・評価される映画『獣道』の魅⼒が詰まった記者会⾒となりました。
【『獣道』作品概要】
伊藤沙莉 須賀健太 アントニー 吉村界⼈
韓英恵 冨⼿麻妙 松本花奈 川上奈々美 毎熊克哉 マシュー・チョジック 矢部太郎 でんでん 広⽥レオナ 近藤芳正
監督・脚本:内田英治(『下衆の愛』) アダム・トレル 製作:Third Window Films
配給:スタイルジャム 宣伝:フリーストーン〈2017年/日本、イギリス/カラー/94分〉
公式HP:http://www.kemono-michi.com ©third window films
【STORY】
とある地⽅都市で⽣まれ、親の愛を知らずに育ち自分の居場所を求め宗教施設や風俗の世界へ身を転じていく少⼥・愛⾐(伊藤沙莉)。愛⾐の唯⼀の理解者であり、彼⼥に恋する少年・亮太(須賀健太)もまた居場所を探す不良少年であった。居場所を求め続ける二人の純情は、やがて地⽅都市というジャングルに飲み込まれていく…。
7月15日(土) シネマート新宿ほか全国公開