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金子大地&甲斐翔真対談インタビュー! 自身の青春の思い出は?自分と重ねた青春 映画『君が世界のはじまり』

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ふくだももこ監督最新作、映画『君が世界のはじまり』がいよいよ7月31日より全国公開する。ふくだ監督の原点である2本の短編小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を再構築し映画化。キラキラばかりではない青春。ブルーハーツの曲に乗せてそれぞれの感情を爆発させる高校生のヒリヒリするようなエネルギーを映し出す。

父親の再婚相手の暮らす大阪に東京から引っ越してきた伊尾役を金子大地、学年で指折りの人気者でサッカー部の主将・岡田役を甲斐翔真が務めた。高校生の繊細な感情を見事に演じたお二人に話を聞いた。

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― お二人ともナイーブな高校生の役を演じられましたが、役がらとどう向き合って演じられましたか?

甲斐翔真(以下、甲斐):まず、台本を読んで岡田がこの映画の中でどういう位置にいるのかを考えました。岡田はオアシスみたいなヤツ。どんな人にも好かれる人っていますよね。本当に下心なく人に優しくできたり、声をかけたり、どんな人でも受け入れられる人。そんな人になるように意識して演じました。彼は人に対して固定概念がない。「これは、こういうもの」と決めつけるのではなく、「そういうのもあるんだね」と受け止めることができる人間です。

金子大地(以下、金子):伊尾は凄く繊細で、慣れない環境でどこかあきらめているような人物なのですが、僕も少し共感できるところがありました。僕も北海道から東京に来て、環境が変わることへの不安だったり怖さみたいなものを抱えていました。伊尾は色々なことを客観視しているように見えて、意外と視野が狭いようでもある。なので、ちょっとすかしているように見えるんじゃないかと思って、そういうイメージで臨みました。

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― 甲斐さんは今回大阪弁に挑戦されました。ネイティブな関西弁を話される女優陣に囲まれていかがでしたか? 大変でしたか?

甲斐:みんなが関西弁を喋るなかで、一人だけ“練習した大阪弁”が浮き彫りにならないようにしないといけないですからね(笑)。言葉を音程で覚えました。芝居をする以前に、人生17~18年使ってきた言葉として馴染んでいないといけないと思うと大変でした(笑)。

― 共演者の方から「その大阪弁、違う!」と突っ込まれることはなかったですか?

甲斐:それが怖すぎて (笑)、一生懸命準備をしたので酷く的外れなことはなかったと思いますが・・・。本当に細かいニュアンスがあるんですよね。関西出身の方はふつうに話していましたけど京都と大阪でも違うし、あらためて関西弁ってこんなに繊細なんだなと感じました。伊尾が凄く羨ましかったです(笑)。

― 金子さんは逆に一人だけ標準語を話すというのも、周りから浮いてしまって怖くなかったですか?

金子:僕は関西弁を話すのは不安だったので、標準語でありがたかったです(笑)
相手が関西弁でも全然平気なのですが、自分が話すのはちょっと・・・(上手く喋れないので)
怖いです。

甲斐:(笑いながら)そんなことないやろ~(笑)
金子:凄いなあ(笑)。

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― 劇中で5人がまさに青春する、夜のショッピングモールのシーンは印象的です。撮影を振り返っていかがですか?

金子:あのシーンは僕たちもとても印象に残っています。5人揃って撮影したこともそうですし、歌に乗せていろんな感情を爆発させるシーンなので、凄く緊張感がありました。

甲斐:フードコートで5人が一列になって座るシーンがあるんですが、台本では特に座り方については書いてなくて、現場に行ってから演出をお聞きしたんです。確かにこいつらは仲良くボックス席には座らないよなと思ったし、あの座り位置もその前のシーンのことも想像してみると意味があるのかなと。あそこでみんなが自分の思っていることをポロポロと話し始める。どうして急にそういうムードになったのか、高校生の父親殺しのニュースが報道されて色々考えることがあったのか、営業していない夜のショッピングモールで遊んだという高揚感がそうさせたのか・・・など、僕たちも色んな感情が沸きました。

サブ8

― 営業時間外の夜のショッピングモールは凄く特別感があって楽しそうでしたね。

甲斐:あんなことしたら捕まっちゃいますからね、普通は(笑)。
金子:本当だね(笑)。でも楽しかった!

― それでは、ご自身の忘れられない高校生の時の思い出はありますか?

甲斐:僕は小学1年生から高校3年生までずっとサッカーをやっていたので、それが青春の全てだったと思います。恋愛よりもサッカーの記憶のほうが絶対的に大きいです。あまり恋愛に興味がなかったかもしれません。

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― サッカーをやっているなかでも特に記憶に残っていることは?

甲斐:練習が面倒くさいなぁ~と思っていたことです。大会(試合)が好きだったので。
金子:わかる。僕もそうだった。
甲斐:そうだよね。練習が嫌いなんですよ。試合で勝つためには練習が必要だっていうことはわかっているんだけど。持久走とか、雨の日は廊下でダッシュして筋トレして・・・ああ面倒くせー!って(笑)。なんか、そういうことが今よみがえりますね。

― それって本音ですね(笑)。本作のようにキラキラしたことばかりではないというような。

甲斐:そうなんです。もちろんサッカーが楽しくてやっているんだけど、楽しいのはほんの一瞬で大半が面倒くさいんです。それが高校生なのかなと思います。

金子:僕もバスケットボールをやっていたので、翔真の気持ちがよくわかります。今でもスポーツ飲料を飲むと、ウワーっていう気持ちできつい練習をしていたことを思い出すんです。当時あまりスポーツ飲料は好きじゃなかったのですが、いま飲むとその時のことを思い出しますね。飽きるほど飲んでいたので。

甲斐:そうそう、粉を溶いて作ったりね。

金子:高校の時の部活は印象深いですね。

甲斐:でも、スポーツをやっていて良かったと思います。社会に出て少し嫌だなと思うことがあっても、(スポーツをやっていた時の)あの面倒くさいことは大会の試合のためのものだったとわかっているので、今やっている面倒くさい作業はこの先の目標に近づくためにやっているんだと、自然に体がわかっていて逃げないようになっている気がします。レギュラー争いもあったので、負けず嫌いなところも育っていたのかもしれません。

解禁写真_岡田

― 映画のタイトルにも“はじまり”という言葉がありますが、お二人が俳優としてやっていこうと思ったきっかけは? 俳優としてのはじまりとなったものとは?

甲斐:僕はスカウトでこの世界に入ったのですが、特に芸能界に憧れがあったわけではなく、街を歩いていたら声をかけられて今の事務所と出会いました。大地のようにオーディションを受けてという“はじまり”とは違いますが、楽しいと思えることに出会うことができました。俳優は見るものであり自分の人生にはないもののはずだったので、スカウトしてくださった方には本当に感謝しています。スカウトはきっかけでしかなかったんですが、初めて撮影をして作品が完成したときに、これからこれでやっていくんだと実感しました。

金子:僕は北海道に住んでいたので、東京への憧れがありました。北海道でオーディションをしているのを当日Twitterで知り、衝動的に行こう!と思って会場に向かいました。到着した時にはもう終わってから20分くらい経ってしまっていて、受ける人は誰もいなくなっていたんですが、それでも受付をしてくれたのが今のマネージャーさん。その出会いがあって今こうやって仕事ができています。オーディションを受けさせてくださったことだったり、東京に行っていいよと言ってくれた親の想いだったり、色んなものを背負っているので、これからも頑張ろうと思っています。

解禁写真_伊尾

― まだまだコロナ禍が続く厳しい状況ではありますが、この時期に何か始めたこと、これから始めてみたいなと思うことはありますか?

甲斐:今年の秋にミュージカル作品に出演するのですが、ギターを弾く役なんです。なので、ギターの練習を始めました。手に馴染むように狂ったように毎日弾いています。必要なことなので始めましたが、結果的には自分の武器にもなるので頑張っています。

金子:今年初めて舞台に挑戦しました。ものすごく楽しかったです。初舞台の扉を開けていただいた吉田鋼太郎さんにとても感謝しています。シェイクスピアの難しい題材でしたが、ここまで台本や自分と向き合ったのは初めてではないかと思うくらいエネルギーを費やした作品でした。これからも舞台はやりたいと思います。そう思うようになったことは自分にとって大きかったですね。

甲斐:僕も大きな舞台の真ん中に立ったときは精神的に引き締められました。舞台は全部がお客様に見られているので本当に嘘がつけない。気持ち一つにしても、全部見られているので。

― そういう新しい経験が映像の世界にも反映してくるのでしょうね。

金子甲斐:そうですね。いろんな経験が自分の財産になっていると思います。

― それでは最後に、これから本作をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

甲斐:大人の方が観ても、今の高校生や中学生、色んな世代の方が観てもきっとどこか共感できる部分があると思います。高校生たちの青春物語はキラキラした作品が多いと思いますが、この映画は誰もが持つであろう影の部分を大事に描いています。自分と照らし合わせてもいいし、もし悩みがあったら自分の今の位置を確かめると気が楽になることもあると思います。ぜひ、たくさんの方に観てほしいです。

金子:ザ・ブルーハーツの歌に乗せてショッピングモールで色んな感情を爆発させて、「頑張れ!」と言うシーンがあるのですが、本当の意味で自分が何に悩んでいて、何と葛藤しているかはたぶんわからないと思うんです。それは今の高校生にも通じることなんじゃないかなと思います。そういうモヤモヤしたことがいっぱい詰まっているなか、夜のショッピングモールで「青春してるぞ!」と思いながら青春しているところが凄くいいなと思いました。ぜひ楽しんで観ていただけると嬉しいです。

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【金子大地(かねこ・だいち)プロフィール】
1996年9月26日生まれ、北海道出身。「アミューズオーディションフェス2014」にて俳優・モデル部門を受賞しデビュー。EX「おっさんずラブ」で一躍注目を集め、NHK「腐女子、うっかりゲイに告る。」にてドラマ初主演を務める。近年の出演作はドラマ「湘南純愛組!」、映画「殺さない彼と死なない彼女」、舞台『彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾「ヘンリー八世」』など。W主演映画「猿楽町で会いましょう」が公開待機中。
オフィシャルサイト:https://artist.amuse.co.jp/artist/kaneko_daichi/
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/daichikaneko_official/

【甲斐翔真(かい・しょうま)プロフィール】
1997年、東京都生まれ。2016年、『仮面ライダーエグゼイド』パラド / 仮面ライダーパラドクス役で出演。その後、「花にけだもの」シリーズ(18・19/CX)映画・ドラマ『覚悟はいいかそこの女子。』(ともに18/ドラマ・TBS)映画『君は月夜に光り輝く』(19)『シグナル100』(20)『#ハンド全力』(20)などがある。今年は『デスノート THE MUSICAL』主演 ・夜神月役でミュージカルデビュー。11月には東宝ミュージカル「RENT」の公演が控える。
オフィシャルサイト:https://artist.amuse.co.jp/artist/kai_shouma/
オフィシャルTwitter:https://twitter.com/kai_shouma
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/kai_shouma/

インタビュー撮影:ナカムラヨシノーブ

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映画『君が世界のはじまり』
<あらすじ>
大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害される。犯人は高校生だった。
この町の高校2年生のえん(松本穂香)は、彼氏をころころ変える親友の琴子(中田青渚)と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ(小室ぺい)に一目惚れしたことで、二人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通う純(片山友希)は、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾(金子大地)と会い、求めるものもわからぬまま体を重ねるようになる。偶然ナリヒラの秘密を知るえん。急接近した二人を見て見ぬふりをする琴子。琴子に思いを寄せる、サッカー部キャプテンの岡田(甲斐翔真)。思いの捌け口を見つけられない純。田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。変わらない町―。
そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕され……。
郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語は疾走していく。

松本穂香
中田青渚 片山友希 金子大地 甲斐翔真 小室ぺい
板橋駿谷 山中 崇 正木佐和 森下能幸
江口のりこ 古舘寛治
原作・監督:ふくだももこ 『えん』『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』
脚本:向井康介
企画制作:オフィス・シロウズ
配給:バンダイナムコアーツ
製作:『君が世界のはじまり』製作委員会 バンダイナムコアーツ アミューズ オフィス・シロウズ
©2020『君が世界のはじまり』製作委員会
※古舘寛治の「舘」の正式表記は、舎に官になります。
公式サイト:https://kimiseka-movie.jp/

7月31日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー
※新型コロナウィルス感染拡大の状況等により、公開延期となる可能性もございます。

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