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遠藤健慎 “普通”を演じることの難しさを実感!「自分にとって大事で尊い作品」 映画『こん、こん。』インタビュー!

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映画『こはく』(19)に続き、横尾初喜監督が映画『達人 THE MASTER』以降、脚本家の藤井香織と再タッグを組んだ、映画『こん、こん。』が、9月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開する。

本作は横尾監督の故郷でもある長崎県を舞台に、監督自身の映画として初のラブストーリーに挑戦した意欲作!いま最も注目を集める実力派若手俳優の遠藤健慎と、長崎在住で活躍する塩田みうがダブル主演を務め、 何事も「フツー」な毎日を送る大学生・堀内賢星(遠藤)と、「好き」がたくさんある同級生・七瀬宇海(塩田)の対極的なふたりの恋を描く。

10代~60代の県民キャストが出演し、長崎県を拠点に活躍するスタッフ陣が制作。長崎県オールロケを遂行し、等身大の長崎を切り取った横尾監督渾身の一作。これまで演じてきた役柄とは違う、また新しい顔を見せてくれた遠藤健慎さんに、撮影を振り返りながら本作の魅力を語ってもらった。

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― 今作の出演の決め手は何だったのでしょうか?

横尾監督と以前ドラマでご一緒させていただいたときから、また映画で一緒させていただきたいと思っていました。横尾監督は役者側の心の準備ができてから撮ってくださって、絶対に納得する画になるまで撮り続けるという初志貫徹をされる方だと感じています。撮影できる時間や製作費の関係でなかなか難しいことではあると思いますが、横尾監督は今作でも絶対に撮りたいものを撮るまで止めなかったですし、いいものを撮りたい!という飢えている部分に僕も凄く共感していました。

― これまで色々な役柄を演じてこられた遠藤さんですが、今回のごく普通の青年役はいかがでしたか?新しい発見などありましたか?

“普通”というのは簡単じゃないということでした。最初は“普通”というのは、色々なことを削ぎ落していけばできるものなのかと考えていたのですが、その結果、相手から様々なものを受け取ったり、周りからの影響を受けやすいということに気づき、より一層現場全体を見ないと分からない部分や、自分が出ていないところで進んで行くシーンも把握しないといけないと思いました。 “普通”の定義付けはとても難しいと思います。この役が僕だったからこそこの映画になれてると思うので、自分がしっかりしないといけないと、役者として再認識した部分もあり、学ばせていただくことが多かったです。

― 遠藤さんご自身が大きく投影されている部分もある?

そうですね。特にクライマックスのシーンでは、役を超えて自分のパーソナリティな部分も反映されていると思います。

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― 大学の友達との会話もリアルな感じがします。そんな普通で自然な演技をするにあたり心がけたことは?

僕は台本が8割だと思っているんです。役者は台本をベースにしてお芝居作っていくわけですが、その感情でその場所に立ってみると、台本のセリフが出てこなかったり、逆に言いたくなる言葉が沸いてくることもあるんです。なので、シーンごとや、セリフが全部カットされたところもあります。受身な青年の賢星と天真爛漫な宇海ちゃんとの関係性から自然と生まれてくることもあるので、その場の気持ちを大切にしました。今回の現場ではそれが如実に出ている気がします。

― そういう意味でも監督とよくディスカッションしながら役を作っていったのでしょうか?

監督とはとてもフィーリングが合っていて、その場で感じることが同じでした。横尾監督作品は今回3作目になるので、ある程度監督の感覚は理解してきているつもりですが、今作でやっぱり横尾さんの作品作りは好きだなと再認識しました。

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― 監督から、特にリクエストされた演出などはあったのでしょうか?

それがほとんどなくて。僕が台本を読み込んでいるのは分かってくださっていたし、少し段取りを打ち合わせするくらいでした。ただ、「小手先で動いてしまうのだったら、無理に動かなくていい」ということだけは言われました。役者の演技に対して足し算ではなく、引き算するタイプの監督のような気がします。「好きなようにやってみようよ」と。そのラフさが凄く好きです。そんな中でも、作品はちゃんとクオリティの高いものに仕上げてくださるので、安心して全てを任せられるんです。

― W主演の塩田さんとの共演はいかがでしたか?

現場に入る前にリモートでお話ししていましたが、長崎ロケで初めてお会いしました。彼女の核を捉えた脚本が凄い!と、生の彼女を見て改めて感じました。塩田みうちゃんと宇海ちゃんがしっかりリンクしていました。
彼女は本当に度胸があるというか、いい意味で肝が座っていて。緊張もしていたみたいですが、宇海ちゃんとしてそこにいてくれていたので、僕もストレートに受けることができました。

― 横尾監督が、塩田さんとフラットな状態でいることができる遠藤さんとの化学反応を見たかったのかも?

それもあるとは思いますが、そこまで二人のことを見抜いていた監督の洞察力に驚きました。あと、キャストの中には演技が未経験だった方もいましたが、監督の演出が本当に的確でわかりやすく話してくださるので、役者もやりやすいんです。細部までのこだわりと監督の優しさが映画に滲み出ていると思います。

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― 日々を淡々と過ごしている賢星くんが、最後に感情を爆発させるシーンがとても印象的です。撮影は順撮りだったのですか?

順撮りの撮影ではなかったのですが、周りの方々が本当に素敵だったので、自然とそういう感情になっていきました。きっと僕一人だったらできなかったと思います。キャストとスタッフの皆さんのおかげでワンシーン、ワンシーンを大切に作りあげていくことができました。

― ロケ地の力も大きかったのでは?

それは間違いないです。圧倒的な自然と、なぜか懐かしい空気を感じました。そして、なによりも長崎の方々の人柄が素晴らしくて、底抜けに明るくて優しい方ばかりでした。ロケ地も快く提供してくださって、「弁当なんか(用意しなくて)いいから!俺らが作ってやるよ」って言って、キッチンカーを個人で手配して料理してくださるんです。本当に気持ちが温かくて。過密なスケジュールの撮影ではありましたが、それを忘れるくらい現場が元気で、生きてるっていう感じがして、ちょっと長崎に住みたいなと思うくらいでした。こんなに手厚く歓迎していただいたのは初めてでした。

― 賢星くんを通して遠藤さんの素を見ているような気にもなってきます。ところで、賢星くんと健慎くんは、名前も似てますね(笑)。特にご自身と似ているなと思ったところはありますか?

そうなんですよ、「健慎(けんしん)」だから、役名が「賢星(けんせい)」なんです。「みう」だから「宇海」。確かに自分と似ていると思うところはたくさんあって、僕のことを見て台本を書いてくださったんだなと感じました。自分とは逆に見える行動でも、僕の根底にある臆病な部分や、一歩引いた位置が一番気持ちいい距離感というところは、賢星であり健慎なのかなと思います。僕が演じたからそういう賢星になったのかもしれませんが・・・。そこが横尾マジックなんだと思います。

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― ところで、劇中で大橋彰(アキラ100%)さんがとても強烈な存在感を放っていますが。共演されていかがでしたか?

アキラさん演じるマキノさんのキャラクターは、ストーリーをグッと締めてくれる大事な存在なんです。実はマキノさんの助言は意外と的を射ている。それでいて、アキラさんの性分なのか、現場を笑いで盛り上げたり、画を少しでも面白くすることを考えて下さっていて、常に現場をいい具合にかき混ぜてくれていました。

― カメラの回っていないときにはどんなお話をされていたんですか?

1~2年くらい前に別作品で共演させていただいたのですが、その時はまだ小さかったお子さんが「だんだんわがままになってきているんだよ」って、父親の一面を見せてくださって。「なんか俺、穏やかになっちゃってさー。だんだん親父になるんだね」って、テレビで見るキャラそのままでした(笑)。

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― 宇海ちゃんは凄く“好き”がたくさんある女の子ですが、遠藤さんが「いま好きなものを5つ挙げみて!」と言われたら、何を挙げますか?

そうですね・・・、音楽、犬、友達、マネージャー、家族!です。

― それでは、その“好き”のために、大事にしていること、忘れないようにしていることは?

この人たちだけには自分の全てを見せようと思っています。もちろん一番笑顔でいてほしい存在ですが、僕も完璧な人間ではないので、辛いときも全部隠さず見せてしまっています。(飼っている)犬はいてくれるだけで癒されるんですよね(笑)。

― “好き”がいっぱいの宇海ちゃんと、対極的な賢星くん。ぜひ観てほしいところは?

宇海ちゃんの“好き”がいっぱいあることはとても素敵なことです。でも、不完全だけど、賢星みたいな青年はたくさんいると思うので、この作品をぜひ男性の方に観ていただきたいです。きっと受け取ってもらえるものがあると思います。

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― この作品に出演されて遠藤さんご自身が得たものはありますか?

映画の主人公として背負う重さを凄く感じました。それと同時に、主演だからといって気負う必要もないということも。今回、主演を務めさせていただきましたが、結局周りのキャストやスタッフさんたちに助けられているんです。監督やマネージャーさんをはじめとしてその偉大さ、尊さをあらためて感じました。皆さんが僕を座長にしてくれたんだと思います。

― 皆さんの力と愛、結束力を感じた作品になったのですね。

誰1人として欠けても撮影ができなかったので。実際、コロナが流行っているときでもありましたし、誰かがコロナにかかれば撮影がストップしてしまう。そういうこともあったからこそ、皆でここを乗り越えるんだという思いがより強くなった気がします。

― ところで、『こん、こん。』というタイトルの意味は?

『こん、こん。』は、長崎弁で「来ない、来ない」という意味なんです。映画をご覧になった後に、このタイトルの意味を深く感じると思います。実は最初は全然違うタイトルで『縄文人がやってくる』というタイトルだったんです。長崎では先にそのタイトルで伝わっていたので、タイトル名が変わって「どういうこと??」ってなったみたいです(笑)。

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― 素敵なタイトル名になって良かったですね(笑)。それでは最後に、これから本作をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。

まずは、(Astageが)初めて僕を取材してくださったのが、確か6年前だったと思います。そして今ここまで来ました。それもこうやって取材をしてくださる媒体の方々のおかげだと思って感謝しています。
本作では長崎の街の美しさを大きなスクリーンで観ていただきたいです。そして、ご覧になった方の人生に重なる部分もあると思います。僕にとってもこの作品はこれまで以上に大事な尊い作品になりましたので、1人でも多くの方に観ていただけたら嬉しいです。

【遠藤健慎(Kenshin Endo)】
2000年11月24日生まれ、静岡県清水町出身。
Aimer『Re:pray』のMVで10歳にも関わらず、ミステリアスな存在感を漂わせる。
映画『ホットロード』(監督:三木孝浩)をはじめ、「きりゅうアワード2017」にて、グランプリを受賞した『なぎさ』(監督:古川原壮司)では主演を務めた。
以降、映画『劇場版 美しい彼~eternal~』 (監督:酒井麻衣),『恋い焦れ歌え』(監督:熊坂出),『大事なことほど小声でささやく』(監督:横尾初喜),『冬薔薇』(監督:阪本順二),『望み』(監督:堤幸彦),『ミスミソウ』(監督:内藤瑛亮)他、
NHK特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』( 第60回ギャラクシー賞奨励賞受賞作品)、WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム3』野村萬斎組「虎の洞窟」 、Netflix『First Love 初恋』、日本テレビ『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』、フジテレビ『さくらの親子丼』『明日の約束』などドラマや映画など多くの作品で活躍。この後も出演作品が控えている。

Instagram:https://www.instagram.com/kenshinendo_official/
公式サイト:https://www.hirata-office.jp/talent_profile/men/kenshin_endo.html
ヒラタオフィス ウルウル: https://www.hirata-office.jp/topic/kenshin_endo/konkon/konkon.html

撮影:ナカムラヨシノーブ

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映画『こん、こん。』
【STORY】
何事も「フツー」な毎日を送る大学生•堀内賢星。
ある日突然、同級生の七瀬宇海と衝撃的な出会いを果たす。
「好き」がたくさんある宇海との会話はどこか噛み合わず、
自分と真逆な彼女に戸惑うも、不思議な魅力に惹かれていく。

謎の踊りと染め物の T シャツ。苦手な激辛カレー。
興味のなかったカメラ。
部屋に飾られた大小の手形。空港が見える秘密の裏山。

賢星は、宇海と来るはずだった海岸を見つめ、「特別」な毎日を思い返す。愛に溢れた彼女の抱えるものとはなんだったのか?
豪快な宇海と、合理的な賢星。
クスッと笑えて、すれ違いに切なくなる。
長崎を舞台に描く、対極的なふたりの「恋」の物語。

出演:遠藤健慎 塩田みう
大橋彰(アキラ 100%) 森あゆ 中山晴華
龍真 松田天星 橋本和太琉 田川隼嗣 立川公彦 栄信 遠藤久美子
監督:横尾初喜
脚本:藤井香織
音楽:上田壮一
プロデュ-サー:髙田大、片平梓、溝口貴史、原ちなみ
撮影:松平康平
製作•配給:BLUE.MOUNTAIN
製作協力:長崎国際テレビ
2023年 / カラー / ステレオ /上映時間98分
コピーライト: ©2023 BLUE.MOUNTAIN
公式 HP :https://bluemountain-nagasaki.com/konkon/

2023年9月29日(金)より
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

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