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役所広司、「大上は汚れた街に舞い降りた天使」 白石監督は「この映画のキーワードはキャストの色っぽさ」「松坂桃李くんは1を聞いて10を知る俳優!」と絶賛! 『孤狼の血』公開記念トークイベント

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「『孤狼の血』公開記念トークイベント~みんなの文庫へ 角川文庫創刊70周年~」が5月5日、東京・新宿の紀伊國屋ホールにて開催され、主演の役所広司と白石和彌監督、原作者の柚月裕子氏が登壇した。

本作は、柚月裕子のベストセラー小説「孤狼の血」を原作に、暴対法成立以前の広島・呉原市を舞台に、暴力団系列の金融会社社員失踪事件をきっかけに捜査する警察と、暴力団組組織間の激しい抗争を描く、昭和の熱き男たちの物語。主演は暴力団との癒着を噂される刑事・大上章吾役を演じる役所広司。そして、大上の捜査に戸惑う若き刑事・日岡秀一役を松坂桃李が扮する。

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トークイベントは1部と2部の2部構成で行われ、MCには本作に署長役で俳優・瀧川英次として出演もしている映画コメンテーター・赤ペン瀧川と、解説を映画評論家の秋本鉄次氏により進行。トーク以外にもスペシャル映像も披露され会場は終始大盛り上りに。
1部で登場した柚月氏は、大上役に役所のキャスティングについて「初めて会ったとき、『怖い!』という印象でした。パワフルなイメージで小説以上の恐い大上になるなと思って、ワクワクしました」とコメント。

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その後、本作の監督を務めた白石和彌が登場。原作を読んだ感想を「警察小説としてのミステリーがしっかりあり、ヤクザと警察の話をここまで全面に出した物語はあまり記憶になかったので、むしろ“新しいな”と思いました。大変面白い小説でした」と明かした。小説を映画化にするにあたり「活字としてミステリーを楽しんでいただく分、映画化では映像として2時間にまとめなきゃならないということで・・・若干血みどろになっちゃって(笑)」と語り会場の笑いを誘う白石監督。「小説ならでは、映画ならではの面白さがあると思います」と語る柚月氏も「小説の肝となつところを大切にしながら映画化してくださったことが何よりも嬉しかったです」と笑顔を見せた。

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また、今作でバディを組む役所と松坂について、監督は「桃李くんに関しては映画の中心であり、物語の最初から最後まで登場する役。やっていてとても新鮮でした。彼の真っ直ぐさが日岡とシンクロしていて、僕にとっても心強い相棒でした」と微笑み、役所については「僕はまだ若手監督だと自分は思っているので、役所さんと仕事させてもられるのは夢みたいなもので、日々幸せな時間でした。役所さんが大上を演じると、恐いところとキュートなところのメリハリが絶妙で、それがなんとも言えない大上の魅力になっていました』と絶賛。
竹野内豊や江口洋介らについても「ポイントとなるヤクザ役に、初めてヤクザ役を演じる俳優がいますが、初めてだからこそ出し惜しみせず、やりたいことを全部やってくれたので魅力的なヤクザになっていた。江口さんに関してはアウトローだからこそ、そのスター性が発揮された気がします」とし、「この映画のキーワードはキャストの色っぽさだと思います」と語り、さらなる本作の魅力を吐露。

また、3月30日に発売された「孤狼の血」の続編となる「凶犬の眼」についても話が及び、赤ペン瀧川が白石監督に映画化を促すと、「先日、柚月先生が、『孤狼の血』が赤い炎なら、『凶犬の眼』は青い炎。青い炎のほうが温度が高いんですっておっしゃって。『孤狼の血』がヒットしたら是非撮りたいですね。続編がすでに用意されているなんてこんな幸せなことはないです」と続編映画化に期待を寄せた。

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2部には役所も登場。大上がタバコを吸うシーンがたくさんあるが「実は禁煙をしたばかりのときにこの役が来まして…。今はちゃんと禁煙できてますけど」と告白し、笑いを誘う役所。大上という男を演じた感想を「自分との共通点はまったくないですね。でも、この男は汚れた街に舞い降りた天使だと思っていました。街にたんを吐く天使です!」と笑い飛ばす。すると白石監督が「役所さんから『僕は天使を演じます!』というお言葉はなかったので、『たんを吐いてください!』『ここでおっぱいを触ってください!』と演出してしまって・・・俺は天使に何をやらせていんだろう・・・(笑)」と苦笑いし、さらに会場を沸かせた。

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共演の松坂について印象を聞かれると、「松坂くんとは初めての共演ではないですが、今回はガチの青い正義感丸出しの日岡を見事に演じ、ラストに向かって呉の男になっていく姿が素晴らしかった』と称え、白石監督も「1を言えば10を知る、素晴らしい役者です」と絶賛。また松坂さんと1対1で話し込むシーンについて「現場でいきなり『このシーン、ワンカット撮ります』と監督と言われた時は冗談かな?と思いましたよ」と振り返ると、白石監督は「このシーンが(映画の)肝、もしかしてこれは映画史に残るシーンになるんじゃないかという思いでした。僕なんかがカットを割るより、二人のむき出しのお芝居を撮りたかった」と、その理由を述べた。

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最後に白石監督が「目を覆うようなシーンもありますが、女性の方も最後まで楽しめるようなエンターテイメントとなっております」と映画の出来栄えに自信をのぞかせ、柚月氏は「観終わったらじっとしていられなくなるような熱量のある、元気が得られる映画です。そして、出ている方々の必ず誰かに惚れると思います」とアピール。役所は「この映画で日本映画が変わって活気づくきっかけになればいいなと思っています。ヤクザや危ない刑事のような登場人物が多いですが、きっと『正義とはなんじゃ?』と考えてもらえる映画になっています。ぜひ劇場でご覧ください」とメッセージを伝え、イベントを締めくくった。

なお、紀伊国屋書店新宿本店では映画の公開を記念し、劇中に出てくる小道具や美術セットの様子がわかるパネルなどを展示する特別展を開催中だ。(5月31日まで開催)

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映画『孤狼の血』
【ストーリー】
物語の舞台は、昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島。所轄署に配属となった日岡秀一は、暴力団との癒着を噂される刑事・大上章吾とともに、金融会社社員失踪事件の捜査を担当する。常軌を逸した大上の捜査に戸惑う日岡。失踪事件を発端に、対立する暴力団組同士の抗争が激化し…。
第69回日本推理作家協会賞受賞、「このミステリーがすごい!2016年版」国内編3位に輝いたベストセラー小説「孤狼の血」が、2018年5月12日、待望の映画化!

キャスト:役所広司、松坂桃李、真木よう子、音尾琢真、駿河太郎、中村倫也、阿部純子、中村獅童、竹野内豊、滝藤賢一、矢島健一、田口トモロヲ、
ピエール 瀧、石橋蓮司、江口洋介 ほか
原作:柚月裕子「孤狼の血」(角川文庫刊)
監督:白石和彌 配給:東映
コピーライト:©2018「孤狼の血」製作委員会
公式サイト:http://www.korou.jp/

5月12日(土) 全国ロードショー!