柚月裕子原作のベストセラー小説「孤狼の血」の映画化が決定した。物語の舞台は暴対法成立以前の広島・呉原市。暴力団系列の金融会社社員失踪事件をきっかけに捜査する警察。暴力団組織間の激しい抗争を描いている故、≪警察小説×『仁義なき戦い』≫と評されている。平成の時代に敢て、血湧き肉躍る昭和の男たちの熱き物語を打ち出すことは暴挙なのか、新たなる日本映画の幕開けなのか。
ーー日本ミステリ史に残る、今世紀最高の悪徳警官小説だ。(書評家/茶木則雄)
原作は2015年に発売となり瞬く間にベストセラーとなり、原作者・柚月裕子は「『仁義なき戦い』なくしては生まれなかった作品。女が入ろうとしても入れない世界だからこそ格好いいというか、憧れました。」と語る。「第69回日本推理作家協会賞」受賞、「本の雑誌が選ぶ2015年度ベスト10」第2位、「このミステリーがす ごい!」(2016 年度版)第3位。更に「第154回直木賞」にノミネートされるなど話題を独占。原作の魅力に取りつかれた読者からは「アウトローがアウトローとして生きることを許された時代を背景に、もうひとつの正義に涙!」など絶賛の声があがり、書評、著名人からも多くのコメントが届き太鼓判を押されている。『仁義なき戦い』(シリーズ1作目)から44 経った今、≪警察小説×『仁義なき戦い』≫と評される本作。 今回の映画化に際し、昨今の地上波、日本映画ではお目にかかることのできない熱き男たちの“カタルシス” と“ヴァイオレンス”は観る者の魂をエモーショナルに揺さぶる。撮影は呉原市のモデルとなった広島・呉市で行われる。
「孤狼の血」
原作者 PROFILE 柚月裕子
1968年、岩手県出身。2008年、醜悪なテーマを正統派のサスペンスに仕上げた「臨床真理」でデビューを飾り、同作で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。更にテレビ朝日でドラマ化もされた「検事の本懐」(13)では第15回大藪春彦賞を受賞した。丁寧な筆致で人間の機微を描きだす、今もっとも注目されるミステリー作家だが、本作「孤狼の血」ではこれまでの作風とは一変、暴力団対策法成立以前、まだ「極道のルール」が残っている世界で生きる熱き男たちを≪魂が震える物語≫としてこの時代に産み落とした。その他に「慈雨」(16)、「あしたの君へ」(16) 、「合理的にあり得ない上水流涼子の解明」(17)などがある。