映画『朽ちないサクラ』の完成披露上映会が、6月3日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の杉咲花をはじめ、共演の萩原利久、豊原功補、安田顕と、原廣利監替、原作者の柚月裕子が舞台挨拶に登壇した。
柚月裕子の累計発行部数40万部を刊行する「サクラ」シリーズのはじまりとなる「朽ちないサクラ」を原作に実写映画化。本作は、捜査権のない警察広報職員が、親友の死をきっかけに独自捜査をしていくうちに、警察組織の闇と公安の存在と対峙し、成長していく様を描く、異色の警察サスペンスミステリー。
主人公の県警・広報職員の森口泉を杉咲花、泉のバディであり、泉に好意を寄せる平井中央警察署の署員・磯川俊一役を萩原利久が演じ、県警捜査一課の梶山浩介を豊原功補、泉の上司で元公安の富樫隆幸を安田頭、ほか森田想、坂東日之助、遠藤雄弥、駿河太郎、藤田朋子など実力派俳優たちが事件の鍵となるキャラクターに扮している。監督は大ヒット公開中の『帰ってきたあぶない刑事』の原廣利が務めた。
この日の上映会には約1万人以上の応募があり、注目度の高さを示しているが、杉咲は「こんなにたくさんの方に映画を楽しみにしていただけていると思うと本当に嬉しいです。1年以上前に撮影していたので、ちょっと懐かしさも感じていますが、ようやくお届けできることが本当に楽しみです」と笑顔を見せた。
撮影を振り返り、「桜がモチーフになった作品なので、監督が“本当の桜を撮りたい”と仰って、蒲郡のほうでロケをさせていただきましたが、人生で見た中で1番美しい桜でした。あの迫力がそのままこの画に映し出されているように感じました」と、特に印象に残っている場面を吐露。
監督も「桜の描写を泉の心情と重ね合わせて、普段だったら綺麗に見えるものが、ちょっと違って見えるというように捉えてもらえればいいかなと思って。撮影にはちょっとこだわらせていただきました」と明かす。
杉咲とは今作で2回目の共演となる萩原だが、「実は1度めの共演のときは役柄もあって、ほとんどお話しをしてなかったので、(今回は)2度目なのに、“初めまして”な感じでしたよね?」と杉咲に話かける。「でも、1度共演させてもらったときから、ぜひまたご一緒したいと思っていたので、凄く嬉しかったです」と杉咲との共演を喜んだ。
しかし、「今回はわりとお話しさせてもらったんですが、僕はけっこうお喋りなので、(撮影が)終わってから急に“自分が1人で喋っていて、うるさいヤツだ”と思われていたらどうしよう・・・と」と後悔し不安に駆られたという萩原。すると杉咲が「全然そんなことなかったです。(萩原さんは)軽やかに現場にいらっしゃって。磯川は映画でも原作でも『ちゃんと食べてくださいね』とか『笑ってください』と、泉に声をかけてくれる、生きることに凄く密着な存在。ふわっと舞い込んで来てくれる利久くんが演じていたからこそ、(自分も)肩の力が抜けて凄く救われていました」と萩原の存在に感謝。杉咲の言葉に萩原は「ホッとしました。よかったです」と胸をなでおろしていた。
一方で、ベテラン熱血刑事を演じた豊原は、梶山の魅力を「やっぱり“あぶ刑事”に負けない刑事魂、その熱さですね」と、現在大ヒット中で原監督がメガホンを取った映画『帰ってきた あぶない刑事』を引き合いに出してコメントし、会場を沸かす。
同じ警察ものではあるが、全然テイストが違う作品となっている両作。監督は「“あぶ刑事”はポップで、こちらは骨太なサスペンスミステリーで真逆。取材でも(監督の)情緒はどうなっているんだ!?・・・とよく言われるんですが、基本的には両作品とも芯にはエンターテイメント性を持って作らせていただいています」と胸を張った。
豊原は、杉咲について「杉咲さんは、対峙した瞬間から原作のデジャブのようで、強さと凛とした姿に僕は非常に助けられました」と言い、安田には「本当に芝居というものに真摯に向き合う方」と称え、「3人のシーンではいい緊張感が保てて、いいものが作れたのかなと思うので、皆さんにも楽しんでもらえれば」と自信をのぞかせる。
安田も同シーンについて言及し、「まるで昨日のことのように覚えています・・・。すみません、嘘をつきました(笑)」とボケて、笑いを誘うも「凄く緊迫したなかで、お芝居を生業(なりわい)とさせてもらっている幸せをお二人からいただきました」としみじみ。杉咲とは撮影の合間にも他愛のない会話をしていたそうだが、「本番直前まで話しかけて、若干集中力を欠けさせてしまって申し訳なかったなと」と謝り、「杉咲さんは奥ゆかしさを持ちつつ、お芝居にたいしては明瞭さを瞳の奥に感じる方。一緒にお芝居させていただいて光栄でした」と感慨。杉咲も「安田さんは同じ熱量で、ご自身が映っていなくても私の前にいてくださるので、心がかき乱さるような瞬間がたくさんあって、助けていただきました」と述懐した。
さらに、映画の「私を信じて」というキャッチコピーにちなみ、「私の、これは裏切らない自信があるものは?」と問われた登壇者たち。杉咲は「10分前到着」、萩原は「わりと飽き性ですが、1回好きになったものはずっと好きでい続けている気がします。バスケットボールを見るのが好きで、ウォリアーズ(米カリフォルニア州サンフランシスコの全米プロバスケットボールチーム「ゴールデンステート・ウォリアーズ」)を応援することは裏切らないです」とニッコリ。
豊原は「酒を飲んだ後に、後輩に作るメシ」と答え、安田は「飼っている犬と向き合っている自分」と言い、「人間ほど不確かなものはないからね」と断言。MCに促され「本作にも同じくらいちゃんと向かわせてもらいました」と言うも「監督はずいぶん長く回すなとか、こんなに撮る必要あるのかなとか、若干思いましたけど、本作を観たら本当に必要だったと分かって、めっちゃ面白かったです」と、ボヤキながら最後は満足げ。
また、この日駆け付けた原作者の柚月も、完成作品を観て「役者の方々の演技、そして音楽、今回の作品で言うなれば桜の美しさ、そういったものを大きなスクリーンでないと味わえない感動、面白さがある。あらためて映画って素晴らしいなと感じさせてくれる映画でした」と述べ、キャストについても「作品のまんまで、演技と(キャラクターが)ピタッと嚙み合って、胸が熱くなって、色んな意味でため息が出ました。本当に素晴らしかったです」と太鼓判を押していた。
『朽ちないサクラ』
【物語】
「疑いは絶対に晴らすから」
そう言って立ち去った親友は、一週間後に変死体で発見された――
愛知県平井市在住の女子大生が、度重なるストーカー被害の末に、神社の長男に殺害された。地元新聞の独占スクープ記事により、警察が女子大生からの被害届の受理を先延ばしにし、その間に慰安旅行に行っていたことが明らかになる。県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って記事にしたと疑い、身の潔白を証明しようとした千佳は、1週間後に変死体で発見される。自分が疑わなければ、千佳は殺されずに済んだのにーー。自責と後悔の念に突き動かされた泉は、自らの手で千佳を殺した犯人を捕まえることを誓う。
出演:杉咲花
萩原利久 森⽥想 坂東⺒之助
駿河太郎 遠藤雄弥 和⽥聰宏 藤⽥朋⼦
豊原功補
安田顕
原作:柚月裕子「朽ちないサクラ」(徳間文庫)
監督:原廣利
脚本:我人祥太 山田能龍
音楽:森優太
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
制作プロダクション:ホリプロ
製作:映画「朽ちないサクラ」製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、U-NEXT、TCエンタテインメント、徳間書店、ホリプロ、ムービック、nullus)
©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会
公式サイト:culture-pub.jp/kuchinaisakura_movie
X/Instagram:@kuchinai_sakura
6月21日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国公開!