映画『来る』の初日舞台挨拶が、12月7日、東京・TOHOシネマズ 日比谷にて行われ、主演の岡田准一をはじめ、共演の黒木華、小松菜奈、青木崇高、松たか子、妻夫木聡と、中島哲也監督が登壇した。
第22回日本ホラー小説大賞受賞に輝いた澤村伊智氏の「ほぎわんが、来る」を、『告白』『渇き。』などで知られる鬼才・中島哲也監督の手で実写映画化した本作は、身の回りで起こる超常現象のなか、“あれ”に狙われた人々の心の闇を描く“最恐エンターテイメント”。主人公のオカルトライター・野崎和浩役を岡田が演じる。
ギリギリで完成にこぎつけたと苦笑いする中島監督は「間に合わないかと思いましたよ。謝罪会見を開いて岡田くんがマスコミの前で謝るのかと思ったり、切腹するのかなと変な夢を見ました。本当に間に合ってよかったです」と、コメント。
本作のジャンルを「お祓いライブ映画」と表す中島監督。クライマックスの祓い儀式シーンを振り返り「フジロックやライブに行ったときのように体感できる作品になって嬉しい。人々が貼っているシールのようなお札は、ライブのチケットみたと言って作ったんです。ライブをノリノリで楽しむような感じで観ていただけたら」とアピール。
その言葉に、岡田は「本当にライブを観たかのような映画で。僕と松さんは3部構成のうち “お祓いデスバトル”担当です。次第にお祓いデスバトルへ、ライブへ入っていって、荒波のような映画(笑)」と続けた。
本作を「中島監督の傑作です!」と宣言する岡田は、自身の役がらについて「つかみどころがなくて難しかった」と吐露。「僕らは中島監督の頭の中を走っていくだけ。僕は最強の霊媒師だとか、取り憑かれるという設定もなくて僕は受け身だったので、みんなを羨ましく見ていました」と語る。
すると中島監督が「彼の役はさほど見せ場もないですしね。まあそういうところで微妙な表現するのが俳優の醍醐味ですから。岡田くんは今この演技を楽しんでいるなと思って見てました」とぶっちゃけ、妻夫木から「本性を現してきたな!」とツッコミを入れられる場面も。
中島監督の『渇き。』で女優デビューし、今作で4年ぶりに中島監督と再会を果たした小松は、ピンク髪のキャバ嬢・比嘉真琴を熱演。「愛あるムチをくらったり、色々なことを思い出しながら日々撮影に臨みました」とし、「撮影に入るのが怖かった。壁に向かって座ってるところを岡田さんに目撃されて」と告白し、中島監督の演技指導に苦悩の色を示すも「岡田さんは平気な顔をしていて驚きました」と話す。岡田は「それは、怖い監督とやるときのコツですよ!ね!」と妻夫木を見やると、妻夫木も「うん。飄々とする!」と同調。
また、岡田は松の最強の霊媒師・比嘉琴子役と、小松の風貌について、「言葉が悪いですが、初めて見た時『ヤバいのが入って来た』って言っちゃいました」とその独特な雰囲気に圧倒された様子。松は、自身の役作りについて「こういう人に出くわしたことがないので、想像してやってみるしかなかった」と語った。
イクメンパパ・田原秀樹役を演じた妻夫木は、『渇き。』に続き中島組に参加。「『渇き。』では『おもしろいやつやって』としか言われなかった」と監督の演出を振り返りつつ、今作でもあまり演出を受けなかったという。中島監督は、「基本的に男優にはあんまり興味がないから。男は見てても面白くない」と開き直る。
そこで、田原の妻役の黒木が「私は監督に、どうしたらもうちょっと気にかけてくれるのかなと思っていました・・・」と不安げに言うと、中島監督は「僕は黒木さんの顔ばっかり見てました。大ファンですから」とニッコリ。「妻夫木くんには『芝居が軽すぎる』と、岡田くんには『芝居が重すぎる』と言うだけでしたね。車中シーンの撮影で、岡田くんが『車のシーンは久しぶり』と言うので『なぜ?』と聞いたら『いつも馬に乗ってるんですよ』と言って。それは笑いましたけどね」と述べ、会場の笑いを誘った。
さらに岡田と妻夫木について「全然タイプの違う俳優さんだし、2人がどういう掛け合いをするんだろうかと思っていたけど、僕自身はすごく刺激的でした。これからも2人でバディムービーやればいいのに」と称えてアドバイス。
岡田が「中島監督が撮ってくれるんですか?」と声を弾ませて尋ねると、「僕はやりません。男優には興味がない」と切り捨てる中島監督。岡田と妻夫木は「おかしいなあ。僕らも頑張ったのに・・・」とつぶやき、顔を見合わせていた。
映画『来る』
公式サイト:http://kuru-movie.jp/
全国東宝系にて公開中