第37回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されている映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』が、11月1日、東京・TOHOシネマズ 日比谷にて上映され、主演の萩原利久をはじめ、共演の河合優実、伊東蒼、黒崎煌代と、大九明子監督が登壇した。
本作は、福徳秀介の恋愛小説「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」を映画『勝手にふるえてろ』(17)、『私をくいとめて』(20)などで知られる大九明子監督がメガホンを取り、実写映画化。これまで女性主人公を描くことが多かった監督が、恋愛作品としては初の男性主人公の物語に挑戦。思いがけない出会いから始まった、最高純度のラブストーリーの、主人公の冴えない大学生・小西徹を萩原利久、小西が恋に落ちるヒロイン・桜田花を河合優実が演じ、小西のバイト仲間・さっちゃんを伊藤蒼、小西の唯一の友人・山根を黒崎煌代が扮する。
原作のどんなところに魅力を感じて映画化したかを問われた監督は「原作を読ませていただいて、とあるシーンで、登場人物の1人がものすごい熱量を持って喋り出して、小説としてはありえないページ数で繰り広げられていて。これを映像化するのはとてもチャレンジングで、面白そうだなと感じました」と刺激を受けた様子。
萩原は自身の役作りについて、「冴えない大学生とか、日傘をさしているとか、そういうキャラクター的な部分から入るのは危険なのではないかと思って。小西の行動や考えをひとつひとつ考えてみることから始めました」としながら、「ただ、共感できる部分と、共感が難しい部分の両方があった。僕は普通、正解のようなものを探して、“こうするだろう”と撮影が始まる前に決めていくタイプなのですが、今回は自分の中で正解を決めず、選択肢の可能性をいつもの何倍も考えて現場で見つけたものを信じてみようと思いました」と、役と向かったことを明かした。
河合は、誰とも群れない孤高の存在だった桜田を表現しているが、「お団子頭ということもそうですし、彼女の姿勢だったり、衣装、メイクなど、外堀を埋めました。小説や脚本も小西の目線で桜田が語られるので、最初は小西から、観客の方から、外から見た桜田ということを手掛かりにしたので、お団子頭というのも取っ掛かりになったと思います」と、役作りを明かす。
伊東は「原作を読んだ時に、さっちゃんの持つ温かさ、優しさ、柔らかさだったり、一緒にいたら楽しくなるんだろうなという印象を受けて、“さっちゃん、大好き!”となりました。映画をご覧になった皆さんにもそう思っていただける“さっちゃん”でありたいと思いました」と語る。自身の出身地に近い、大阪での撮影には「さっちゃんが普段暮らしている状況も想像しやすかったですし、自分と近い部分も多かったので、リラックスして、現場では笑顔でいようと思って演じてみました」とニッコリ。
関西出身の黒崎も「初めて原作を読んだ時に、山根は“〜やでねん”というしゃべり方だったんですが、関西弁は基本、“〜やねん”か“〜やで”なので、どうやって発音したら良いかを監督と相談して始めました(笑)」と戸惑いもあったようだが、「衣装も婦人服なので、衣装合わせもとても楽しくて、山根は山根なりに誇りをもっているので、おちゃらけずに演じました」と笑い、会場を沸かせた。
最後に大九監督が「本日はとてもフレッシュな若い才能溢れる4人と登壇しましたが、映画の中にはさまざまな年齢の方に出ていただいています。私にとっても特別な映画になりました。皆さまにご覧いただけて光栄に思っています。楽しんでください」と声をかけ、舞台挨拶を締めくくった。
<第37回東京国際映画祭 開催概要>
■開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
<物語>
思いがけない出会いから始まった、最高純度のラブストーリー
思い描いていた大学生活とはほど遠い、冴えない毎日を送る小西。学内唯一の友人・山根や銭湯のバイト仲間・さっちゃんとは、他愛もないことでふざけあう日々。ある日の授業終わり、お団子頭の桜田の凛々しい姿に目を奪われた。思い切って声をかけると、拍子抜けするほど偶然が重なり急速に意気投合する。会話が尽きない中、「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好き、って思いたい」と桜田が何気なく口にした言葉が胸に刺さる。その言葉は、奇しくも、半年前に亡くなった大好きな祖母の言葉と同じで、桜田と出会えた喜びにひとり震える。ようやく自分を取り巻く世界を少しだけ愛せそうになった矢先、運命を変える衝撃の出来事が二人を襲うー。
原作:福徳秀介『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館刊)
監督・脚本:大九明子
出演:萩原利久 河合優実 伊東蒼 黒崎煌代
製作:吉本興業 NTTドコモ・スタジオ&ライブ 日活 ザフール プロジェクトドーン
製作幹事:吉本興業 制作プロダクション:ザフール 配給:日活
©️2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
公式HP:https://kyosora-movie.jp/
公式X:@kyosora_movie
2025年4月テアトル新宿ほか全国ロードショー