映画『窓辺にて』の公開記念舞台挨拶が、11月5日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、キャストの中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也と今泉力哉監督が登壇した。(主演の稲垣吾郎は新型コロナウィルス陽性のため欠席となった)
今泉力哉監督の完全オリジナルとなる本作は、今泉ワールドの特徴でもある<等身大の恋愛模様>に加え、これまで以上に<好きという感情そのもの>について深く掘り下げた、美しくてちょっぴり可笑しい大人のラブストーリー。
ある悩みを持つ主人公・フリーライター市川茂巳を稲垣吾郎が演じ、市川の妻・紗衣役を中村ゆり、高校生作家・久保留亜役を玉城ティナ、市川の友人でプロスポーツ選手の有坂正嗣役に若葉竜也のほか、有坂の妻・ゆきを志田未来、紗衣と浮気している売れっ子小説家・荒川円役を佐々木詩音など、個性豊かな実力派俳優が顔を揃えた。
また、本作は10月24日から11月2日まで開催された第35回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され観客賞に輝き、この日もお祝いムードに包まれる会場。
稲垣からメッセージが届き、「東京国際映画祭で観客賞をいただきました。これも、いつも応援してくださっている皆様がいらっしゃるおかげ」と感謝の気持ちを表し、「今泉監督の作品に出演できたことは、僕にとっての宝物になりました」と作品の参加を喜んだ。(下記に全文掲載)
監督は稲垣からの「『宝物です』という言葉に、ご一緒できて嬉しいなと思います」と返し、観客賞を受賞したことに、「自分が映画を作っていて、お客さんに届いた時が一番嬉しいことなので、本当にありがとうございます」と礼を述べていた。
本音を言えない夫婦を演じた中村は「理解をするのが難しい役でしたが、本当にある気持ちを探りながら演じ、初めて稲垣さんと対峙して、二人で本当の気持ちを吐露し合うシーンでは、稲垣さんのお芝居に心を動かされた。台本では理解しきれてなかった部分がストンと自分の中に落ちて。そのくらい凄く繊細に心でお芝居をしてくださる方でした」と稲垣の演技に助けられたと口にする。
玉城も「お互いに演技で『こういう風にします』と話し合うタイプでもないですし、カメラの前でお互いが持っている感情をそのまま差し出し合うような、そういう関係性のお芝居ができたかなと思っています」と、稲垣との共演に満足気。「スクリーンで初めて(作品全体を)観て、こういう映画なんだなと理解できた」と続けた。
撮影では、12分に渡る長回しもあったそうで、中村は「12分も長回しする監督です!」とお茶目な笑顔を称えて監督を紹介。監督は「本当は8分くらいの予定だったけれど、結果的に12分になってしまった。でも、稲垣くんも長くなったことに気が付かなかった。それだけ向き合っている空気だった」と、現場での雰囲気を吐露。さらに「現場では監督としてあまり感情的にはならないタイプなんですが、あとから稲垣さんから『監督、モニターチェックをしているとき涙ぐんでいましたよね』と言われて、めちゃくちゃ恥ずかしかったです」と明かし、二人の演技に陶酔していた様子。
今泉作品には4作目の出演で、次回作も決まっているという、今泉組常連の若葉は「どんな方がいらしても変わらないのが今泉組。今回も真摯に臨ませていただきました」としながらも、稲垣との共演は特別なものだったようで、「小さいときから拝見している稲垣さんが近くにいらして、独特な緊張感がありました。肩をたたけるくらいの。稲垣さんの肩に自分の手が届くとは思っていなかったので不思議でした」と語り、会場の笑いを誘う場面も。
監督は「浮気や不倫は良くないことは大前提だけど、今の世の中は大罪のように扱われたりする。それは行き過ぎてはいないかなと思った。当事者間で話し合って謝ってうまくいきそうなものが、例えばSNSとか目に見えない声に追い込まれることもありそうで。全部無きものにされるのもちょっと違うかなと思って。自分はそいういう取るに足らないことや小さな悩みを映画の題材にしたいと思っている」と、映画作りの思い吐露。
そして、最後に「悩みに小さい、大きいはないと思う。戦争のことを考えると自分の悩みなんてちっぽけだと思ったりすることもあると思いますが、どんなにちっちゃい悩みも凄く大切にしていいと思うので。これからもそんな小さな物語を紡いでいけたらと思っています」と伝え、「皆さんの元気を稲垣さんに届ければいいと思います」と観客に声をかけていた。
◆<稲垣吾郎からのコメント>(全文)
本日は『窓辺にて』公開記念舞台挨拶にお越しいただき誠にありがとうございます。現在療養中のため、今泉監督や出演者の皆様と一緒に登壇できずとても残念です。
先日【「第35回東京国際映画祭」コンペティション部門観客賞】という素晴らしい賞をいただきました。
これも、いつも応援してくださっている皆様がいらっしゃるお陰だと感謝しています。
そして、ずっとご一緒させていただきたいと思っていた
今泉監督の作品に出演できたことは僕にとって素晴らしい宝物となりました。
日々、回復に向かっています。
中村さん、玉城さん、若葉さん、今泉監督、そして観客の皆様とまたお会いできるのを楽しみにしております。
『窓辺にて』をどうぞ宜しくお願いいたします。
稲垣吾郎
映画『窓辺にて』
【あらすじ】
フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、編集者である妻・紗衣が担当している売れっ子小説家と浮気しているのを知っている。しかし、それを妻には言えずにいた。また、浮気を知った時に自分の中に芽生えたある感情についても悩んでいた。ある日、とある文学賞の授賞式で出会った高生作家・久保留亜の受賞作「ラ・フランス」の内容に惹かれた市川は、久保にその小説にはモデルがいるのかと尋ねる。いるのであれば会わせてほしい、と・・・。
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、佐々木詩音
音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)
主題歌:スカート「窓辺にて」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
監督・脚本:今泉力哉
配給:東京テアトル
撮影:2021年7月、都内近郊にて撮影
©2022「窓辺にて」製作委員会
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