11月23日、東京・有楽町朝日ホールで開催中の「第15回東京フィルメックス」特別招待作品として、映画『真夜中の五分前』が日本初上映され、上映後に行定勲監督が観客とQ&Aを行った。
本作は、本田孝好のベストセラー恋愛小説を、オール上海ロケで映画化した名匠・行定勲監督の最新作。三浦春馬と女優リウ・シーシー(劉詩詩)、張孝全(チャン・シャオチュアン)が主演を務め、日本・中国・台湾のライジング・スターが豪華共演。双子の姉に恋した男、双子の妹を愛した男、それぞれの男女たちが織り成す切なくも美しい愛のミステリー。
今回の作品は日中混合スタッフで製作。一番影響を受けた映画は“台湾ニューウエーブ“と話す監督は、助監督時代に経験した台湾映画の完成度に驚愕し、「これはなんとかして自分の映画に取り込まないといけないと、ずっと思っていたんです」と明かす。 “静寂”を作り出す音響にもこだわりがあったそうだが、「上海はいつもクラクションが鳴っていてうるさいんですよ。シンクロは使えないと思っていたけれど、本当にいいバランスで出来上がっている。仙人のようだ。映画に魂を吹き込むというのはこういうことだと思わせてくれたんです」とスタッフを称えた。
観客から三浦春馬の印象を聞かれると、「すごく実直な人間」。「『自分はおもしろ味のない人間です。役づくりはどうすればいいですか?』と言われたけど、役づくりのしようがないし、おもしろ味のないというのが一番おもしろい」と笑った。さらに「『時計の修理ができるようになってください』と伝えたから、彼は簡単な修理くらいできると思いますよ」と続け、「とにかく中国語の習得がすごかった。中国に渡って1年ちょっとくらいのレベルでいいのに、上手くなりすぎちゃって・・・。チャン・シャオチャンにも何の問題もないと言われたけど、心の中では『もっと下手でいいんだけどなぁ~』と思っていたんですよ(笑)」と語り、会場の笑いを誘った。
また、リウ・シーシーについて、「気持ちで演じる人」と伝え、「初めて会った時、話している声が魅力的で印象に残っていた。息づかいや吐息、ゆらぎが特別な女優ですね」と絶賛した。
双子の撮影方法は?ラストの結末は?など、作品に追求した質問が飛び交うイベントとなったが、「双子の撮影は、アナログだけどお金をかけずに上手くできるんですよ。デヴィッド・フィンチャーに教えてあげたいね。結末を観た人たちが話あうのも映画の楽しみの一つでは?」と笑いとばした。
『真夜中の五分前』
<STORY>
時計修理工のリョウ(三浦春馬)は、ひょんなことからルーメイ(リウ・シーシー)という美しい女性と出会う。彼女には女優をしているルオラン(リウ・シーシー/二役)という一卵性双生児の妹がいた。今、ルオランにはレオン(チャン・シャオチュアン)という婚約者がいて、その婚約祝いには是非ともルオラが思いもつかないようなプレゼントを贈りたい・・それで出会ったばかりのリョウにプレゼント選びを手伝ってもらうことに。唐突で奇妙な出会いではあったが、リョウは美しいルーメイと知り合えたことに胸を躍らせる。しかし親しくなるにつれて、リョウはルーメイが抱える心の闇に気づいていく。ルーメイは自分の人生の片割れでもあるようなルオランを深く愛しているのだが、「同じものを好きになってしまう」というこの双子姉妹の性(さが)から、ルーメイもレオンを愛してしまっており、そのことでルオランに対する激しい嫉妬を抱えていた。そんなルーメイを優しく受け止めてやるリョウ、二人の関係はやがてゆっくりと恋人へと発展していく。
原作:本多孝好『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』(新潮文庫刊)
監督:行定勲
出演:三浦春馬、リウ・シーシー(中国)、チャン・シャオチュアン(台湾)
配給:東映
公式サイト:http://mayonaka5.jp/
12月27日(土)全国ロードショー!