監督:行定勲 主演:三浦春馬 出演:リウ・シーシー、チャン・シャオチュアン
『真夜中の五分前』
本作は、行定勲監督がオール上海ロケで撮影に挑み、美しい双子の姉に恋をした日本人青年(三浦春馬)が迷い込んだ不可思議な愛の世界を描く、ロマンティックなミステリー。原作は、本多孝好著『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』(新潮文庫刊)ベストセラー恋愛小説から、舞台をアジアへ移し、原作の良さを活かしながらも、妖艶さを加え、映像化に成功。主演は『永遠の0』やドラマ「僕のいた時間」で人気・実力を兼ね備えたスターとしてその輝きを増し、注目の話題作『進撃の巨人』の主演としての期待も高まる三浦春馬。共演に中国の国民的ドラマ「宮廷女官 若曦(ジャクギ)」のヒロインとして若手トップスターに登り詰めるリウ・シーシー(劉詩詩)、台湾で年間視聴率1位を獲得した「最後はキミを好きになる!」の主演や映画『GF*BF』で日本での人気も高まるチャン・シャオチュアン(張孝全)。アジアで高い人気を誇る行定監督のもと、日本・中国・台湾の注目スターが集結しました。
12月4日、神楽坂にできた新しい商業施設「la kagu」にて、原作者の本多孝好さんと行定勲監督が、小説と映画・映像表現についてトークショーを行いました。
トークスタート!
Q)本多さん、映画を観たご感想は?
本多:ストーリーがまったく原作とは違う。別のストーリーにも関わらず、見終わった後は、小説を書き終わった後の気持ちと、とてもよく似ていた、と思い、それに驚きました。この原作に、非常に時間をかけて、監督が映像にしてくださったからだろうな、と思います。
行定:ほっとしました。怖い作家さんもいらっしゃいますから(笑)。いい作家さんは、だいたい文句を言わないんですよ(笑) って、言っておくと今後も付き合いやすいかな(笑) 僕はこの作品にこだわっちゃったんですよね。
本多:2004年に本を出版しまして、その時に、ある映画会社さんから「映画化したい」と。その時の想定されてた監督が行定さんの名前が挙がってったんです。そしたら、脚本がうまくいかない、と。しばらくして、別の映画、また別の会社の方から、別の監督で映画化したい、というお話も頂きました。しかし、やっぱりうまくいかなくて、映像化は難しいのかな~と思ってたんです。 そうしたら、行定さん個人から「あれを、私のやらせてくれないか」とご連絡いただいて。それが6年位前ですか。原作者としては、これ、本当に映像化できるのか、と。撮り終わった、と聞いても、まだ信用できないというところがありました(笑)約10年間こだわっていただいて、感謝しております。
行定:プロットだけをなぞるとやりやすい、と会社は考えたんだと思うんです。最近の日本映画では明快なものを求める傾向にあります。例えば、くっついた、離れた、障害を乗り越えてくっついた。明快なもの。この映画はあいまいなんです。この話しは、誰が犯人かではない。
最近の日本映画界は、文学よりも漫画を映画化するようになっているので、日本でやるのは無理だ、と思いました。今から3年間の釜山国際映画祭の企画マーケティングに出したんです。これを、アジアで映画化しようと。そう思えたら、この小説の何が面白くて、何が言いたいのか、とても哲学的なんです。でも、これは、化学変化が起きるんじゃないか、と思ったんです。本多さんの原作は、何か異国情緒があるんです。短編とか読んでも。それで海外で映画化するときに、アイデンティティとして日本の何かを残したい、と思って主人公は日本人にしようと、考えました。
僕は小説的なアプローチを映画でしたい。自分の結論を持ってそれを映像に残したい。これは、他者と自分の関係がちゃんと描かれている小説なんです。認めてた他者が、自分を疑う。そして、自分は何者なのか、というのを描きたいと思いました。
本多:これを日本で撮ってたらどうだろう?と。この映画は、異国で浮遊している感じが、この作品にとって得だと思いました。僕はこの原作を、Side-Aの終わりから書いて、ここから始まる、という感じで書き始めました。僕は映像よりは、静止画のイメージが先に出て来て、そのイメージから、何を、どんな主人公で、どこに向かていくかを考えてストーリーにつなげていきます。
愛する、または愛される曖昧さ。常に疑う事しかできない愛情を描きたいと思いました。僕自身、単純な恋愛(作品)には興味がないんです(笑) わからないものが成立しているのに、成立していない不確かさもある、という怪しさを描きたかった。それは、まったく相似形の人がいたら、なぜ、そっちに向かないのか、を描きたかったんです。
来場客からの質疑応答
Q)生活感がある主人公ですが、三浦春馬さんを主演にしたのは?
A)何物でもない人にしたかったんです。脚本も短くしたい。本多さんのここがすごい、というものだけを脚本では残しました。僕は、芝居がかった何かではなく、何者ではない感じ、というのが三浦さんには感じました。彼は面白くないくらい真面目(笑) 三浦さんは、一生懸命に考えてるんです。現場でも。それで、「何考えてるの?」って聞くと、「面白くないです」って。「いいじゃない!」(笑)って僕は言いました。
そういうのがいいんです。三浦さんが演じたことが、この映画のリズムを作ったともいえます。最初90分位にしようと思ったんですけど、2時間を超えてるのは、春馬君のせいです(笑)
Q)この10年で、やろうと思ってできなかったとのことですが、10年前と今、撮影の技術的なことでの違いはありますか?
A) 10年前では、撮れなかったと思います。今回は、デジタルで撮影したので、この期間で撮れました。10年前ではフィルムです。フィルムではこのスピードでは撮れないです。フィルムの場合、位ところだと大きなライトがないと映らないので、大きな照明を立てないといけない。それと、今回双子を1人でやってますが、デジタルだったので、そのマッチングはよかったと思います。個人的にはフィルムで撮りたかったです。そうすれば、もっと違うニオイがあったと思うんです。でも、これは、昨年撮らないと成立しなかったと思います。
【アジア広域展開から始動!】
本作は、企画段階よりアジア広域展開をターゲットにし、ロケ地は上海、編集・VFX を日本、サウンド仕上げを台北で行い、スタッフは日本、中国、台湾などアジア各地からクリエイターが集結、キャストもアジア各地からキャステ ィングなど、あえてアジア広域にわたる制作方法で挑みました。 今までの合作映画と本作の違いは、ターゲットを日本だけでなくアジア広域としている点です。
映画公開の幕開けとなる中国では、10月23日から国内約4000スクリーン(現在中国全土における全スクリー ン数の12%~15%に相当)での公開が決定し、続いて、香港・台湾・シンガポールの現地配給会社もすでに付い ており、各地とも年内公開を目指した準備進行中です。 日本では、年末の12月27日に全国ロードショーとなります。
*2014 年中国の映画館のスクリーン数は22000以上あり(国家広播電影電視総局/2014 年6月発表時点)、 対して日本は約3300強(日本映画製作者連盟/2013 年 12 月発表)となっています。
日本での公開前に、中国で先行公開され、かつその規模が約3500スクリーンを超える展開ですが、これは、日本人 監督作品では最大級で異例な展開。中国サイドの本作の高い期待によるものが大きいですが、これは、『世界の中心で、 愛をさけぶ』が 2004 年日本公開の後、2010 年中国国内で公開され、若い世代に人気の作品であることに加え、各地 から3人のキャストによる共演であることが要因と言えるでしょう。
『真夜中の五分前』
<STORY>
時計修理工のリョウ(三浦春馬)は、ひょんなことからルーメイ(リウ・シーシー)という美しい女性と出会う。彼女には女優をしているルオラン(リウ・シーシー/二役)という一卵性双生児の妹がいた。今、ルオランにはレオン(チャン・シャオチュアン)という婚約者がいて、その婚約祝いには是非ともルオラが思いもつかないようなプレゼントを贈りたい・・それで出会ったばかりのリョウにプレゼント選びを手伝ってもらうことに。唐突で奇妙な出会いではあったが、リョウは美しいルーメイと知り合えたことに胸を躍らせる。しかし親しくなるにつれて、リョウはルーメイが抱える心の闇に気づいていく。ルーメイは自分の人生の片割れでもあるようなルオランを深く愛しているのだが、「同じものを好きになってしまう」というこの双子姉妹の性(さが)から、ルーメイもレオンを愛してしまっており、そのことでルオランに対する激しい嫉妬を抱えていた。そんなルーメイを優しく受け止めてやるリョウ、二人の関係はやがてゆっくりと恋人へと発展していく。
原作:本多孝好『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』(新潮文庫刊)
監督:行定勲
出演:三浦春馬、リウ・シーシー(中国)、チャン・シャオチュアン(台湾)
配給:東映
公式サイト:http://mayonaka5.jp/
12月27日(土)全国ロードショー!